弁護士法人のGoogle口コミに「相談に乗ってくれなかった」と書かれた時

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、ネット上の誹謗中傷削除・発信者情報開示命令(IPアドレス特定)・仮処分裁判実務に基づき、プロバイダ責任制限法および最新の判例に沿ってわかりやすく解説しています。

Q 弁護士法人のGoogleビジネスプロフィールに「相談に乗ってくれなかった」と事実無根の低評価口コミを書かれた場合、弁護士法に基づく受任拒否の正当性をどう示し、どのような法的手続きで削除や発信者特定を行えばよいですか?
A 【Google口コミ削除と法的措置のポイント】弁護士には法令や利益相反に基づく受任の自由があり、正当な理由による相談拒否は職務上の義務です。事実無根や感情的な低評価による社会的評価の低下は、Googleの利用規約違反として削除申請が可能です。また、悪質な虚偽投稿や営業妨害に対しては、プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求や損害賠償請求、仮処分申請を用いた法的措置により、投稿者の特定と根本的な解決を図ることができます。
【弁護士相談のメリット】感情的な反論は信用失墜のリスクを伴うため厳禁です。専門弁護士のサポートを受けることで、迅速かつ法的に正確な削除依頼や、損害賠償・発信者情報開示請求を円滑に進め、事務所の信頼を守りながら不当な風評被害を根本から排除することが可能になります。

法律事務所や弁護士法人にとって、インターネット上の評判やGoogleビジネスプロフィールの口コミは、事務所の信頼性を左右する極めて重要な要素です。

しかし、日々多くの相談や事件に向き合う中で、時として心外な低評価の口コミや、事実とは異なる悪意ある書き込みに直面することがあります。

その中でも特によく見られるのが、「相談に乗ってくれなかった」「冷たい対応をされた」という内容の口コミです。

法律事務所として適切な対応をとったにもかかわらず、このような感情的な書き込みを放置してしまうと、新規の相談者が誤解を受け、事務所の信頼失墜や業務上の不利益につながりかねません。

本記事では、弁護士法人のGoogle口コミに「相談に乗ってくれなかった」と書き込まれた際の法的背景、受任の自由の正当性、そして悪質な口コミに対する具体的な削除・法的対処法について詳しく解説します。


1. なぜ「相談に乗ってくれなかった」という口コミが投稿されるのか

法律事務所の口コミにこのような低評価が付けられる背景には、一般の方と法律専門職の間にある「認識のズレ」や、相談者の過度な期待が存在することが少なくありません。

具体的なシチュエーションとして、以下のようなケースが挙げられます。

  • 弁護士法の規定や利益相反により、そもそも受任や詳細な法律相談をお受けできなかったケース
  • 相談者の希望する解決方法が法的に実現不可能であり、その旨を専門的見地から説明したケース
  • 法テラスの要件や弁護士費用の関係で契約に至らなかったケース
  • 多忙な時期において、予約なしの飛び込み来訪や当日中の面談希望に対応できなかったケース

法律事務所側としては正当な理由や業務上の必要性があっての対応であったとしても、相談者側からすれば「邪険にされた」「話を聞いてもらえなかった」という主観的な不満が残り、それがそのままインターネット上の低評価という形で表出してしまうのです。


2. 弁護士における「受任の自由」と正当な判断

「相談に乗ってくれなかった」という批判に対し、法律事務所および弁護士側が毅然とした態度をとるべき最大の根拠は、弁護士法および弁護士倫理に認められた「受任の自由(事件を受けない自由)」です。

弁護士は、すべての依頼や相談を無条件に引き受けなければならないわけではありません。以下のような正当な理由がある場合、弁護士は受任や相談を拒絶することが認められています。

  • 利益相反(コンプライアンス上の問題): 既に受任している相手方や、利害が対立する関係者からの相談である場合。
  • 専門外の分野やリソースの限界: 当該事務所の専門領域ではない、あるいは現在の事件処理数に照らして十分な時間や人員を割くことができない場合。
  • 信頼関係の構築困難性: 相談者の言動に威圧的な態度や不誠実な点がみられ、信頼関係を築いて適正な事件処理を行うことが期待できない場合。
  • 不当な要求や違法な目的: 明らかに違法な目的を達成するための相談である場合や、法外な要求を繰り返す場合。

このように、弁護士が相談を断ったり、詳細な事情聴取の前に手続き上の理由でお断りしたりすることは、依頼者の利益を守り、公正な職務を遂行するために不可欠なプロセスです。

口コミに「相談に乗ってくれなかった」と書かれていたとしても、それが弁護士としての正当な業務判断に基づくものである場合、事務所側に非はありません


3. 口コミが名誉毀損や営業妨害にあたるケース

すべての低評価口コミが単なる不満の表明にとどまらず、法的措置の対象となるケースもあります。特に、以下のような状況が含まれている書き込みは、名誉毀損罪(刑法第230条)や民事上の不法行為(民法第709条)に該当する可能性があります。

