SNSの投稿削除で「海外法人の代理人弁護士」と交渉する際の実務

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、ネット上の誹謗中傷削除・発信者情報開示命令(IPアドレス特定)・仮処分裁判実務に基づき、プロバイダ責任制限法および最新の判例に沿ってわかりやすく解説しています。

Q X(旧Twitter)やGoogleなどの海外SNSで誹謗中傷を受けた際、相手方の「海外法人の代理人弁護士」と交渉してスムーズに削除するにはどうすればよいですか?
A 【海外プラットフォームの削除交渉における実務ポイント】MetaやGoogleなどの海外法人が運営するサービスでは、国内の指定代理人弁護士が窓口となることがあります。交渉の際は、日本の裁判所を通さずとも、日本法における権利侵害の明白性を的確な法的根拠と証拠に基づいて主張・立証することが極めて重要となります。
【弁護士を代理人とするメリット】サーバーやデータ管理拠点が国外にあり、外国法が準拠法に指定されているケースでは、個人や自社のみで対等に交渉して削除を実現させるのは極めて困難です。ネット誹謗中傷や風評被害に精通した弁護士を代理人とすることで、法的な要件を満たした適切な申し立てを行い、迅速な投稿削除へとつなげることが可能になります。

X(旧Twitter)やInstagram、YouTube、Googleといった巨大プラットフォームを運営する企業の多くは、日本に現地法人を置いていても、実際のサービス運営やデータ管理の主体はアイルランドやアメリカなどの海外法人であるケースがほとんどです。

そのため、ネット上の誹謗中傷やプライバシー侵害の投稿を削除しようとした際、相手方の窓口として「海外法人の代理人弁護士(国内の渉外法律事務所等)」が対応に出てくることがあります。

個人や通常の日本企業だけで海外企業やその代理人弁護士と対等に交渉し、削除を実現させるのは非常にハードルが高いのが実情です。ここでは、海外法人の代理人弁護士と交渉する際の実務と、弁護士を代理人とするメリットについて詳しく解説します。

海外プラットフォームの削除請求における構造的な壁

国内の匿名掲示板や小規模なWebサイトであれば、管理者に直接連絡先が記載されていたり、日本の法律がスムーズに適用できたりします。しかし、海外ITプラットフォームの場合は以下のような特有のハードルが存在します。

  • 運営母体が海外にある:サーバーやデータの管理拠点が国外にあるため、日本の警察や裁判所の管轄が直接及びにくい。
  • 利用規約の準拠法が外国法である:多くのプラットフォームの利用規約には、アメリカ法やアイルランド法などが準拠法として指定されており、日本の法律論だけでは通じない場合がある。
  • 自動化された窓口の限界:一般的な通報フォームからは「削除に該当しない」という機械的な返信が返ってくることが多く、個別の事情を汲み取ってもらいにくい。

このような状況の中で、権利侵害の被害者が泣き寝入りせざるを得ないケースが後を絶ちません。しかし、相手方が日本国内の「指定代理人弁護士」を立ててきた場合、それは適切な法的アプローチを踏めば、話し合いによる削除が十分に可能になるターニングポイントでもあります。

海外法人の代理人弁護士と交渉する際の実務アプローチ

海外法人の代理人弁護士は、依頼者であるプラットフォーム企業が不当な責任を負わないよう、また表現の自由とのバランスを慎重に考慮しながら業務を行っています。そのため、感情的な訴えや抽象的な不満を伝えても、削除に応じることはありません。

実務上、代理人弁護士との交渉を成功させるためには、以下のポイントを網羅した法的文書(通知書など)を提示する必要があります。

  • 日本法における権利侵害の明確な証明:対象の投稿が、日本の民法上の不法行為(名誉毀損、プライバシー権侵害、肖像権侵害など)に該当することを、判例や条文を交えて論理的に説明する。
  • 客観的な証拠の提示:なぜその投稿が事実無根であるのか、あるいは社会的評価を著しく低下させるものであるのかを裏付ける証拠を整理して提出する。
  • プラットフォームの利用規約違反の指摘:単なる法律上の権利侵害だけでなく、プラットフォーム側が掲げる「コミュニティガイドライン」や「利用規約」に明確に違反している点を指摘し、企業側の自主的な削除インセンティブを刺激する。
  • 翻訳の正確性:必要に応じて英語の書面や正確な翻訳文を添付し、海外本国の担当者やリーガル部門が内容を正確に理解できるように配慮する。

なぜ弁護士を通じた交渉が必要不可欠なのか

「相手が弁護士なら、こちらも弁護士を立てなければならない」というのは、実務の現場において現実的な必須条件となります。個人からの直接の連絡や、法律の素養がない代理人からの通知は、海外法人やその代理人弁護士から「法的な強制力や根拠が曖昧である」と判断され、無視されてしまうリスクが高いからです。

夕陽ヶ丘法律事務所をはじめとする、ネット誹謗中傷対策に精通した弁護士が代理人として介入することには、以下のような大きなアドバンテージがあります。

  • 法的妥当性の高い書面の作成:日本の裁判実務に照らし合わせた精緻な削除要請書を作成し、相手方代理人に「これ以上放置すると法的責任を問われる」とプレッシャーを与えることができる。
  • 代理人同士の円滑な協議:弁護士同士であれば、感情を排した冷静かつ専門的な法的議論が可能となり、裁判という時間的・金銭的コストをかけずに任意での削除合意に至るケースが多い。
  • 任意の削除が困難な場合の次のステップへの移行:仮に相手方代理人が任意での削除に応じない場合でも、直ちに裁判所に対する仮処分申し立てや発信者情報開示請求といった法的手続きへスムーズに移行できる。

海外法人の代理人弁護士との交渉を弁護士に依頼する流れ

実際に、海外法人が関与するSNS上の誹謗中傷に関して、当事務所にご相談いただいた場合の標準的な流れは以下の通りです。

  1. 無料相談・ヒアリング:問題となっている投稿のURL、スクリーンショット、被害の状況を確認し、どの法律や権利が侵害されているかを精査します。
  2. 証拠保全と方針の決定:消去やアカウント凍結に備えて証拠を完全に保全し、相手方代理人への通知、または直接の削除申請・仮処分手続きのいずれが最適かを判断します。
  3. 相手方代理人との交渉:弁名通知書や削除要請書を送付し、相手方の国内代理人弁護士と協議を行います。
  4. 削除の実現とアフターケア:合意に基づき投稿が削除されたことを確認し、必要に応じて再発防止策や発信者の特定(損害賠償請求のための開示請求)へと進みます。

まとめ:海外SNSの誹謗中傷は専門性の高い弁護士にご相談を

XやInstagram、Googleなどの海外プラットフォームにおける誹謗中傷は、「海外企業だからどうせ無理だろう」「英語ができないから無理だ」と諦めてしまう方が少なくありません。しかし、日本国内に指定代理人弁護士が存在する場合や、適切な国際法務の知見を持つ法律事務所が間に入ることで、十分に解決の糸口は見つかります。

海外法人の代理人弁護士との交渉や、複雑なSNS上の風評被害にお悩みの方は、一人で抱え込まず、豊富な解決実績を持つ夕陽ヶ丘法律事務所までお気軽にご相談ください。あなたの名誉と平穏な日常を取り戻すため、私たちが全力でサポートいたします。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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