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夕陽ヶ丘法律事務所ブログ

2021/03/31

判例(パワハラ)


初めに

 パワハラの相談を受けていた上司の安全配慮義務違反を認めた判例を紹介します。

判例の内容

本判決は、「社員は社員Bの指導について悩み、自殺しました。相談していた上司については、自殺した社員からBの指導について相談を受けていたこと、心療内科に通院しうつ状態であると診断されたこと等を考慮すれば、Aに休職を勧めたり、Aの相談に乗ったりするだけでは足らず、Bに対しこれ以上強く注意しないように指導する等の対応をするべき義務があった。」として、安全配慮義務違反を認めました。

パワハラ

パワーハラスメントは、職場で働く者が、職場内における優越的な関係に基づいて、同じ職場で働く他の者に対し精神的まはた精神的苦痛を与える行為は、業務上必要かつ相当な範囲を超える場合には、パワー・ハラスメントと呼ばれ不法行為上違法になります。

労務管理上は、パワーハラスメントの定義について拘ることに意味はありません。「社会常識に反した指導は違法となり、会社及び当該指導者が損害賠償義務を負う可能性がある。」「不適切な業務命令は違法となり、会社及び当該指導者が損害賠償義務を負う可能性がある。」と理解すればよいと思います。

「叱る」ことは難しいこと、叱る場合には適切な言葉を使うこと、「叱る」場合には、行き過ぎを止めてくれる第三者を置くこと、暴走して、他人の静止を聞かない者もしくは、威圧感を出す者には、管理職の地位を与えないことが必要です。

本判例の意義

本判決は、「自殺した社員を注意していたBについては、社会常識に反したとの証拠もなく、不法行為にあたらない。と判断しました。

これに対して、「自殺した社員が相談していた上司については、自殺した社員からBの指導について相談を受けていたこと、心療内科に通院しうつ状態であると診断されたこと等を考慮すれば、Aに休職を勧めたり、Aの相談に乗ったりするだけでは足らず、Bに対しこれ以上強く注意しないように指導する等の対応をするべき義務があった。」として、安全配慮義務違反を認めました。

令和2年7月1日 仙台地方裁判所

判例タイムズ 1481号221頁以下

解説

実務上は、どこまでが許された指導であるのか、それともパワハラであるのかは難しい問題です。

近年は、ちょっとしかことでパワハラを訴える社員や、心療内科に通えばうつ症状の診断書を簡単にもらえてしまうのも事実です。

会社さんから、「パワハラだと訴えている社員がいるがどうしたらいいのか。」「うつ病の診断書をもってきた社員さんがいるのだけれどもどうしたらいいのか。」という相談も多いです。

本判決の事案では、相談を受けた上司は、Aに休職を勧めたり、Aの相談に乗ったりはしていたことを前提になっています。

実際の事案では、社員さんにうつ症状があると相談されても、社員さんにも生活があり、「社員さんに休んではどうか」とアドバイスができても、「休みなさい。」と命令することは難しいです。

社員さんのプライバシーの問題もあります。上司の立場で、社員さんが通っている診療内科の先生の意見を聞きに行くのは、問題を大きくしかねません。

うつ病患者は、自殺を図る傾向があり、社員が精神疾患が問題になった場合には、上司が病気についてある程度勉強することも必要でしょう。

本件の事案では、Bの指導については、社会常識に反したとの証拠もないが、かなり執拗な指導であったことが認定されています。

そうだとすれば、本判決がいうように、Bに対しこれ以上強く注意しないように指導する等の対応をすることはできたのかもしれません。

会社としては、社員同士のトラブルであると把握した上で、仲裁や、配置換え等を検討すべきだったということになるのだと思います。

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