【弁護士への相談】自作自演の事実がある場合の法的対応は判断が非常に難しいため、まずは弁護士に相談し、投稿内容の違法性や削除・発信者情報開示請求が可能かどうかを正確に診断してもらうことが解決への最短ルートです。
ネット上では、自社や自身の評価を高めるために、従業員や関係者が顧客を装って高評価の口コミを投稿する「ステマ(ステルスマーケティング)」や「サクラ投稿」が行われるケースがあります。しかし、こうした自作自演の工作がライバルや元従業員、一般のネットユーザーによって暴かれ、SNSや掲示板で暴露されるトラブルが後を絶ちません。
「自作自演をバラされた」「サクラ投稿の事実をネットに書かれて会社の信用が落ちた」という場合、書いた相手を名誉毀損で訴えることはできるのでしょうか。本記事では、ステマ・サクラ投稿の暴露に対する法的位置づけや、削除請求・損害賠償請求の可否について、法律の観点から分かりやすく解説します。
ステマ規制の強化と自作自演のリスク
近年、消費者が広告であることを判別困難な表示(ステルスマーケティング)は、景品表示法違反(一般消費者を誤認させる不当表示)の対象として厳しく規制されています。
企業や店舗が自ら、あるいは外部業者を使ってサクラ投稿を行い、あたかも第三者の客観的な高評価であるかのように見せかける行為は、行政処分の対象となるだけでなく、社会的信用を著しく失墜させるリスクを孕んでいます。
このように、そもそも自作自演のステマ行為自体が法令違反や不公正なビジネス慣行に該当するため、それを告発された場合にどのような法的保護が受けられるかは慎重に判断する必要があります。
暴露された内容を「名誉毀損」で訴えるためのハードル
他人の評判を落とす情報をネットに書き込まれた場合、形式的には刑法上の名誉毀損や民法上の不法行為(名誉権侵害)に該当するように見えることがあります。しかし、書き込まれた内容が「事実」である場合、法的責任を追及するハードルは非常に高くなります。
民事上・刑事上で名誉毀損が成立しない(あるいは違法性が阻却される)ための要件として、主に以下の3点が挙げられます。
- 真実性: 暴露された「自作自演であること」「サクラ投稿を行っていたこと」が客観的な事実に基づいていること。
- 公共性: その情報が広く一般の関心事項や社会的な問題に関するものであること。
- 公益目的: 記事や投稿の目的が、もっぱら公益を図るため(消費者への注意喚起など)であり、単なる私怨や嫌がらせではないこと。
もし、実際に自作自演のステマを行っていたという動かぬ証拠(チャット履歴や指示書など)が存在し、それを基に「この店舗はサクラを使っている」と暴露された場合、上記3つの要件を満たしやすくなります。その結果、名誉毀損の違法性が阻却され、投稿の削除や損害賠償の請求が認められない可能性が高くなります。
「真実」であっても削除や法的対抗が可能なケース
掲示板やSNSに書かれた内容が真実であったとしても、すべての暴露や批判が許されるわけではありません。以下のような事情がある場合には、違法性が認められ、削除請求や発信者情報開示請求が認められる余地が生じます。
- プライバシーや個人情報の違法な暴露: ステマの事実だけでなく、関与した個人のプライベートな写真、実名、連絡先、家族構成など、社会的相当性を欠く個人情報が晒されている場合。
- 侮辱・度を超えた誹謗中傷: 事実の指摘を超えて、「悪質な詐欺師」「犯罪者集団」といった過度な侮辱や、人格攻撃を主目的とした暴言が繰り返されている場合。
- 虚偽・誇張が含まれている場合: 「すべての従業員が犯罪に手を染めている」など、実際の自作自演の事実とは異なる誇張やウソが混ざっている場合。
このように、自作自演の事実があったとしても、表現のやり方や公開された情報の内容によっては、法的な救済を求められるケースがあります。
自作自演を暴露された企業が取るべき冷静な対応
ネット上でステマやサクラ投稿の暴露を受けたとき、感情的になって逆上したり、威圧的なコメントを返したりすることは事態をさらに悪化させる原因になります。炎上が拡大し、マスコミやSNSで拡散される「二次被害」を招く恐れがあるためです。
適切なステップとしては、まず弁護士などの専門家に相談し、以下のような点を客観的に分析することが重要です。
- 投稿内容の正確性の確認: 自社で行った投稿や指示が実際に存在し、客観的に真実と判断される内容かどうかを見極める。
- 権利侵害の有無の精査: 単なる真実の暴露にとどまらず、プライバシー侵害や度を超えた侮辱、虚偽の混入がないかを確認する。
- 総合的なレピュテーション対策: 法的措置(削除請求など)を進めるべきか、あるいは誠実な謝罪と再発防止策の公表によって信頼回復を図るべきかを戦略的に判断する。
ネット上の風評被害や誹謗中傷問題は、自社の法的立場や世論の受け止め方を冷静に分析した上で対応することが不可欠です。少しでもお困りの際は、ネットワーキング法務や名誉毀損問題に精通した弁護士へ早めにご相談ください。