【弁護士に依頼するメリット】法律上の要件を満たした説得力のある主張書面を作成し、慰謝料などの損害額の具体的な算定根拠を的確に立証するためには専門的な法知識が必要となるため、ネット中傷問題に精通した弁護士へ早期に相談・依頼することが勝訴や適正な損害賠償金の獲得への近道となります。
インターネット上の誹謗中傷や悪質な風評被害に対して法的措置をとる場合、避けて通れないのが裁判所への書類提出です。特に、加害者に対して金銭的な賠償を求める民事訴訟では、自身の主張を法的な根拠に基づいて書面化する作業が勝敗を大きく左右します。
本記事では、夕陽ヶ丘法律事務所の実務経験を基に、ネット中傷の損害賠償請求訴訟で提出する「口頭弁論の主張書面(訴状および準備書面)」の書き方と、勝訴に向けた重要なポイントを詳しく解説します。
ネット中傷訴訟における「主張書面」の重要性
日本の民事訴訟は、原則として書面主義が採用されています。法廷での口頭による主張も行われますが、裁判官が最も重視するのは事前に提出された書面です。
誹謗中傷の被害に遭った際、「いかに酷いことを書かれたか」という感情的な訴えだけでは、裁判所で損害賠償請求が認められることはありません。法律上の要件を満たしているか、証拠に基づいているかを、客観的かつ論理的な文章で構成された書面として提出する必要があります。
訴状と準備書面の違い
裁判の最初に原告側が提出する書面を訴状と呼びます。これに対し、被告からの反論に対してさらに言い返す書面や、審理の進行に伴って追加で提出する書面を準備書面と総称します。これらを総称して「主張書面」と呼び、裁判が終結するまでに何度もやり取りされることになります。
主張書面(訴状)に記載すべき3つの必須要素
ネット中傷の損害賠償請求を成功させるための主張書面には、大きく分けて3つの重要な要素を漏れなく記載する必要があります。
- 原告の主張(不法行為の成立要件)
- 権利侵害の明白性(違法性の証明)
- 損害額の算定根拠
それぞれの記載内容について、実務的なポイントを順に見ていきましょう。
1. 原告の主張(不法行為の成立要件)
民法709条に基づく損害賠償請求では、相手方の行為が「故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害したこと」を証明しなければなりません。
ネット中傷の文脈では、主に「名誉毀損」や「侮辱」、「プライバシー権侵害」などが該当します。主張書面では、問題となる投稿内容が、どのような理由で原告の社会的評価を低下させたのかを具体的に特定します。
- 対象となる投稿の全文(または該当部分)の正確な引用
- 投稿が掲載されたウェブサイトのURLや媒体名
- 投稿が閲覧された期間や拡散の状況(インプレッション数など)
これらを時系列で整理し、誰が見ても「これはひどい中傷である」と客観的に理解できる構成にする必要があります。
2. 権利侵害の明白性(違法性の証明)
単に「嫌なことを書かれた」という主観的な被害だけでなく、その表現が表現の自由の限界を逸脱している「違法なもの」である論証が不可欠です。
例えば、名誉毀損が成立するためには、「公然と」「事実を適示し」「人の社会的評価を低下させる」という要件を満たす必要があります。その書き込みの内容が「真実ではないこと(または真実相当性がないこと)」を、証拠を示しながら主張書面で展開していきます。
また、医療機関や飲食店などの事業者に対する風評被害の場合、売上の減少や予約のキャンセルといった実害に直結するため、業務妨害としての側面も併せて主張することが有効です。
3. 損害額の算定根拠
裁判所に対して「慰謝料として〇〇万円を支払え」と請求する際、その金額がどのように導き出されたのかという算定根拠を示す責任は原告側にあります。
根拠のない法外な金額を記載しても、裁判所に認められにくくなるだけでなく、訴訟の心証を悪くする原因にもなりかねません。実務上では、以下のような要素を総合的に考慮して損害額を算出します。
- 誹謗中傷の内容の悪質性・執拗さ
- 拡散の規模(大手SNSで数万回リポストされた等)
- 被害者が受けた精神的苦痛の大きさ
- 事業者の場合は、風評被害による具体的な営業損害・売上減少額
- 弁護士費用相当額(通常、認容額の1割程度が別途請求可能)
これらを裏付ける証拠(医師の診断書、売上台帳、SNSの拡散を示す画面キャプチャなど)を主張書面に紐付けて提出します。
説得力のある主張書面を作成するための実務テクニック
法律知識がないまま独力で主張書面を作成しようとすると、感情論に終始してしまったり、法律上の要件を満たしていない不十分な内容になったりするリスクが高くなります。裁判官にスムーズに理解してもらい、有利な判決や和解を引き出すためには、いくつかの実務的なテクニックが存在します。
事実と評価を明確に分ける
主張書面を書く際によくある失敗が、「客観的な事実」と「原告の主観的な評価・感想」が混同してしまうことです。
「相手は悪意を持って嘘を書き込んだ(主観・評価)」と主張するだけでなく、「被告は〇月〇日に『この店は衛生管理が最悪だ』と投稿したが、保健所の検査では違反が一切認められていない(客観的事実)」というように、事実を積み上げて違法性を導き出す文章構成が求められます。
証拠説明書との完全な連動
主張書面の中で「甲第1号証によると…」「甲第2号証の画像によれば…」というように、提出する証拠書類の番号と本文を正確に対応させます。証拠の裏付けがない主張は、裁判所において事実として認定されません。
訴状作成・ネット中傷訴訟を弁護士に依頼するメリット
ここまで、ネット中傷の損害賠償請求訴訟における主張書面の書き方やポイントを解説してきましたが、これらを実務レベルで完璧にこなすには高度な専門知識と豊富な経験が必要です。
法律事務所に依頼することで、以下のような大きなメリットが得られます。
- 法的に隙のない主張書の作成: 裁判官が判断を下しやすい構成・文面で、勝訴可能性を高める訴状・準備書面を作成できます。
- 発信者情報開示請求からのワンストップ対応: 投稿者を特定する仮処分・裁判から、損害賠償請求の本訴訟まで一貫した代理が可能です。
- 精神的負担の軽減: 加害者側との直接的な接触や、複雑な裁判手続きのストレスから解放されます。
ネット上の誹謗中傷や風評被害を放置すると、被害が長期化・深刻化するおそれがあります。適切な主張書面をもって毅然とした法的対応をとるためにも、まずはネット中傷対策に強い弁護士へのご相談をおすすめいたします。当事務所では、初回相談から親身になってお客様の権利を守るサポートを行っております。