【弁護士による迅速な対処と請求】被害を受けた個人や企業は、プラットフォームへの削除要請や、プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求による投稿者の特定、さらに損害賠償請求を行うことが可能です。二次被害やブランド失墜を防ぐためにも、早期に弁護士へご相談ください。
元社員によるSNSでの「社員晒し」がもたらす深刻なリスク
近年、X(旧Twitter)やInstagram、ThreadsなどのSNSにおいて、退職した元社員が在職時代の不満をぶつける目的で、社内の人間関係や特定の個人名を暴露する「社員晒し」のトラブルが急増しています。
「上司からのパワハラがあった」「〇〇という社員は仕事ができない」「特定の派閥でいじめが行われている」といった具体的な個人名を含む投稿は、単なる愚痴の域を超え、当事者である従業員の尊厳やプライバシーを深く傷つける行為です。
企業にとっても、こうした投稿が放置されることで、企業のブランドイメージ失墜、採用活動への悪影響、さらには「従業員を保護していなかった企業」としての使用者責任を問われるなど、経営基盤を揺るがす重大なリスクへと発展しかねません。
本記事では、元社員によるSNSでの個人名特定や社員晒しに対し、企業や被害を受けた従業員がどのように身を守り、法的な対処を行うべきかを弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所の視点から詳しく解説します。
元社員のSNS投稿が該当する法律上の問題
元社員が面白半分や悪意を持って行ったSNS投稿は、法的に見ていくつかの権利侵害や違法行為に該当する可能性極めて高いといえます。主な法的責任は以下の通りです。
- 名誉毀損罪(刑法第230条)および民事上の名誉毀損:社会的評価を低下させる具体的事実を不特定多数が閲覧できるSNSに摘示した場合に成立します。「事実であっても」社会的評価を低下させれば名誉毀損が成立することが多く、民事上の損害賠償請求の根拠となります。
- プライバシー権・肖像権の侵害:個人のプライベートな情報(社内の隠れた人間関係、プライベートなやり取り、容姿や名前など)を本人の同意なく公開することは、プライバシー権の侵害にあたります。
- 信用毀損業務妨害罪(刑法第233条):会社の業務に関する虚偽の風説を流布したり、偽計を用いて会社の信用を毀損したりした場合に成立します。
- 就業規則や退職合意書の守秘義務違反:在職中の機密情報や社内事情を外部に漏洩しないことは、通常の雇用契約や就業規則、あるいは退職時の合意書等で禁じられていることが多く、違約金請求や損害賠償の対象となります。
会社が負うべき「安全配慮義務」と従業員保護の重要性
元社員によるSNSでの晒し行為に対し、会社側が「辞めた人間の個人的な投稿だから関係ない」と静観することは許されません。
最高裁判所の判例等でも認められている通り、企業には労働契約に付随して、労働者が生命、身体、そして精神的な安全や名誉・プライバシーを害されないように配慮する義務(安全配慮義務)が課されています。
社内の人間関係や個人名がSNSで晒され、現役の従業員が精神的苦痛を受けているにもかかわらず、会社が放置し続けた場合、「従業員を守るための適切な措置を怠った」として、会社側も被害を受けた従業員から損害賠償請求をされるリスクが生じます。
したがって、企業は自社のブランド防衛の観点からだけでなく、現在働いている大切な社員の心身とプライバシーを守るためにも、元社員の悪質なSNS投稿に対して毅然とした態度で臨む必要があるのです。
被害を受けた際にとるべき具体的な法的ステップ
元社員によるSNSでの社員晒しを確認した場合、感情的に反論したり個人アカウントで直接連絡を取ったりすることは、さらなる炎上やトラブルの拡大を招くため避けるべきです。以下のステップに沿って、冷静かつ法的に正しい対処を進めてください。
- 証拠の保全(スクショとURLの確保):投稿内容が削除される前段階で、投稿全体のスクリーンショット(日時、アカウントID、フォロワー数などが分かるもの)や、ツイートのパーマリンク(URL)を確実に保存します。動画やスレッド形式の場合は全ての画面を記録してください。
- SNSプラットフォームまたはプロバイダへの削除請求:各SNSの違反報告機能を利用して削除を申請するほか、弁護士を通じて法的な根拠を示した上で、プラットフォーム事業者やホスティング事業者に対して迅速な削除仮処分・削除要請を行います。
- 発信者情報開示請求の実施:投稿者がアカウントを削除して逃亡した場合や、損害賠償請求・刑事告訴を行いたい場合は、プロバイダ責任制限法に基づき、IPアドレスや氏名・住所の開示を求める法的手続きを進めます。
- 損害賠償請求および刑事告訴:特定された元社員に対し、名誉毀損やプライバシー侵害を理由とした慰謝料等の損害賠償請求(示談交渉または民事訴訟)を行います。悪質なケースでは警察への刑事告訴も視野に入れます。
事前の予防策と、トラブル発生時の弁護士への相談のすすめ
このようなSNSトラブルを未然に防ぐためには、在職中からの労務管理の徹底が不可欠です。
- SNS利用に関するガイドライン(ポリシー)の策定と周知:勤務中・退職後を問わず、社内情報や人間関係、個人名をSNSに投稿することを明確に禁止するルールを定めます。
- 退職時の誓約書の徴収:退職手続きの際、守秘義務やSNS等での風評被害・誹謗中傷の禁止に関する誓約書に署名・押印を求めることが有効です。
- ハラスメントのない健全な労働環境の構築:元社員がSNSで告発したくなるような背景(深刻なハラスメントや不当な扱い)が社内に存在しないか、コンプライアンス体制を常に見直すことが最大の予防策となります。
万が一、元社員によるSNSでの個人特定や社員晒しが発生してしまった場合は、二次被害や炎上の拡大を防ぐため、ネット誹謗中傷対策や労務問題に精通した専門家へ早期に相談することが極めて重要です。
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所では、企業および従業員のプライバシー保護、悪質なSNS投稿の削除請求、発信者情報開示請求、法的措置の代行まで、総合的なサポートを提供しております。深刻な被害に発展する前に、どうぞお気軽にご相談ください。