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刑事弁護の流れ

在宅事件の被疑者に説明すべきこと

2023/03/31 更新

在宅事件

(1)警察から被疑者として取り調べを受けているが、逮捕までされていない人の事件、自宅に帰ることができる人の事件を在宅事件と言います。
(2)在宅事件での心得は以下のとおりです。

1 任意取調べ

(1)逮捕されていませんので、警察官から取り調べのために呼ばれてもそれは、任意取り調べです。任意取調べについては取調べに応じるかどうかは自由です。いつでも、退出する権利があります。退出する理由を説明する必要もありません。
(2)確かに、任意取調べを拒否し続ければ捜査が進まないので、逮捕されるリスクもあります。
 したがって、捜査に協力すること、例えば、退出するにも次の出頭を約束する。1回につき1時間程度は取調べに応じることが必要です。
(3)「どう答えるか」迷ったら、いつでも取調室を出ることができます。弁護士と相談することも可能です。

2 黙秘権

(1)取調べ室に入ったとしても、終始黙っていることができます。特定の事項についてのみ「答えたくありません。」と回答することができます。

(2)答えたくない理由を聞かれても、「(理由も)答えたくありません。」と回答することもできます。

(3)「『〇〇については黙秘します。』と書かれた取調べ調書に署名してほしい。」と黙秘権を行使したことを証拠化した調書に署名を求められることもありますが、これも拒否することができます。

(4)これらは、全て黙秘権で守られている権利です。

(5)他方、捜査(取調べ)は警察にとっては仕事です。「黙秘権を行使する理由は何か。」と聞いたり、「『〇〇については黙秘します。』と書かれた取調べ調書に署名してほしい。」と黙秘権を行使したことを証拠化した調書に署名を求めたりすることは、警察としては許された行為となります。

 これに対して、黙秘権の行使としていずれも拒否することができます。

3 ポリグラフ検査

(1)ポリグラフ検査(うそ発見器)を使われると、黙秘権を行使することができなくなります。

 そこで、ポリグラフ検査の拒否は、黙秘権の一環として認められています。

(2)ポリグラフ検査を拒否することができます。ポリグラフ検査を拒否する理由を聞かれても、「(理由も)答えたくありません。」と回答することもできます。

(3)「ポリグラフ検査を拒否します。』と書かれた取調べ調書に署名してほしい。」と言われることもありますが、これも拒否することができます。

 ポリグラフ検査は、人の興奮等を把握する装置です。人の心の中をのぞく装置ではありません。  「あなたは、赤いバックを盗みましたか。」「あなたは、青いバックを盗みましたか。」「あなたは、黄色いバックを盗みましたか。」等の質問をして、人の脈拍等の変化を見て判断するだけです。  相手が興奮していれば、正確なデータもとれませんし、細かい事実を把握することもできません。装置を使うものは、事件の概要について把握したうえで、適切な質問を用意しなければ思うようなデータはとれません。  ある人がAの質問で興奮したからといって、Aの犯罪行為をしたとまでは認定できません。一般的な証拠価値は低いと言われています。  メジャーな使われ方としては、ポリグラフ検査をすると、嘘を言っても無駄だという形で、自白させる手法として使われることが多いです。

4 客観的証拠

(1)「客観的証拠を出すまで一切供述しない。」と警察と交渉ができます。

(2)警察は、ビデオカメラの映像、指紋、グーグルマップの履歴(携帯電話の履歴)等の客観的証拠を見せてくれます。

(3)「当時の記憶があいまいである。間違いで罪を認めるわけにはいけない。」として供述を拒むことは正当な権利です。

5 供述調書

(1)供述調書は、被疑者、参考人から話を聞き、警察官が文面を作成し、その内容を確認してもらい、署名指印を求めてきます。取調べ調書は、「警察官の作文」だと表現する人もいます。

 指印とは、指にインクを付けて文書への押印を求めるものです。

(2)供述調書を作成する場合、警察官は被疑者、参考人から話を聞きます。

 被疑者は黙秘権の行使として、前述した対応が可能です。

(3)供述調書を作成すると、警察官はこれを音読します。内容に間違いがないかは必ずチェックして下さい。

(4)供述調書は、被疑者、参考人の話をまとめた文書です。内容に間違いがあれば、訂正をお願いする権利があります。

 警察官が「同じ意味だから、この表現でもいいじゃないですか。」と言ってくることもあります。納得すれば、署名指印してもよいですが、納得できなければ署名指印しないで下さい。

(5)供述調書への署名指印については、これを拒否する権利があります。拒否する理由を聞かれても、「(理由も)答えたくありません。」と回答することもできます。また、「弁護士と相談してから、判断するので時間を下さい。」と回答することもできます。

(6)供述調書は、黙秘権の保障、(文面の)読み聞かせ、訂正の権利の保障、署名指印による確認の過程を経て作成されます。

 したがって、一度、供述調書に署名指印してしまうと、そのことは事実として扱われます。取調べ調書の内容を争うことは難しいです。そのことを理解したうで、署名指印については慎重に行う必要があります。

6 弁護人選任権

(1)「弁護士と相談するまで一切供述しない。」「弁護士と相談したいので、直ちに弁護士を呼んでほしい。」という権利があります。

(2)弁護士は他にも仕事を抱えています。直ぐには警察には来れないかもしれません。大変だとは思いますが、弁護士が来るまで黙秘を続けて頂く必要があります。

7 持ち物検査

(1)警察の取調べ前に持ち物検査をされることがあります。

(2)危険物は持ち込まないで下さい。

8 ICレコーダーは持ち込めない

(1)最近は、取調室に入る前にICレコーダーや携帯電話を出してくれと言われます。

(2)可能なら、取り調べ状況を録音して頂きたいところですが、現在は難しいというのが本音です。

9 警察からの連絡

(1)弁護士を選任しているのに、警察が直接本人に連絡してくる場合があります。

(2)「弁護士に相談しなければ何も答えられません。」と全て回答するようにして下さい。

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