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夕陽ヶ丘法律事務所ブログ

リモートワーク(在宅勤務)への挑戦

2022/02/13

リモートワーク(在宅勤務)を導入する必要性

(1)リモートワーク在宅勤務制度は、「社員の生活への配慮」「優秀な社員が退職することを防ぐ」ための制度です。
(2)「自分が困ったら会社は助けてくれる(感情的信頼)(心理的安全性)」を保障するためには、介護や育児等の事情を抱える社員が安心して働く職場であることが必要です。このためにも、リモートワーク(在宅勤務)は不可欠な制度です。

リモートワーク(在宅勤務) のポイント

1 在宅勤務制度は、生産性向上の取組みと並行して導入しなければならない。

(1)確かに、在宅勤務は通勤時間の削減につながります。しかし、一般論としては、必要な資料が不足したり、集中できる環境を確保することができずに、業務効率が下がる傾向にあります。

(2)したがって、在宅勤務を認めるのであれば、同時並行に、業務効率化の取組み、デジタル化等の取組みと一緒にやらなければなりません。

2 在宅勤務制度を導入する場合には、在宅勤務を望むのか、出勤するか、社員に選択権を与えなければならない。

 在宅勤務が社員にとっても負担を増やすこともあります。在宅勤務をメリットと感じるのか、それともデメリットと感じるのかは、個々の社員で異なります。したがって、社員に選択権を与えなければ、不満がでてくることになります。

3 在宅勤務を認めるには、管理職のスキルアップが不可欠です。

 弊所での挑戦を通じて、マネージメントについてどんな工夫が必要か検討してしてみましょう。

働く場所の違いなのか、働く時間も違うのか。

(1)在宅勤務にも大きく2種類あります。

(2)社員全員が同じ時刻に仕事を開始し、同じ時刻に仕事を負えることとし、社員は勤務時間中はパソコンの前に待機する。(働く場所だけが異なる場合)

(3)水曜日に日曜日に働く社員がいれば、夜に仕事する社員がいるような働く時間が異なる場合があります。(働く時間も、働く場所も異なる場合)

(4)弊所では、後者の場合にあたりました。

新人社員には在宅勤務は不向きであること

(1)新人社員に、在宅勤務は不適切です。先輩の仕事のやり方を見たり、気軽に相談できる環境があって仕事を覚えたりしていくからです。

(2)弊所では、幸いに新人社員がおりませんでした。しかし、弊所でも新人社員が入ってくる予定ですが、最初は在宅勤務は認めない方針です。

マニュアルの整備、主体性の確立

(1)リモートワークをすると、簡単には他人の手を借りることはできません。一人の人がいろいろな仕事ができるようにしておき、ある仕事を任せられた社員が他者の手を借りなくても黙々と進められるようにする(多能工化する)必要があります。マニュアル化や、書式の充実、仕事の進め方のルール化が必要です。

(2)リモートワークでは、先輩社員に都度、質問することもできません。社員が主体的に働くマインドの設定が必要です。

(3)弊所では、業務効率化として、これらに取り組んでおり、特に追加での対応は必要ではありませんでした。

携帯電話の番号をお客に教えた。

(1)お客さんにとってみれば、リモートワークだからといってレスポンスが遅れることに納得できるわけはありません。

(2)社員を3人ほどのチームに分けて、個客担当を決めて、携帯電話を持たせてその携帯電話を個客に教えました。

(3)折り返しの電話を半営業日以内にしておりましたので、お客さんの反応は問題ありませんでした。

(4)個客担当は、出勤する社員でも、リモートワーク中の社員でも、特に問題はありませんでした。

週1回の短時間・少人数会議

(1)週に1回30分の進捗会議を行っています。

(2)停滞している業務があれば、別の社員に任せるなど、業務の振り替えを積極的に行いました。社員に仕事を一任することと、チームで仕事をするメリットのバランスをとりました。

(3)スケジュール調整も大変になるので、会議は少数で行います。全社員の参加は強制せずに、不参加もOKとしました。不参加の場合には、個別に会議結果を知らせて微調整しました。

出社する必要がある業務

(1)集中して行うべき業務、オフィスにある資料の閲覧が必要な業務については、出社のスケジュールを入れさせて管理しました。

(2)出社のキャンセルを認める代わりに、これらの業務の優先順位もあげました。キャンセルしてもよいとの前提で、出社の予定を入れさせて、キャンセルになれば、次の出社予定を相談する形です。

