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夕陽ヶ丘法律事務所ブログ

部下の説得と対話

2023/03/17

部下の説得

 上司としては、Aの手法がよいと思うが、部下としてはBの手法を選択したいという場合があります。そのときには、部下の説得、説明が必要です。

説得するときの作法

  部下の説得の場面の作法は以下のとおりです。

 ① 上司として命じる手法とメリット、デメリットを説明します。
 ②が考える手法のメリット、デメリットを確認します。
 ③部下が②の選択肢を選ぶ理由を聞きます。
 ④③お互いの選択肢(立場)についてネーミングを付けます。
  ネーミングによって、選択肢を意味付(イメージ)を付けします。
 ⑤最終的な選択肢は、上司にあることを確認します。
  組織である以上は、決定を下さなければなりません。
 ⑥部下が会社やお客様のことを考慮した上で自分の考えを述べたこについて、まず感謝を述べましょう。
 最後に、異なる意見を反映させてそのうえで決定することが大切であること、したがって、今回のように、部下として意見がある場合には、どんどん言ってほしい、と伝えましょう

  
説得は対話である。

(1)対話では、お互いがなぜ異なる結果を選ぶのかを確認します。どちらの意見が正しいかを議論しません。部下への説得の場面でも、「上司として命じる手法とメリット、デメリット」「部下が考える手法のメリット、デメリット」を確認します。
(2)部下の説得、説明の場面では、決定権は上司が持っている点が特徴的です。しかし、「採用されなかった意見」や、「議論した時間」が無価値だったわけではありません。
 そのこともしっかりと説明することが必要です。
(3)上司としての考え方を説明し、その上で部下に、上司の立場だったらどうすべきかを考えてもらいます。そうすることで、部下がワンランク上での立場で物事を考える機会にすることができます。
 「お互いに立場を入れ替えて、考える」のも対話のテクニックです。

部下の説得の実例

上司A
 会社のルールでは、お客様から電話の電話に対し、折り返しの電話番号を聞くことになっています。今回、折り返しの電話番号が分からず、返事ができずに困りました。「お客様から、あとで自分からかけ直します、と言われても、折り返しの電話番号を聞くようにしてくれませんか。」

部下Bさん
 私も、電話番号を聞くケースと聞かないケースを分けて判断しています。今回、折り返しの電話番号を聞かなかったのは、「お客様からかけ直す」ということだったから不要だと考えました。

上司A
 まず、「会社のルールとして、お客様から電話の電話に対し、折り返しの電話番号を聞く」というルールや、「お客様から、あとで自分からかけ直します、と言われても、折り返しの電話番号を聞く。」というルールはシンプルな会社ルールですね。
 Bさん(部下)のいうルールでは、「スタッフが電話番号を聞くかどうかを判断する。」という意味なのでしょうか。それとも、「お客様から、あとで自分からかけ直します」と言われた場合には、折り返しの電話番号を聞かなくてよいというルールを訂正しようという意味でしょうか。

部下Bさん
 そういう意味ではないのですか。私たちを信じてほしいのです。

上司A
 Bさん(部下)が私の立場になってくださいね。
 まず、「会社のルールとして、お客様から電話の電話に対し、折り返しの電話番号を聞く」というルールがあります。
 そして、Bさん(部下)がこれをしなかった。これによって、多少なりともトラブルが発生した。
 そうすると、上司の私の立場では、部下Bさんに、ルールを守ってほしい、注意をせざるをえません。
 Bさん(部下)として、私の立場は分かって頂けますでしょうか。

部下のBさん
 もちろん、分かります。

上司A
 Bさん(部下)の話が、合理的な会社ルールへの変更という意味で考えてみましょうか。
 しかし、ルールでは、「『お客様から、あとで自分からかけ直します』と言われた場合には、折り返しの電話番号を聞かなくてよい」というルールへの訂正だとすると、やはりルールの複雑化を招くと思います。
 Bさん(部下)はルール変更として考えた場合、どう考えますか。

部下Bさん
 ルール変更としても、複雑になるとは理解しています。

上司A
 私の考え方は会社のルールに重点を置き、Bさん(部下)の考え方はスタッフの自主性に重点を置いていると理解してもよいでしょうか。

テクニック
 ④③お互いの選択肢(立場)についてネーミングをつける
 ネーミングによって、選択肢のメリット、デメリットのイメージを持ってもらいます。

部下Bさん
 それは理解できます。

上司A
 管理職の立場からすれば、ルールはシンプルであるべきです。また、「お客様から、あとで自分からかけ直します、と言われても、折り返しの電話番号を聞く。」というルールがあっても、「申し訳ないのですが、会社のルールになっていますので、折り返しの電話番号を教えて下さい。」と聞くだけなので、スタッフの自主性は損なわないと考えています。

 私の立場からすれば、やはり、Bさん(部下)に、ルールを守ってほしい、注意をせざるをえません。

 少なくとも、私の立場は理解頂けますでしょうか。

テクニック
 案①、案②のどちらが優れているという説明はしていない。
 上司の立場として、説明をしています。

テクニック
 上司としての考え方を説明し、その上で部下に、上司の立場だったらどうすべきかを考えてもらいます。そうすることで、部下がワンランク上での立場で物事を考える機会にすることができます。
 「お互いに立場を入れ替えて、考える」のも対話のテクニックです。

部下Bさん
 それはもちろんです。

上司A
 今回、Bさん(部下)が、自分の考えを言ってくれたことはよかったです。
 Bさん(部下)が意見を言ってくれたおかげて、私も管理職の立場として、どのように考えるべきかを伝えることができました。
 私は、Bさん(部下)にも、管理職的役割を期待しています。そのために、今回のディスカッションは有益だったと思っています。
 私も職場をもっと良くしていきたいとおもっていますので、Bさん(部下)の立場で、こうした方がよい、というのがあればどんどん意見を言ってください。

テクニック
 最後に、異なる意見を反映させてそのうえで決定することが大切であること、したがって、今回のように、部下として意見がある場合には、どんどん言ってほしい、と伝えています。

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