発信者情報開示請求にかかる弁護士費用の相場と「2022年改正後の料金」

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、ネット上の誹謗中傷削除・発信者情報開示命令(IPアドレス特定)・仮処分裁判実務に基づき、プロバイダ責任制限法および最新の判例に沿ってわかりやすく解説しています。

Q 発信者情報開示請求を弁護士に依頼すると費用は総額でいくらかかりますか?2022年の法改正で何が変わりましたか?
A 【弁護士費用の相場】発信者情報開示請求にかかる弁護士費用は、着手金が合計20〜40万円程度、成功報酬が合計20〜40万円程度が一般的な相場となり、2段階の手続きを通じて発生します。
【2022年法改正による変更点】2022年10月の改正プロバイダ責任制限法施行により新設された「非訟手続」が導入され、従来必要だった裁判手続きの一部が簡素化され、より迅速な投稿者特定と権利侵害への対応が可能になりました。

インターネット上の掲示板やSNSに書き込まれた誹謗中傷、悪質な風評被害。「犯人を特定して損害賠償請求したい」「一刻も早く削除して投稿者を追い詰めたい」そうお考えの方にとって、発信者情報開示請求は非常に有効な法的手段です。

しかし、実際に弁護士へ依頼するとなると、気になるのが「費用がどれくらいかかるのか」という点ではないでしょうか。特に2022年10月に施行された改正プロバイダ責任制限法により、法制度や手続きが大きく変わり、費用の仕組みにも影響が出ています。

この記事では、発信者情報開示請求にかかる弁護士費用の相場から、2022年改正による料金・手続きへの影響、具体的な費用の内訳まで、夕陽ヶ丘法律事務所の実務経験を交えて分かりやすく解説します。

1. 発信者情報開示請求とは?2022年法改正のポイント

インターネット上で権利を侵害された場合、投稿者を特定するためには、まずサイト運営者(コンテンツプロバイダ)と、インターネット回線を提供している通信事業者(アクセスプロバイダ)の両方に対して情報の開示を求める必要があります。

2022年改正前の課題:2段階の手続き

従来の手続きでは、以下のような大きなハードルがありました。

  • ステップ1:SNSやサイト運営者に対して、IPアドレス等の開示を求める仮処分・訴訟を行う。
  • ステップ2:開示されたIPアドレスからプロバイダを特定し、そのプロバイダに対して契約者情報の消去禁止と開示を求める訴訟(または交渉)を行う。

このように、従来は「2つの裁判所手続き(2段階)」を経る必要があったため、解決までに半年から1年以上もの時間がかかり、それに伴って弁護士費用も高額になりがちでした。

2022年改正による「非訟手続(1段階化)」の新設

2022年10月に施行された改正法(現・プラットフォーム事業者情報開示等に関する法律)により、新たに「非訟手続(裁判所の手続の一種)」が導入されました。

これにより、裁判所を介した非訟手続の中で、コンテンツプロバイダに対する発者情報開示命令と、アクセスプロバイダに対する情報消去禁止・開示を一体的あるいはスピーディーに行うことが可能になりました。制度の合理化が進んだことで、事案によっては従来よりも時間的・金銭的負担が軽減されるケースが増えています。

2. 発信者情報開示請求の弁護士費用相場【項目別】

弁護士費用は法律事務所によって独自に設定されていますが、一般的な相場には一定の目安があります。開示請求を「任意交渉」から「裁判手続」までトータルで依頼した場合の相場は、以下のようになります。

  • 着手金(トータル):約 20万円 〜 40万円(税別)
  • 報酬金(トータル):約 20万円 〜 40万円(税別)
  • 実費(通信費・裁判所手数料など):約 3万円 〜 10万円

それぞれの項目について、詳しく内訳を確認していきましょう。

着手金の相場と意味

着手金とは、事件の成果(投稿者の特定や削除成功)に関わらず、弁護士が業務を開始する段階で支払う費用です。

  • コンテンツプロバイダ(TwitterやGoogle、匿名掲示板など)への開示請求・仮処分:約 10万円 〜 20万円
  • アクセスプロバイダ(ドコモ、ソフトバンク、Nifty、OCNなど)への開示請求・訴訟:約 10万円 〜 20万円

