年金収入と婚姻費用の算定
2023/05/31
年金収入と婚姻費用
(1)婚姻費用の計算において、年金収入がある場合、給与収入がある場合には、年金収入を直接加算するのではなく増額修正して計算する。
(2)婚姻費用の計算において、年金収入がある場合、事業収入がある場合には、年金収入を直接加算する。
令和4年3月17日東京高裁決定
判例タイムズ1507号99頁
解説
(1)養育費や婚姻費用の計算は、当事者の収入で決まります。算定表では、事業所得と給与所得では計算方法が異なっています。
(2)本判決は、「婚姻費用の計算において、年金収入がある場合、給与収入がある場合には、年金収入を直接加算するのではなく増額修正して計算する。」と判断しました。
(3)職業費とは、給与所得者として就労するために必要な支出であるが、経費として所得から控除できない支出です。例えばスーツ代等が考えられます。
給与所得の場合、事業所得との公平を考慮して、所得業費を控除して、所得を計算してきました。
(4)したがって、年金収入をそのまま、給与所得の算定表に入れると、実際にはかからない職業費を控除した計算になってしまいます。そこで、実務上は何らかの修正を入れてきました。
(5)本決定は、実務を反映して判断を下したものです。