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夕陽ヶ丘法律事務所ブログ

テナントの原状回復

2023/01/30

原状回復

(1)テナントの明渡をする際に、賃貸人から過剰が修繕費を請求されることがあります。

(2)賃借人の立場で、主張すべき事項を確認しましょう。

事務所仕様、スケルトン、居抜き

(1)テナントの賃貸借では、事務所仕様、スケルトン、居抜きの状態で貸し出されることが多く、「原状」(借りたときの状態)に回復する費用の定義が不確かになりがちです。

(2)事務所仕様は、天井、壁、床が新調されており、何もない状態をいいます。

(3)スケルトンは、前の天井、前の床が撤去されており、壁は塗り直しされていない状態をいいます。

(4)居抜きは、前の賃借人が使っていた状態をそのまま使うことをいいます。スケルトンは、居抜きの状態から、天井と床を取り外し、前賃借人の設置した仕切り、空調その他の一切を撤去した状態と考えればよいでしょう。

事務所仕様の原状回復

(1)事務所仕様の賃貸借では、天井、壁、床を張り替えるという特別な合意があることが多いです。

(2)賃貸人からは、そういった合意がない場合にも、当然のように、天井、壁、床の新設費用を請求していることがありますが、これは違法です。

(3)事務所仕様のテナントについて、取り外し可能な仕切りを置いて壁を抜き直さずに、ほとんどそのまま利用するケースでは、特別損耗(賃借人が特に傷つけた)が無い限りは、天井、壁、床の新設費用を負担する必要はありません。

(4)事務所仕様のテナントについて、壁を塗り替え、天井に穴を空けて空調を新設し、床に加工した場合には、特段の合意がなくても、賃借人は、「原状」(借りたときの状態)に回復する費用としてこれらを負担しなければならなくなります。

長年物件を借りていた場合の事務所仕様の原状回復

(1)事務所仕様の賃貸借では、天井、壁、床を張り替えるという特別な合意がある場合には、賃借人は、「原状」(借りたときの状態)に回復する費用としてこれらを負担しなければならなくなります。

(2)賃借人が長年物件を利用していた場合には、経年劣化を考慮しなければなりません。賃借人が天井に穴を空けなくても、10年の年月が経てば、天井が経年劣化し取り換える必要があるだろうと考えるべき場合には、天井、壁、床の新設費用を負担する必要はありません。

 もっとも、この場合にも、賃借人は、天井、壁、床を撤去する撤去費用と、前賃借人の設置した仕切り、空調その他の一切を撤去する費用を負担しなければなりません。

スケルトンの賃貸借

 スケルトンの賃貸借では、賃借人は、天井、壁、床を撤去する撤去費用と、前賃借人の設置した仕切り、空調その他の一切を撤去する費用を負担することになります。

居抜きの原状回復

(1)飲食店の仕様であった場合(賃貸人がこの状態のまま、別の賃借人に賃貸することが予想される場合)、賃借人が特別物を壊したりしていなければ、賃借人は原状回復義務を負いません。

(2)特殊な業種の仕様であった場合(賃貸人がこの状態のまま、別の賃借人に賃貸することが予想される場合)、スケルトン状態に撤去するのが通常ですから、スケルトンを基準に賃借人の原状回復義務が決まります。

(3)賃貸借契約書に、「前賃借人の原状回復義務を引き継いで、〇〇の状態に戻す。」と具体的な記載があればよいのですが、その記載通りの原状回復義務を負います。実際には、このような明記が無いことが多く、(1)なのか、(2)なのか、議論することが多いです。

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