事実無根の虚偽情報を流布された場合

実際に事務所を訪れておらず、相談すらしていない人物が、嫌がらせ目的で「お金を払ったのに何もしてくれなかった」「相談すら断られた」といった完全な虚偽の事実を書き込む行為です。これは明確な営業妨害にあたります。

守秘義務やプライバシーに関わる情報を暴露された場合

相談の過程で知り得た具体的な内容や、プライバシーに関わるデリケートな情報を特定できる形で書き込む行為です。これは弁護士法上の守秘義務違反を誘発させようとする悪質な嫌がらせといえます。

誹謗中傷や人格攻撃を伴う場合

単なる業務への不満を超えて、「あの弁護士は人間性が最低だ」「詐欺師のような事務所だ」など、弁護士個人の人格を攻撃し、社会的評価を著しく低下させる表現が含まれている場合です。


4. Google口コミで「相談に乗ってくれなかった」と書かれた時の対処ステップ

もし実際に低評価の口コミを投稿された場合、感情的に反論したり、投稿者と直接コメント欄で口論になったりすることは避けるべきです。以下のステップに沿って冷静かつ組織的に対応しましょう。

ステップ1:事実確認と記録の保存

まずは、投稿された内容と過去の相談履歴や予約台帳を突合し、本当にその人物からの相談があったのか、正当な理由に基づく対応であったのかを確認します。また、将来的な法的措置や削除請求に備え、口コミの画面スクリーニングやURLの保存(証拠保全)を必ず行います。

ステップ2:Googleへの削除申請(ポリシー違反の主張)

Googleの口コミポリシーに違反している書き込みは、プラットフォームに対して削除を申請することができます。「個人への嫌がらせ」「虚偽の情報の掲載」「利益相反や営業妨害を目的とした投稿」などに該当する場合、Googleの管理画面から削除リクエストを送信します。

ステップ3:冷静かつ客観的な返信文の掲載

削除が受理されるまでの間や、削除されなかった場合でも、未来の閲覧者(見込み顧客)に向けて適切な返信を行うことが極めて重要です。感情的な言葉は一切交えず、以下のようなトーンで返信を作成します。

【返信文の例文イメージ】
「当事務所では、すべての相談者様に対して真摯に向き合っておりますが、弁護士法および利益相反の規定、または事件の専門性等の観点から、やむを得ずご相談や受任をお断りする場合がございます。当事務所の業務方針にご理解を賜りますようお願い申し上げます。個別の事案に関する詳細なご質問につきましては、直接お電話または公式ホームページよりお問い合わせください。」

このような大人の対応を見せることで、第三者に対しても「この事務所は規律正しく、プロフェッショナルとして適切な判断をしている」という印象を与えることができます。


5. 悪質な投稿を放置するリスクと弁護士法人による法的対応

「ただのネットの悪口だから」と放置してしまうと、以下のような深刻なリスクを招く可能性があります。

  • 事務所のブランドイメージの低下: 法律の専門家である弁護士法人が、悪質な口コミに対して無防備であるという印象を与えてしまう。
  • 新規相談者・依頼者の機会損失: 法律トラブルを抱えている人は慎重に事務所を選ぶため、低評価や不穏な口コミがあると別の事務所に流れてしまう。
  • 模倣犯の誘発: 悪質な書き込みに対してペナルティがないと認識されると、さらなる嫌がらせや誹謗中傷の標的になりやすくなる。

Googleへの削除申請で対応しきれない場合や、悪質な虚偽投稿によって実害が生じている場合は、発信者情報開示請求や損害賠償請求といった法的措置を検討する必要があります。

弁護士法人自らが、インターネット上の風評被害や名誉毀損に対して毅然とした法的対応をとることは、事務所の権利を守るだけでなく、法の支配と公正なインターネット環境を維持するためにも重要な意義を持ちます。


まとめ

弁護士法人のGoogle口コミに「相談に乗ってくれなかった」と書かれた場合、それは多くの場合、弁護士の正当な「受任の自由」や業務上の判断に対する、相談者側の主観的な不満や誤解に起因するものです。

しかし、中には悪意ある嫌がらせや営業妨害を目的とした虚偽の投稿も存在するため、感情的に反発するのではなく、冷静な事実確認と証拠の保存を行い、Googleへの削除申請や適切な返信を行うことが求められます。

もし、悪質な口コミや名誉毀損的な書き込みによって事務所の業務に深刻な支障が出ている場合は、ネット誹謗中傷対策や風評被害解決に精通した専門の弁護士法人へ早めにご相談ください。適切な法的アプローチによって、貴所の信頼と秩序を守り抜くことが可能です。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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