Meta Platforms(米国法人)に対する「インスタ削除仮処分」の手続き

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、ネット上の誹謗中傷削除・発信者情報開示命令(IPアドレス特定)・仮処分裁判実務に基づき、プロバイダ責任制限法および最新の判例に沿ってわかりやすく解説しています。

Q Instagramで誹謗中傷やなりすまし投稿をされた際、運営元の米国Meta社に対してどのように削除を求めればよいですか?
A 【法的手続きと対象】Instagramの運営会社である米国Meta Platforms, Inc.を相手方とする場合でも、日本の裁判所に「削除仮処分」を申し立てることが可能です。通常の裁判では解決までに長時間を要するため、一刻も早い救済が必要な場合には法的判断に基づいた迅速な仮処分手続きが極めて有効です。
【弁護士に依頼するメリット】外国法人に対する法的手続きとなるため、英文申立書の翻訳や米国での送達手続きといった高度な実務対応が不可欠です。自力での削除申請で対応してもらえない場合でも、誹謗中傷やプライバシー侵害、名誉毀損に精通した弁護士に依頼することで、適切な法的根拠に基づいた迅速な削除の実現や、その後の発信者情報開示請求・損害賠償請求までスムーズに進めることができます。

Instagram(インスタグラム)上で、名誉毀損にあたる誹謗中傷やプライバシーを侵害する写真、身に覚えのないなりすましアカウントによる被害に悩まされるケースが急増しています。運営元であるMeta Platforms, Inc.(米国法人)に対し、自力で削除申請を行っても「規約違反に該当しない」などの理由で対応してもらえない場合、法的措置を検討せざるを得ません。

通常の裁判(本訴)では解決までに半年から1年以上を要するため、一刻も早い救済を求める被害者にとって大きな負担となります。そこで活用されるのが、裁判所を通じて迅速に削除命令を出してもらう「仮処分」という法的手段です。

本記事では、東京地裁や大阪地裁などの管轄裁判所における、米国Meta社に対するインスタ削除仮処分の実務と手続きの流れについて、弁護士法人の視点から詳しく解説します。

なぜインスタの削除に「仮処分」が必要なのか

SNS上の誹謗中傷は、情報の拡散スピードが非常に速いため、被害を最小限に抑えるためには「スピード感」が命となります。

裁判には、大きく分けて「本訴(通常の民事訴訟)」と「仮処分」の2種類が存在します。本訴を起こした場合、判決が出るまでに数か月から1年以上の時間がかかります。その間にも誹謗中傷の画像や投稿がインターネット上に残り続け、企業の社会的信用や個人のプライバシーが深く傷つき続けることになります。

これに対し、仮処分は「緊急の必要性」が認められる場合に、本訴の判決を待たずに暫定的な命令を発令してもらう手続きです。東京地裁や大阪地裁などの主要な裁判所では、名誉毀損やプライバシー侵害が明白な事案において、迅速な審理を行い、数週間から数か月程度で仮処分命令が発令されるケースが多く見られます。

相手方は「米国法人(Meta Platforms, Inc.)」

Instagramの日本国内におけるサービス提供やマーケティングは「Meta Platforms Japan合同会社(日本法人)」が行っていますが、プラットフォームの運営主体であり、サーバーを管理してデータの削除権限を実質的に有しているのは、米国のMeta Platforms, Inc.です。

そのため、インスタグラムの投稿削除を求める仮処分の相手方は、原則として米国カリフォルニア州に本拠地を置くMeta Platforms, Inc.となります。

外国法人を相手方とする法的手続きには、国内の企業を相手にする場合とは異なる独自のハードルが存在します。主な注意点としては、以下の要素が挙げられます。

  • 申立書や証拠書類の英文翻訳が必要になるケースがある
  • 日本から米国法人に対して裁判書類を正式に届ける「外国送達(ハーグ条約に基づく送達など)」の手続きが必要となる
  • 米国法人の代理人弁護士との交渉や、裁判所を通じた書類のやり取りに専門的な知見が求められる

このような国際的な法的手続きの壁があるため、個人でMeta社に対して仮処分の申し立てを行うことは極めて困難です。SNS上の権利侵害に強い弁護士に代理人を依頼することが不可欠となります。

インスタ削除仮処分の具体的な流れ

東京地裁や大阪地裁などの管轄裁判所における、Meta Platforms, Inc.を相手方としたインスタ削除仮処分の一般的な流れは以下の通りです。

1. 証拠の保全と権利侵害の主張立証

まずは、問題となるInstagramの投稿画面のスクショ(URLや投稿日時が確認できるもの)を確実に保存します。その上で、その投稿がどのような理由で名誉毀損やプライバシー侵害、著作権侵害などに該当するのかを法律的な観点から整理し、申立書を作成します。

2. 裁判所への仮処分命令申立て

管轄の地方裁判所(東京地裁や大阪地裁など)に対して、削除仮処分の申し立てを行います。この際、裁判所に対して「なぜ今すぐ削除しなければならないのか」という被保全権利の存在保全の必要性を十分に説明・疎明する必要があります。

3. 審尋(しんじん)または書面審理

裁判官による審理が行われます。通常、相手方である米国Meta社に対しても意見を述べる機会(意見聴取)が与えられますが、実務上は書面やオンライン会議システム(Web会議など)を通じて審理が進められることが多くなっています。

4. 担保金の供託

裁判所から仮処分命令を発令する旨の判断が下された場合、申し立てる側は、相手方に損害を与えた場合の賠償金に充てるための担保金(保証金)を法務局に供託する必要があります。この担保金は、本訴提起や手続き終了後に原則として全額返還されます。

5. 仮処分命令の発令とMeta社への送達

担保金の納付が確認されると、裁判所からMeta Platforms, Inc.に対して削除命令(仮処分命令)が発令されます。正式な書類がMeta社に送達されると、多くのケースでMeta社側が自主的に該当投稿の削除に応じることになります。

弁護士に依頼するメリットと費用対効果

Meta Platforms, Inc.に対するインスタ削除の仮処分を成功させるためには、以下の専門的なアプローチが求められます。

  • 的確な権利侵害の主張: 表現の自由との兼ね合いを考慮しつつ、違法性を裁判所に論理的に認めさせるスキル
  • 国際送達や外国法人対応の実務経験: 米国法人特有の法的手続きや英語書類のやり取りに対するスムーズな対応力
  • 迅速なスピード対応: 被害が拡大する前に一刻も早く申し立てを完了させる機動力

弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所では、SNSの風評被害やネット誹謗中傷対策に特化しており、大手プラットフォーム(X、Instagram、TikTok、Googleマップ等)に対する削除仮処分や発信者情報開示請求の豊富な実績を有しています。

「消してもすぐにアカウントを変えて同じ投稿を繰り返される」「個人で連絡しても全く対応してもらえない」といったお悩みを抱えている方は、泣き寝入りする前に、ぜひ一度当事務所の初回法律相談をご活用ください。

まとめ

Instagram上の悪質な誹謗中傷やなりすまし投稿は、放置すると企業価値の失墜や個人の精神的・社会的ダメージにつながります。運営元である米国Meta Platforms, Inc.に対する削除仮処分は、日本の裁判所を通じて法的強制力を持って解決を図るための極めて有効な手段です。

専門知識を持つ弁護士が代理人に就くことで、英文の煩雑な手続きや裁判所との折衝をスムーズに進め、迅速な解決を目指すことが可能となります。誹謗中傷被害にお困りの際は、専門の法律事務所へ早めにご相談ください。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

TOP