組合活動が他人の名誉を棄損したとき(判例)
2022/04/10
判例
本判例は、「労働組合が団体交渉において事実を適示して交渉した場合に、当該事実の適示が結果的に使用者等の名誉・信用を棄損するようなものであったとしても、当該表現行為の趣旨・目的が当該団体交渉や組合活動と関連性を有するものであるか否か、適示事実の真実性、表現態様の相当性及び表現行為の影響等一切の事情を総合し,正当な組合活動として社会通念上許容された範囲内のものであると判断される場合には,違法性が阻却されると解するのが相当である。」と判示しました。
東京地裁平成30年6月27日判決
判例タイムズ1467号172頁
解説
(1)本判例は、「組合活動が他人の名誉を棄損した場合には、不法行為責任を負う可能がある。」ことを示しました。
(2)ある事実を行為が他人の名誉を棄損する場合、民事的な責任を逃れるには、①挙げた事実に公共性があること、②公益目的であること、③情報の内容が真実であるか、真実と信じるに足りる相当な理由があることが必要です。
(3)これに対して、本判決は、「組合活動の特殊性を考え、組合活動によって他人の名誉を棄損した場合には、上記の要件がやや緩やかに適用される。」ことを示しました。
参考
ビジネスガイド2022年5月号92頁以下