判例(仮眠時間が労働時間になることを認めた判例)
2021/03/31
初めに
仮眠時間が労働時間になることを認めた判例を紹介します。
判例の内容
本判決は、仮眠時間が労働時間になるかどうかについて、仮眠室では、異常があればアラームが鳴る仕組みになっていこと、異常が発生し何らかの対応しなければならない頻度及びその業務量を考慮して、労働者は仮眠時間であったとしても、使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価される(労働時間になる)と判断しました。
仮眠時間の労働時間制
不活動時間が労働時間にあたるかは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか、という観点で判断されます(最判平成12年3月9日)。
本判例の意義
本判決は、仮眠室では、異常があればアラームが鳴る仕組みになっていこと、異常が発生し何らかの対応しなければならない頻度、その業務量を考慮してして、労働者は仮眠時間であったとしても、使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価される(労働時間になる)と判断されました。
令和元年7月24日 東京地方裁判所
判例タイムズ 1481号178頁以下
解説
実務上は、休憩時間であっても、お客様から電話がかかって来てこの電話に出ることがあります。これらの不活動時間について労働時間となるかが争点となることがあります。
従業員からは、「ご飯を食べる暇もなく働いた。」という主張はめずらしくありません。
もちろん、電話対応していた時間は労働時間なのですが、それ以外の不活動時間も、「何かあれば動かないといけないとして待機している時間」であるとして労働時間にあたるか問題となります。法律上は「手待ち時間」の問題です。
介護の現場等では緊急対応が必要なばあいもあり、休み時間であっても職員に対し携帯電話を持ち歩くことを義務付ける会社もあります。
裁判では、携帯電話を持たせていたことだけでは、労働時間(手待ち時間)と判断されるわけではなく、本判決と同じく、そのような対応を強いられる頻度や、その内容を考慮して、電話対応の待ち時間として労働時間にあたるか判断されることになります。
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