【弁護士を通じた法的手続きのメリット】加害者が謝罪や示談に応じない背後には、刑事責任や名誉毀損の証拠化を恐れる心理的防衛が働いています。被害者が泣き寝入りせず、弁護士のサポートのもとで損害賠償請求訴訟を断行することは、精神的な救済だけでなく、悪質な誹謗中傷に対する社会的制裁としても極めて有効な手段となります。
発信者情報開示請求の成功と「示談決裂」の現実
長期間にわたる発信者情報開示請求の手続きを経て、ようやくネット上の誹謗中傷を行った加害者の氏名や住所を特定できた――。被害者の方にとって、これは大きな第一歩です。
しかし、加害者の身元が判明した後に始まる示談交渉において、多くのトラブルが発生します。その代表例が、加害者側による「謝罪の拒否」です。
加害者は連絡を取れる状態になった途端に弁護士を立ててきたり、自ら「書き込みはしたが、そこまで悪いことをしたとは思えない」「謝罪文を書くのは嫌だ」と突っぱねたりすることが少なくありません。
「お金は払うかもしれないが、絶対に謝らない」と言い張る加害者に対して、被害者感情としては到底納得がいかないことでしょう。では、加害者が謝罪を拒否した場合、被害者は泣き寝入りするしかないのでしょうか。
結論から申し上げますと、任意の示談が不調に終わった場合でも、地方裁判所や簡易裁判所に対して民事訴訟(損害賠償請求訴訟)を提起することで、加害者に法的責任を真っ向から追及することが可能です。
なぜ加害者は謝罪を拒否するのか
示談交渉の段階で加害者が謝罪を拒む背景には、心理的な防衛本能や、法的なリスクに対する誤解が潜んでいます。
- 刑事責任や追加の法的責任を恐れている: 謝罪文や示談書に一筆書いてしまうと、それが自身の犯罪行為(名誉毀損罪や侮辱罪など)を認める決定的な証拠になると恐れるケースです。
- プライドや逆恨みの感情: 「特定されて悔しい」「自分も被害者だ」という歪んだ認知から、被害者に対して謝罪の意を示すことをプライドが許さないケースがあります。
- 弁護士からのアドバイス: 示談金に加えて謝罪文の交付まで応じると条件が複雑化するため、弁護士が「金銭の支払いによる解決のみに留めるべきだ」と助言しているケースもあります。
しかし、これらの事情は被害者にとって考慮すべきものではありません。権利を侵害された被害者が被った精神的苦痛は消えることがなく、適切な賠償とけじめをつけさせる必要があります。
謝罪拒否に対して民事訴訟でできること
任意の示談交渉で加害者が謝罪を拒否した場合、次のステップとして選ばれるのが民事裁判(損害賠償請求訴訟)です。訴訟では、裁判所という公的な機関を通じて法的な解決を図ります。
1. 慰謝料および弁護士費用の請求
日本の民事裁判において、裁判所が加害者に対して「被害者に謝罪文を書きなさい」「謝罪広告を出しなさい」と命令する判決が出るケースは、極めて名誉毀損の程度が重い特殊な事案(大手メディアや著名人の事案など)を除き、実際には容易ではありません。表現の自由や思想良心の自由との兼ね合いがあるためです。
そのため、通常の実務では、金銭的な賠償(慰謝料+開示請求にかかった弁護士費用・調査費用)を大幅に上乗せして請求することになります。
「謝らないのであれば、その分、より高額な金銭的負担をしてもらう」という形で、実質的なペナルティを科すのが民事訴訟の大きな目的となります。
2. 判決による社会的制裁と事実の認定
民事訴訟で勝訴判決(または原告の主張をほぼ認める内容での和解)を得ることは、金銭的な回収以上の大きな意味を持ちます。
裁判所の判決書には、「被告のインターネット上の投稿は原告の人権や名誉を違法に侵害するものであり、不法行為を構成する」という明確な司法判断が記載されます。
これにより、「自分が投稿した内容は明確に違法な犯罪行為であり、裁判所によって断罪された」という事実が公的に残り、加害者に対して強烈な社会的・心理的制裁を与えることができます。
民事訴訟を提起する際の流れと実務上のポイント
実際に裁判を起こす場合、どのような手順で進め、何に注意すべきかを解説します。
- 証拠の保全と整理: 開示請求の過程で得られたプロバイダからの回答書、問題となったネット上の誹謗中傷の画面スクリーニング、タイムスタンプなどの証拠を完全に揃えます。
- 訴状の作成と管轄裁判所の決定: 加害者の住所地を管轄する裁判所、または不法行為地(被害者の住所地など)を管轄する裁判所に提出する「訴状」を作成します。
- 裁判の進行(期日): 訴訟が受理されると、数回にわたって裁判期日(口頭弁論や和解期日)が開催されます。代理人弁護士を選任していれば、被害者本人が毎回出頭する必要は基本的にありません。
- 判決または和解による解決: 裁判官から和解の勧告がなされることも多くあります。和解条項の中に「今後一切の接触の禁止」や「将来の再発防止・違約金条項」を盛り込むことで、金銭解決以上の実効性を確保することができます。
弁護士に依頼するメリットと夕陽ヶ丘法律事務所のサポート
加害者が謝罪を拒否して頑なな態度をとっている場合、被害者本人が直接連絡を取ることは二次被害(精神的ストレスや新たなトラブル)を招く危険性が極めて高いため、絶対に避けるべきです。
弁護士を代理人として立てることで、以下のような圧倒的なメリットがあります。
- 精神的負担の完全な軽減: 加害者側との直接的な連絡や交渉、裁判所とのやり取りのすべてを弁護士が代行するため、日常生活や仕事への影響を最小限に抑えられます。
- 法的根拠に基づいた高額請求: 過去の裁判例や類似事例の相場を踏まえ、裁判所が認めざるを得ない適正かつ最大の損害賠償額を算定・主張します。
- 粘り強い交渉と訴訟対応: 任意の段階で謝罪を拒む相手に対しても、訴訟提起を視野に入れた法的プレッシャーをかけることで、相手の態度を軟化させたり、妥協を引き出したりすることが可能です。
ネット上の誹謗中傷や風評被害において、加害者の身元を特定できたことは大きな前進です。たとえ最初の段階で謝罪を拒まれたとしても、あきらめる必要は一切ありません。
当事務所では、発信者情報開示請求から、その後の示談交渉、さらには民事訴訟による損害賠償請求まで、一気通貫で手厚くサポートいたします。誹謗中傷被害でお悩みの方は、一人で抱え込まず、どうぞお早めに夕陽ヶ丘法律事務所へご相談ください。