【弁護士に依頼するメリット】警察に「民事不介入」として対応を断られるケースを防ぐため、弁護士のサポートのもとで証拠固めと告訴の手続きを進めることが、犯人の特定や損害賠償請求、さらなる風評被害の拡大防止に向けた最も確実な解決策となります。
インターネット上の掲示板やSNS、さらには転職口コミサイトなどに書き込まれた悪質なデマや誹謗中傷。これらが原因で企業が大きな損害を被るケースが後を絶ちません。
「会社の信用が落ちて売上が下がった」「悪質な書き込みをした犯人を逮捕してほしい」と警察に相談に行っても、担当者から「民事不介入と言われて断られた」「証拠が足りないと言われた」という話をよく耳にします。
では、警察が誹謗中傷や風評被害に対して、本格的に捜査へ動くのはどのようなタイミングなのでしょうか。本記事では、企業への風評被害において警察が「業務妨害罪」や「信用毀損罪」で動くための決定的な条件と、実務的な解決手順について詳しく解説します。
ネットの風評被害で問われる刑事責任とは
企業の社会的評価を低下させたり、業務を妨害したりするインターネット上の書き込みは、民事上の損害賠償請求だけでなく、犯罪として刑事責任が問われる可能性があります。主に問題となるのは以下の2つの罪です。
威力業務妨害罪(刑法第233条・第234条)
威力業務妨害罪は、人の社会的勢力を示し、または「威力」を用いて人の業務を妨害した場合に成立します。インターネット上に「あそこの会社は危険だ」「製品に異物が混入している」といった虚偽の情報を拡散し、顧客からの問い合わせやクレームが殺到して通常の業務が遂行できなくなったようなケースがこれに該当します。
信用毀損罪(刑法第233条)
信用毀損罪は、虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の「信用」を低下させた場合に成立します。ここでいう信用とは、経済的な信用(支払能力や商品の品質など)を指します。企業の経営状態に関する嘘の情報を書き込み、取引先との契約が破棄されたり、株価に悪影響が出たりした場合に適用されます。
警察が「業務妨害罪・信用毀損罪」で動かない本当の理由
「これだけの被害を受けているのに、なぜ警察はすぐ動いてくれないのか」と歯痒く感じている経営者や担当者の方も多いでしょう。警察がすぐに動かないのには、警察組織特有の事情と法律上のハードルがあります。
- 民事不介入の原則:私人間のトラブルや名誉毀損・損害賠償といった民事上の問題には、原則として警察は介入できません。
- 証拠の不足:「書き込みによってどれだけの損害が出たのか」「本当にその書き込みが犯人の所業なのか」を証明する客観的証拠がない状態では、捜査に着手しようがありません。
- 捜査リソースの限界:全国から寄せられる無数の相談の中で、証拠が曖昧なものまで捜査員を割いて対応することが物理的に困難であるという事情もあります。
警察が「動かざるを得ない」決定的な3つの条件
では、警察に動いてもらうためにはどのような条件をクリアする必要があるのでしょうか。実務上、警察が捜査に踏み切るためには、以下の3つの条件が揃っていることが不可欠です。
1. 業務に対する実害・重大な支障の証明
単に「嫌な書き込みをされた」というだけでは、警察は動きません。その書き込みが原因で、具体的な業務上の被害が発生している必要があります。例えば、取引先からの契約解除、銀行からの融資見合わせ、大量の抗議電話による業務麻痺、売上の急激な落ち込みなど、数値や書面で証明できる実害が必要です。
2. 虚偽性と悪質性の明白な証拠
書き込みの内容が「客観的な事実と異なること(虚偽性)」、そして投稿者が企業城を貶める目的を持っていた「悪質性」が明確でなければなりません。スクリーンショットの保存はもちろんのこと、その情報がデマであることを示す社内調査結果や関連資料を揃える必要があります。
3. 弁護士名義による「告訴状」の正式受理
ここが最も重要なポイントです。被害届を出すだけでは、警察は必ずしも捜査を開始しません。しかし、犯罪の事実を告発し、処罰を求める「告訴状」を提出し、それが受理された場合、警察には捜査を行う法的な義務が生じます。
ただし、一般企業が自力で法的要件を満たした告訴状を作成し、警察に受理させることは極めて困難です。そのため、刑事事件やネット対策に精通した弁護士を通じて提出することが、警察を動かすための決定的な鍵となります。
警察を動かすために企業が今すぐ講じるべき実務的ステップ
風評被害や悪質な書き込みに対して、警察の捜査や犯人の特定を進めるためには、以下のステップを迅速に踏むことが求められます。
- 証拠の保全:問題の書き込み画面(URL、投稿日時、アカウント名、記事内容)のスクリーンショットや魚拓を確実に保存します。
- 被害状況の数値化・文書化:風評被害による実害(業務停止時間、損害金額、解約された契約書など)を客観的な資料としてまとめます。
- 弁護士への相談:ネット上の誹謗中傷や刑事告訴に強い弁護士に相談し、発信者情報開示請求と刑事告訴の準備を並行して進めます。
- 告訴状の提出と捜査協力:弁護士のサポートのもとで告訴状を警察に提出し、犯人の特定に向けた捜査を促します。
まとめ:風評被害は泣き寝入りせず、専門家と連携した法的措置を
企業の風評被害や悪質な業務妨害を放置すると、企業のブランド価値が著しく低下し、回復不能なダメージを負うことになりかねます。「警察は動いてくれない」と諦める前に、客観的な証拠を揃え、法的な要件を満たした上で刑事告訴に向けた準備を行うことが重要です。
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所では、企業に対するネット誹謗中傷、風評被害、口コミサイト対策において、発信者情報の特定から刑事告訴、損害賠償請求まで一貫してサポートしております。被害にお悩みの企業様は、どうぞお早めにご相談ください。