チームで行う業務

(1)自分だけで行えない業務については、とりあえず優先順位を上げるように指示しました。週に1回の会議で進捗を確認すると大幅に業務が停滞します。

(2)チームで行うべき業務については、別管理として、個別に進捗を確認し、当該社員で行うべき業務が終了すれば、別の社員に引継ぎをお願いする等の対応を行いました。

肯定的なリアクション、社員への電話

 コミニケーションが不足するので、社員に対し、「●●の仕事ありがとう。」等メールでお礼を言ったり、積極的に社員に電話する等してコミニケーションを心がけました。

社員への協力要請

(1)在宅勤務の状態で、社員が集中できる時間を確保することは大変なことです。子供を実家に預けて仕事時間を確保してくれる社員もいました。パートナーが子供の面倒を見てくれる日曜日に出勤する社員もいます。

(2)在宅勤務で、社員がいつもどおり仕事をしてくれることを期待することは、社員も会社もお互いに忍耐と協力が必要です。

(3)私が、ある社員との間で、「約束した仕事ができていない。」と話し合ったときに、その社員が「給与を減額する形でバランスを取らせてほしい。」と申し出てきたことがあります。

 私は、「時間を確保するのが難しいことは理解している。しかし、給与の減額をするつもりはないし、こちらが求める仕事の質の低下を認めるつもりもない。」と話したことがあります。

 「リモートワークの状態で、仕事時間を見つけることは大変なのは理解している。しかし、給与を減らして調整することはお互いの関係を壊すことにしかならない。私が『仕事ができていない』と感情的になることもあるかもしれないが、お互いに努力していこう。」と話し合ったことがあります。

給与額の見直し

(1)リモートワーク化では、「時間」で仕事量を測ることができません。

(2)公平性という点で、どちらでも同じ仕事量を要求し、同じ賃金を支払う、という形で、リモートワーク化でも通常の賃金を支払うことにしました。

(3)これは、「出社している時期があったこと。」「非常事態の仮の対応」という名目で行っているかこそ、許された対応であり、今後見直しがいつ用になってきます。

ITツールの活用

(1)いろいろなITツールについて、噂を聞けば社員で勉強会を開いてまずは使って見るというやり方をしています。その際に、社員に使用を強制することはしません。自然と定着したものは採用し、定着しなかったものは撤廃することにしました。

(2)「仕事のやり方」について変革も同じです。思い付きを共有し、任意での協力を求めます。

(3)あるやり方を強制してしまうと、実際にそのやり方が適切なのか、不適切なのか判断しにくいからです。

(4)バランスの問題になりますが、強制にならない程度に何度も協力願いを出します。「使いにくい。」という意見があればしっかりと話を聞いたうえで、拒否権を認めました。

(5)逆に、「確かに、やってみると便利です。」と承認が得られば、定着していくようになりました。

活用したクラウドサービス

 マネーフォワード(会計ソフト)、ミソカ(請求書送付ソフト)、Asana(タスク管理ソフト)、クラウドストレージ

 例えば、スプレッドシート等のITツールも。

紙資料のデジタル化

 裁判資料を全てPDFにてデジタル化しました。

検討中のサービス

 クラウド電話の入れ替え、電話代行

定着しなかったサービス

 oVice(オヴィス )、wiki型のマニュアル、チャットサービス各種

セキュリティ

(1)会社でパソコンを買って、社員に仕事用のパソコンを渡しました。

(2)クラウドストレージを使い、パソコン本体へのデータの保存を禁止しました。パソコン本体へのデータ保存の禁止の方法として、定期的なパソコン交換をしました。パソコンを交換すれば、違反が簡単に分かります。

(3)二段階認証を設定させました。

(4)クラウドストレージでデータを保存させているので、パソコン本体の紛失が起きても、データ流出は最小限に抑え込めます。

(5)実は、クラウドストレージを使うと、社員が悪意をもって自宅にて、データを抜き出すことは防げません。

 これは在宅勤務を認める以上は防ぎようがありません。

 個別の案件データは持ち出す動機がないので、大丈夫でしょう。

 問題なのはノウハウ的な資料となります。これらは、インターネットで公開してコンテンツマーケティング等として利用して、公開してしまうのもよいかもしれません。

参考

 ハーバードビジネスレビュー2022年3月号にて、ハイブリッドワーク(リモートワーク)について特集がされています。

 具体的な対応策が記載されているわけではないですが、参考になります。

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