調停手法を使った仲裁(ハラスメント)
2023/03/29
調停手法を使った仲裁(ハラスメント)
ハラスメントをした上司との間では働きたくない
(1) 被害者は、「ハラスメントをした上司との間では働きたくない」と訴えますが、加害者側の行為も、解雇や異動を正当化できる程度に悪質ではないことはよくあります。
(2) 被害者が訴えるハラスメントがハラスメント(社会常識を逸脱出した行為)といえるのか、不明な場合もあります。
(3) 少なくとも、職場の人間関係がギクシャクしていることわけですから、会社としてこれを解決する必要があります。
チャットの導入
(1)一つの方法はチャットを導入することです。社員同士の会話をチャットを使ってやりとりをするようにさせます。
(2)チャットを使えば、トラブルが生じた社員間でのコミュニケーションを第三者が管理することができます。よくあるトラブルの一つである、無視等をチェックできます。
調停手法を使った仲裁
(1)もう一つの方法は、お互いが感情的にならないですむルールの設定をすることを目的に、仲裁者が他方の意見を聞いて一方に伝え、また、他方の意見を聞いて一方に伝えるという手法を取ります。
(2)具体的には、対立関係にある当事者を別々の部屋に呼びます。仲裁者が一方当事者の部屋まで行って話を聞き、今度は、他方当事者の部屋まで行って、聞いた話を伝えたうで、他方当事者の話を聞きます。これを繰り返して、お互いが気持ちよく仕事できるためのルール作りを手伝います。
第1の段階
(1)最初の段階では、仲裁者は「事実を把握したい。」「あなたの思いを聞きたい。」と伝えます。
(2)カウンセリングの「傾聴」という段階です。この段階では、両当事者の話を聞くことを重視します。必要最小限で、他方当事者の意見を一方当事者に伝えます。当事者の話をしっかりと聞くことで信頼関係を作ります。この段階では、当事者の言い分を聞くことに徹します。
第2の段階
(1)次の段階では、仲裁者は、一方当事者の言い分をそのまま他方当事者に伝えます。
(2)調停のシステムは、第三者を介しての話し合いの手続です。トラブルにならない程度に、そのまま、お互いの言い分をそのまま両当事者に伝えます。
(3)仲裁者は、このときのお互いの反応を見て、落としどころを探ります。
(4)仲裁者としては白黒を判断するのではなく、お互いに譲歩を引き出して、お互いの要望を一致させるのが仕事です。
(5)この段階では、仲裁者は、「あくまで、相手の言葉をそのまま伝えているだけです。」というスタンスをとります。
第3の段階
(1)仲裁者として、どのラインを落としどころと決めて、両当事者を説得することになります。
(2)仲裁者の仕事ははあくまで中立です。仲裁者としては、自分の意見として「妥当な部分は妥当だ。」と「不当な部分は不当だ。」と、積極的に意見を言っていくことになります。
(3)あくまで、仲裁者の仕事は、妥協点(働き方のルール)の仮設定です。両当事者にその案を承諾するように説得することになります。
(4)仲裁者として、お互いの言い分と、妥協点(働き方のルール)を出した理由を文書にまとめます。
(5)仮に、一方当事者が承諾できない場合には、業務命令として、妥協点(働き方のルール)を命じれるか、検討することになります。
第4の段階
(1)仲裁者として、お互いの言い分と、妥協点(働き方のルール)を文書(合意書)にします。
(2)両当事者に合意書にサインさせるかは、ケースバイケースとなります。