事務所によっては、コンテンツ側とアクセス側の両方を含めた「一括パック料金」を設定しているところもあります。

報酬金の相場と意味

報酬金とは、目的が達成された(=投稿者の氏名・住所が特定できた、または損害賠償が回収できた)際に発生する成功報酬です。

  • 特定成功報酬:約 15万円 〜 30万円
  • 損害賠償請求の回収成功報酬:回収額の 10% 〜 20% 程度

「投稿者の特定はできたが、損害賠償請求まで行うか」によって報酬の体系が変わるのが一般的です。

実費の内訳

弁護士費用とは別に、手続きを進める上で実費が必要になります。

  • 裁判所の手数料(収入印紙代):数千円程度
  • 予納郵券(切手代):数千円〜1万円程度
  • 登記事項証明書や戸籍謄本の取得費用:数百円〜数千円
  • IPアドレス調査等の技術的調査費用(専門業者を入れる場合):数万円(事案による)

3. 2022年改正後の料金・費用への影響とは?

「法改正で手続きが新しくなったなら、弁護士費用は安くなったの?」というご質問をよくいただきます。結論から言うと、単純に費用全体が劇的に安くなったわけではありませんが、コストパフォーマンスが向上したと言えます。

裁判手続きの効率化によるメリット

改正法で導入された非訟手続を利用する場合、従来の通常訴訟に比べて審理期間が短縮される傾向にあります。弁護士の稼働時間が短縮されることで、事務所によっては「訴訟よりも着手金を抑えた料金プラン」を設定している場合があります。

一方で、新しい法制度であるため、裁判所に対する申し立て書の精査や、デジタル・通信に関する専門的な立証書類の準備など、弁護士側の専門性がより強く求められるようになりました。そのため、相場自体が急激に暴落することはありませんが、「無駄な手数をかけずに最短ルートで特定に至る」という点で、依頼者にとっての費用対効果は確実に高まっています。

4. 弁護士費用を検討する際の3つの注意点

ネット上の誹謗中傷対策や開示請求を弁護士に依頼する際は、単に「総額が安いかどうか」だけで選ぶのは危険です。以下の3点に注意して法律事務所を選びましょう。

① 料金体系が明確に明記されているか

「着手金無料・完全成功報酬型」と謳っていても、実際には「着手金は無料だが、基本手数料や実費が別途高額にかかる」「成功報酬の定義が曖昧」といったトラブル耳にします。見積書の段階で、どの工程にいくらかかるのかが明確に示されているかを必ず確認してください。

② ネット誹謗中傷・開示請求の実績が豊富か

発信者情報開示請求は、IT技術(IPアドレス、プロバイダの仕組み、ログ保存期間など)と最新の法改正実務に関する高度な専門知識が必要です。不慣れな事務所に依頼してしまうと、ログの保存期間(通常3〜6ヶ月程度)に間に合わず、特定不能になってしまうリスクがあります。実績のある事務所を選ぶことが、結果的に無駄な費用をかけない最大の防御となります。

③ ログ保存のタイムリミットに注意する

誹謗中傷の書き込みや風評被害に気づいたら、一刻も早く弁護士に相談することが費用対効果を高めるコツです。アクセスプロバイダが保持しているアクセスログは、時間が経つと自動的に消去されてしまいます。消去されてしまうと、いかに高額な費用をかけて裁判を起こしても、投稿者を特定することができなくなってしまいます。

まとめ:ネット中傷の開示請求は夕陽ヶ丘法律事務所にご相談ください

発信者情報開示請求にかかる弁護士費用の相場は、着手金と報酬金を合わせておおむね40万〜80万円程度(実費別)となります。2022年のプロバイダ責任制限法改正(新・非訟手続の導入)により、手続きの合理化が進みましたが、専門的な法知識と迅速な対応が不可欠であることに変わりはありません。

ネット上の誹謗中傷や風評被害を放置すると、被害が拡大し、精神的・経済的ダメージがさらに膨らんでしまいます。ログが消えてしまう前の「初動の早さ」が何よりも重要です。

夕陽ヶ丘法律事務所では、ネット誹謗中傷・風評被害対策に特化した弁護士が、2022年改正法にも完全対応したスピーディーかつ確実な発信者情報開示請求を行っております。費用体系につきましても、ご相談時に分かりやすく透明性の高いお見積りをご提示いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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