ご質問・ご相談などお気軽にお問い合わせください。

TEL 06-6773-9114

FAX 06-6773-9115

受付時間 : 平日10:00 ~18:00 土日祝除く

夕陽ヶ丘法律事務所ブログ

2021/09/20

退職合意書

退職合意書

 従業員と退職時にトラブルになった場合、解決金を支払って、解決することがあります。お金を支払う前に先に、合意書を締結します。
 以下の事項を確認した上で合意書を作成します。

退職日、最終出勤日

(1)退職日

 退職日について話し合う必要があります。通常は、給与締め日を退職日とすることが多いでしょう。

(2)年次有給休暇

 年次有給休暇については、従業員の権利行使が必要になります。会社としては、自ら年次有給休暇の話をしてもいいですし、従業員が申し出ない限りは特にこれを認めなくても構いません。

 有給休暇が残っている場合には、最終出勤日と退職日を別々に分けます。例えば、「令和3年4月3日を最終出勤日とし、翌日以降は年次有給休暇を利用し、令和3年5月1日に退職します。」という形で取り決めをします。

退職合意書の文言

第〇条 退職日

乙は令和3年4月3日を最終出勤日とし、翌日以降は年次有給休暇を利用し、令和3年5月1日に甲を退職する。

退職理由と、助成金

雇用保険の退職理由によって、従業員が受け取る失業保険の額等が変わってきます。
雇用保険の離職理由によって、会社が利用している助成金に影響があるかが変わってきます。

会社としては、本件では、どのような退職理由がありえて、助成金にどのような影響があるかを確認する必要があります。

離職理由については、特定受給資格者、特定理由離職等の種別もあります。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000147318.pdf

会社と、従業員の利益を考慮しながら、雇用保険上の離職理由を検討します。

退職合意書の文言

第〇条 退職日、退職理由

1 乙は令和3年5月1日に甲を退職する。

2 上記の雇用保険の離職理由は退職勧奨とする。

退職勧奨

(1)退職勧奨は会社から退職してほしいと申し出て、従業員がこれを了承して成立する合意退職です。退職勧奨は会社都合による離職であり、雇用保険上は解雇と同じ扱いを受けます。

(2)従業員が退職後、直ちに失業給付を受ける等のメリットがあります。

(3)雇用保険の助成金を利用している場合には、助成金への影響があります。

 また、就業規則(退職金規定)によっては、懲戒解雇ではなく、退職勧奨にすると、退職金が増える規定になっていることもあります。

(4)雇用保険の手続で、ハローワークから退職勧奨であることの証明を求められる可能性があり、退職合意書の作成が必要となります。

給与締め日と、残給与と、租税公課の控除

(1)未払いの給与は支払わないといけません。5月の給与を6月10日に支払うことになっているとして、6月10日の支払いの給与が未払いであれば、これを支払わないといけません。

(2)解決金の金額は、これに加えた支払いとなります。社長の承諾を得る場合には、この旨を説明したうえで、承諾をもらう必要があります。当然のことですが、合意書に書いておいた方がよいでしょう。

退職合意書の文言

第〇条 解決金

(1)甲は乙に対し、令和3年9月末日締めの給与(支払日は同年10月10日)を通常通り支払う。なお、乙の手取り金額は、租税公課(所得税、住民税、雇用保険、社会保険料等)を控除した、残額となる。

(2)甲は乙に対し、上記とは別に、令和3年10月〇日限り、解決金〇円を支払う。

解決金額

 従業員と解決金額話し合って決めます。

 なお、退職金と書くと、会社に源泉徴収義務が発生します。退職金として支払う場合は、「租税公課(所得税、住民税)を控除した、残額となる。」ことを記載しましょう。

 税金に関しては、損害賠償の支払いは非課税とされています。例えば、10万円の損害が発生し、その後、10万円が支払われても、プラスマイナスゼロであり所得がないと考えるからです。しかし、例えば、残業代等は本来給料であり、実質的に考えれば課税される可能性があります。現実的には、税務署が課税する必要があると指摘するとは考えにくく、実務的には、解決金として、源泉徴収をしないのが普通です。

 退職金として支払う場合には、「甲は乙に対し、令和3年10月〇日限り、退職金〇円を支払う。なお、乙の手取り金額は、租税公課(所得税、住民税)を控除した、残額となる。」と記載します。もしくは、解決金として対応しながら、「甲は乙に対し、令和3年10月〇日限り、解決金〇円を支払う。なお、同解決金について公租公課の負担が発生した場合には、乙の責任で対応する。」という文言を入れることもあります。

 実際には、単に「「甲は乙に対し、令和3年10月〇日限り、解決金〇円を支払う。」とすることが多いです。

支払口座

 現金手渡しで給与を支払っていた場合には、支払先の口座を聞く必要があります。

 銀行振り込みであれば、支払った証拠が簡単に残せます。銀行の振込口座を聞きましょう。

 口座の聞き間違い等を防ぐために、通帳のコピーをもらいます。

退職合意書の文言

第〇条 支払口座

上記の解決金に関し、甲は乙に対し、令和3年10月〇日限り下記口座に送金する方法で支払う。なお、送金手数料は甲の負担とする。

銀行名  支店名

普通   口座名義

口座番号

健康保険証

 健康保険証の回収は、退職日後となります。したがって、健康保険証の回収を条項に入れることがあります。健康保険証の回収が出来なくても退職手続はできます。

 規定する場合もありますが、規定しない場合も多いです。

退職合意書の文言

第〇条

第〇条 返却物の返却

(1)乙は甲を、令和3年10月1日に退職する

(2)令和3年10月5日までに、乙は甲に対し健康保険証を返却する。

口外禁止、精算条項

 口外禁止、精算条項について、下記のような文言を入れます。

退職合意書の文言

第〇条 口外禁止・不利益行為の禁止

甲及び乙は、今後、お互いに双方の名誉を損なうような言動を行わず、本紛争に至る経緯及び本合意の内容について、第三者に口外しないことを相互に約束する。

本件に関し

精算条項について、「本条に関し」という文言を入れることもあります。

お金を支払う会社にとっては不利益なことが多く、できる限り制限のない合意をします。

https://yuhigaoka-law.com/dictionary/%e3%80%8c%e6%9c%ac%e4%bb%b6%e3%81%ab%e9%96%a2%e3%81%97%e3%80%8d%ef%bc%88%e5%92%8c%e8%a7%a3%e6%9d%a1%e9%a0%85%ef%bc%89/

最後に

結局、退職合意書は、今後の紛争点(協議事項)を全て文面にするという作業となります。全部を網羅した状況を記載するにはノウハウが必要となってきます。

https://yuhigaoka-law.com/wp-content/uploads/2021/09/07c2893a91c122763ddf536650531134.docx

Contact.お問い合わせ

    ※個人情報の取り扱いについては、プライバシーポリシーをご覧ください。