SNSの誹謗中傷で「海外法人(米国・シンガポール等)」へ請求する費用

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、ネット上の誹謗中傷削除・発信者情報開示命令(IPアドレス特定)・仮処分裁判実務に基づき、プロバイダ責任制限法および最新の判例に沿ってわかりやすく解説しています。

Q X(旧Twitter)やInstagramなどの海外SNSにある誹謗中傷を削除・開示請求する場合、弁護士費用や実費は総額でいくらかかりますか?
A 【費用の目安と内訳】XやInstagram、TikTokなどの海外法人を相手とする誹謗中傷の削除や発信者情報開示請求では、国内案件の費用に加え、英文書類の作成費、専門的な翻訳費、国際送達費用などの特殊な実費が発生するため、総額で50万円から150万円程度を見込んでおく必要があります。
【法的措置のポイントと弁護士相談のメリット】プロバイダ責任制限法を踏まえた仮処分や訴訟手続きでは、外国法や国際条約に対応した専門知識が不可欠です。早期に弁護士へ依頼することで、社会的評価の低下を防ぐための迅速な削除や、投稿者の特定・損害賠償請求に向けた適切な法的アプローチが可能となります。

X(旧Twitter)やInstagram、TikTok、YouTubeなどの主要なSNSプラットフォームを運営する企業の多くは、米国やシンガポールなどに拠点を置く海外法人です。

ネット上の誹謗中傷や風評被害に悩む方にとって、これらの海外事業者に対して投稿の削除や発信者情報の開示を求める手続きは、国内の企業を相手にする場合とは異なる専門的な知識や費用が必要となります。

この記事では、海外法人に対して誹謗中傷対策を行う際にかかる費用の内訳や、国内対応との違い、費用対効果を高めるためのポイントについて詳しく解説します。

海外法人相手の誹謗中傷対策で必要となる費用の全体像

海外SNS事業者に対して誹謗中傷の削除や発信者情報開示を求める場合、弁護士に支払う報酬のほかに、国際特有の実費が発生します。

国内のプロバイダ責任制限法に基づく請求であれば、日本の裁判所を通じた手続きが比較的スムーズに進みますが、相手が海外法人の場合、外国法や国際条約、現地の法制度を考慮した手続きが必要になります。

一般的に発生する費用の主な項目は以下の通りです。

  • 着手金・報酬金:弁護士に交渉や法的手続きを依頼する際の基本費用
  • 翻訳費:日本の裁判所に提出する証拠や、海外企業へ送付する通知書の英訳・和訳費用
  • 英文書類作成・国際郵便費:海外法人へ送付する正式な通知書(リーガルレター)の作成費および国際配達実費
  • 裁判所の手続き費用(予納郵券・収入印紙等):仮処分命令の申し立てや訴訟提起にかかる実費
  • 国際送達費・現地代理人費用(必要な場合):海外の現地法人や登記上の住所へ書類を正式に送達するための費用

これらの費用は、事案の複雑さや、相手方事業者の対応(任意の削除に応じるか、裁判手続きが必要か)によって大きく変動します。


項目別の具体的な費用目安と内訳

海外SNS事業者に対する法的手続きを進める際、具体的にどの程度の費用がかかるのか、項目ごとに目安を確認していきましょう。

1. 弁護士の着手金・報酬金

海外法人を相手どる場合、通常の国内案件と比較して高度な法的リサーチや外国法への対応が求められるため、着手金や成功報酬がやや高めに設定されている法律事務所が多く見られます。 一般的には、削除請求の着手金として10万円から30万円程度、発信者情報開示請求(裁判手続を含む)では着手金が20万円から50万円程度、成功した際の報酬金が同程度発生するのが一般的な相場です。

2. 翻訳費・英文書類作成費

海外のプラットフォーム運営会社に対して法的要求を行う場合、日本の裁判所の決定書や弁護士の通知書を英語(または現地の公用語)に翻訳し、正確な法律用語を用いて作成する必要があります。 また、相手から提示される英語の規約や回答書を読み解くための和訳費用も必要です。翻訳の分量や専門性によりますが、数万円から15万円程度の専門翻訳費用が見込まれます。

3. 裁判所における仮処分・訴訟費用

任意の削除要請に応じない場合、日本の裁判所を通じて「仮処分命令」の申し立てや「発信者情報開示請求訴訟」を提起します。 この際、裁判所に納める収入印紙代や予納郵券代に加えて、海外法人へ裁判書類を正式に届けるための「国際送達費用」が必要となります。国際送達には数万円の実費がかかるケースが一般的です。


国内法人と海外法人で費用や難易度が異なる理由

「なぜ海外企業が相手だと費用が高くなり、手続きが複雑になるのか」と疑問に思われる方も少なくありません。これには明確な理由があります。

  • 準拠法や管轄の複雑性:多くの海外SNSの利用規約には、トラブルシューティングの管轄裁判所が米国カリフォルニア州やシンガポールなどに指定されている場合があります。日本の法律(プロバイダ責任制限法など)がそのまま適用できるかどうかの法的検討が必要です。
  • 書類の送達手続きの壁:日本国内の事業者であれば郵送や代表者住所への送達が容易ですが、海外法人の場合は外務省を経由した国際郵便や、現地の法律事務所を通じた特殊な送達手続き(ハーグ条約に基づく送達など)が必要となるケースがあります。
  • 表現の自由を巡る文化・法制の違い:米国企業などは特に「表現の自由」を重んじる傾向があり、名誉毀損やプライバシー侵害の基準が日本と異なるため、削除のハードルが高く設定されていることがあります。そのため、法的に正当な権利侵害であるという主張をより強固に組み立てる必要があります。

費用対効果を高めるために弁護士に相談すべき理由

海外SNSにおける誹謗中傷は、放置すると世界中に拡散し、企業のブランド価値低下や個人の社会的信用の失墜といった取り返しのつかない被害につながります。

「費用がかかりそうだから」と泣き寝入りしてしまう前に、まずは以下のポイントを踏まえて弁護士に相談することをおすすめします。

  • 証拠の保全が最優先:投稿が削除されたりアカウントが凍結されたりすると、証拠が失われます。費用を検討する前に、まずは魚拓やスクリーンショットなどの証拠を確実に保存しましょう。
  • 費用対効果(費用倒れのリスク)の事前診断:弁護士費用と、得られる成果(損害賠償金の回収や投稿削除による平穏の回復)のバランスを見極め、勝訴の可能性や開示の可能性について的確な見立てを聞くことが重要です。
  • 海外SNS対応の実績の有無:海外法人を相手にした発信者情報開示請求や削除請求は、専門的なノウハウが必要です。過去に同様のトラブルを解決した実績のある法律事務所を選ぶことで、無駄なコストや時間を削減できます。

まとめ

SNS上の誹謗中傷が海外法人(米国・シンガポール等)を運営主体とするプラットフォームで行われている場合、国内の案件に比べて翻訳費や国際送達費などの実費が加わり、弁護士費用も複雑化する傾向があります。

総額として数十万円から150万円程度を見込んでおく必要がありますが、放置した際のリスクを考慮すれば、専門の弁護士に早期に相談し、適切なアプローチを選択することが被害を最小限に抑える確実な方法です。

当事務所では、海外SNSにおける誹謗中傷・風評被害対策について豊富な実績がございます。費用や手続きの流れについて不安な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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