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相続税の算定の基礎となる課税価格(相続税法22条)

2024/02/04 更新

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相続税法22条

(1)「相続税の算定の基礎となる課税価格は時価で決まる」と相続税法で決まっています(相続税法22条)。国税庁は通達によって具体的な計算方法を定めています。他方、その計算方法が著しく不適当と認めらえる場合には、合理的な方法で計算する(正確には、国税庁長官の指示を受けて評価する。)という定めをしています。
(2)国税庁の財産評価通達で計算された価格が、市場価格と大きく違ってしまった場合には(正確には、その計算方法が著しく不適当と認めらえる場合)には、不動産鑑定士等が鑑定した時価が、相続税の算定の基礎となる課税価格となるということです。

問題

(1)税理士が相続税を計算する際には、国税庁が定めた通達によって相続税財産を計算します。税理士が節税方法をアドバイスするのは当然です。税理士は、被相続人の財産を減らさずに、相続税上の評価(財産評価通達で計算された価格)が下がるように、不動産の購入等を勧めるのも当然です。
(2)しかし、実際の時価と、相続税上の評価(財産評価通達で計算された価格)が大きく違うと、公平を害します。そこで、国税庁が定める通達は、著しく不適当と認めらえる場合には、合理的な方法で計算する(正確には、国税庁長官の指示を受けて評価する。)という定めをしているわけです。
(3)なお、相続税法は、相続税の算定の基礎となる課税価格は時価で決まると定めています(相続税法22条)。あくまで、「時価」の計算方法について、通達によって定められた計算方法で計算するのか、それとも、その計算方法では著しく不適当と認めらえる場合にあたるから、合理的な方法で計算する(正確には、国税庁長官の指示を受けて評価する。)という問題になります。

令和4年4月19日付最判

 令和4年4月19日付最判では、「6億円を超える財産がありながら、相続税対策の目的で、、財産評価通達で計算された価格が2826万円に下げた(このため相続税の金額は0円となった)。このケースについては、の計算法が算方法では著しく不適当と認めらえる場合にあたるから、不動産鑑定士等が鑑定した時価で計算するべきである。」と判示しました。

令和4年4月19日最判   判例タイムズ1499号65頁

解説

(1)相続税の申告手続を画一的に行うために、財産評価通達で定められた計算方法で算定することが行われています。どのような場合に、その算定方式で定めた金額が、著しく不適当と認めらえる場合にあたるか、問題になります。
(2)本件では、節税の目的が認定されていますが、節税の目的があるからといって、著しく不適当と認められるわけではありません。なぜなら、節税の目的を持つことそのものは、経済的に合理的な行動であり非難できないからです。
 節税の目的で、土地の購入や借り入れをした結果、財産評価通達で定められた計算方法で計算した価格と、市場価格に差が出れば、「著しく不適当と認められるか」は今後の判例等の判断を待つことになります。
(3)また、特に、節税目的での財産の換価をしていないが、財産評価通達で定められた計算方法で計算した価格と、市場価格に差が出てしまった場合に、「著しく不適当と認められるか」についても、今後の判例等の判断を待つことになります。

判例タイムズ

 下記の判例解説が、参考になります。

 令和4年4月19日最判    判例タイムズ1499号65頁
 令和2年11月12日東京地裁 判例タイムズ1500号126頁

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