【弁護士に依頼して法的手続を進めるメリット】海外法人を相手とする削除請求や発信者情報開示請求、さらには損害賠償請求では、英語での書類準備や海外送達など複雑な実務対応が求められます。インターネット誹謗中傷や風評被害に精通した弁護士に相談・依頼することで、東京地裁への仮処分申し立てや訴訟提起をスムーズに行い、迅速な悪質レビュー・誹謗中傷の削除と発信者の特定、そして適切な損害賠償請求の実現へとつなげることができます。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害において、ターゲットとなるプラットフォームの多くは、Google、Meta(Facebook、Instagram)、X(旧Twitter)、ByteDance(TikTok)といった海外巨大IT企業です。
これら海外法人に対して、名誉毀損やプライバシー侵害を理由に投稿の削除や発信者情報開示を求める場合、多くの被害者が「日本の裁判所で裁判ができるのか」「わざわざ海外の本社を相手に訴えなければならないのか」という疑問や不安を抱かれます。
結論から申し上げますと、適切な要件を満たしていれば、日本の裁判所(特に東京地方裁判所)に国際管轄が認められ、国内にいながら海外法人を相手方として法的手続を進めることができます。本記事では、実務上の観点から、海外法人に対する東京地裁の国際管轄の仕組みと注意点を分かりやすく解説します。
なぜ海外法人に対して日本の裁判所で裁判ができるのか
日本の民事訴訟法では、被告が外国法人であっても、日本国内において不法行為(名誉毀損や権利侵害など)があったときは、日本の裁判所に管轄権が認められると定めています。
インターネット上の誹謗中傷は、世界中のどこからでも閲覧可能ですが、日本国内のユーザーが閲覧し、日本国内で社会的評価の低下などの損害を受けた場合、その不法行為の結果発生地は日本国内となります。したがって、日本法に基づく国際管轄が肯定されることになります。
また、実務上、誹謗中傷対策の多くで利用される「発信者情報開示請求訴訟」や「削除仮処分命令申立て」においても、この国際管轄のルールが適用されます。
主要な海外プラットフォームと国際管轄の実務
インターネット上で一般的に利用されている主要なプラットフォームの多くは、米国やシンガポールなどに法人の登記上の本拠地を置いています。それぞれの特徴と東京地裁における管轄の考え方は以下の通りです。
- Google LLC(米国法人):検索エンジン、YouTube、Googleマップなどの運営主体。日本国内に日本法人が存在しますが、サービス提供主体は米国法人であるケースが多く、本国の米国法人を相手方として東京地裁に申し立てを行うのが一般的な実務です。
- Meta Platforms, Inc.(米国法人):FacebookやInstagramの運営主体。こちらも日本国内に拠点はあるものの、権利侵害に関する法的請求は米国法人を相手取ることが原則となります。
- X Corp.(米国法人):旧Twitterの運営主体。イーロン・マスク氏による買収および体制変更を経ていますが、国際管轄に関する基本的な法理に変わりはありません。
- ByteDance Ltd.(ケイマン諸島法人等)および関連会社:TikTokの運営主体。運営会社のスキームが複雑な場合がありますが、日本国内のユーザーに向けたサービス提供の実態に基づき、管轄が判断されます。
これらのプラットフォームに対する裁判手続きでは、東京地方裁判所が実務上の中心的な役割を果たしています。情報技術やインターネット案件に関する専門的な知見が蓄積されているため、多くの案件が東京地裁に集中しています。
海外法人を相手にする場合の具体的な法的手段
海外法人に対して法的措置を講じる場合、大きく分けて「削除請求(仮処分)」と「発信者情報開示請求」の2つのアプローチがあります。
1. 削除仮処分命令申立て
誹謗中傷の投稿やフェイクニュース、悪質なレビューなどを一刻も早く削除させたい場合、通常の訴訟よりもスピーディーに結果が出る仮処分手続を利用します。 東京地裁に対して仮処分の申し立てを行い、裁判所が権利侵害の明白性を認めると、海外法人に対して削除命令が発令されます。大手プラットフォームの多くは、日本の裁判所による正式な命令(またはそれに準ずる公的文書)に対しては、比較的迅速に応じる傾向にあります。
2. 発信者情報開示請求(裁判手続)
投稿者を特定して損害賠償請求や刑事告訴を行うためには、IPアドレスやタイムスタンプ、さらには登録されたメールアドレスや電話番号といった発信者情報の開示を受ける必要があります。 近年の法改正(プロバイダ責任制限法の改正など)により、手続きの効率化が図られていますが、相手が海外法人である場合、裁判の書類を海外の本社に正式に送達(外国送達)しなければならないというハードルが存在します。
海外法人に対する裁判・仮処分における実務上の注意点
日本国内の企業を相手にする裁判とは異なり、海外法人を相手とする手続きには独特の専門知識と手続上の留意点が必要です。
- 外国送達の手間と時間:裁判所の訴訟書類や仮処分の申立書等を、現地の言語(通常は英語など)に翻訳した上で、外交ルートや郵送等の正規の手続きを経て海外の法人本拠地に送達する必要があります。これには数ヶ月程度の時間がかかることが一般的です。
- 資格証明書(代表者証明書など)の取得:海外法人の登記簿謄本に相当する書類や、代表者の資格を証明する書面、さらにはそれらの日本語訳文の提出が裁判所から求められます。国によって取得方法や様式が異なるため、事前の調査が不可欠です。
- 任意の交渉の限界:裁判を起こす前に弁護士名義で削除要請の通知書を海外法人に送付することもありますが、相手が米国企業などの場合、任意の書面送付では対応が遅れる、あるいは無視されるリスクがあります。確実な対応を求めるためには、法的な拘束力を伴う日本の裁判所の手続きを利用することが極めて有効です。
弁護士に依頼するメリットと早期解決の重要性
海外法人(Google、Meta、X、ByteDanceなど)に対する国際管轄を伴う法的手続きは、通常の国内案件と比較して高度な専門性が要求されます。外国送達の実務経験、翻訳の手配、そして各プラットフォームのポリシーや日本法における権利侵害の立証技術など、総合的なリーガルスキルが必要です。
「海外の企業だからどうせ無理だろう」「英語が話せないから泣き寝入りするしかない」と諦めてしまう前に、ネット上の誹謗中傷や風評被害対策に精通した弁護士法人にぜひご相談ください。
当事務所では、国内外のプラットフォームに対する数多くの削除請求や発信者情報開示請求を手掛けており、東京地裁における国際管轄を踏まえた最適な法的アプローチをご提案いたします。誹謗中傷被害でお悩みの方は、被害が拡大する前に、お早めに弁護士までご相談ください。