YouTubeの動画削除仮処分で「担保金(万〜万円)」の納付手順

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、ネット上の誹謗中傷削除・発信者情報開示命令(IPアドレス特定)・仮処分裁判実務に基づき、プロバイダ責任制限法および最新の判例に沿ってわかりやすく解説しています。

Q YouTubeの誹謗中傷動画を削除する仮処分でなぜ担保金が必要なのか?具体的な納付方法と戻ってくる仕組みを教えてほしい
A 【担保金の理由と納付手順】仮処分は正式な裁判の前に緊急で権利を守る制度であり、万が一削除が不当だった場合の損害を補償するため、約10万〜30万円の担保金(供託金)の納付が命じられます。裁判所から担保立て命令が出たら、最寄りの法務局へ現金で納付して「供託書正本」を受け取り、速やかに裁判所に提出することで仮処分命令が発令されます。
【担保金の回収と弁護士相談のメリット】動画の削除が完了し、相手方からの損害賠償請求等がないことを確認した後は、申し立てを行うことで納めた担保金全額を手元に取り戻すことができます。仮処分の手続きや法務局での供託手続き、その後の還付請求は複雑なため、誹謗中傷問題に精通した弁護士に代理を依頼することで、迅速かつ確実な動画削除と担保金の回収を実現できます。

YouTube上に投稿された悪質な誹謗中傷動画やプライバシーを侵害する動画を迅速に削除するためには、通常の裁判ではなく「仮処分(裁判所を通じた緊急の差止命令)」という法的手続きを利用するのが一般的です。

この仮処分の手続きにおいて、多くの相談者様が戸惑われるのが「担保金(供託金)」の存在です。

「なぜお金を支払わなければならないのか」「いくら用意して、どうやって納めればいいのか」「支払ったお金は戻ってくるのか」といった疑問や不安を抱える方は少なくありません。

ここでは、弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が、YouTube動画削除の仮処分における担保金の仕組み、具体的な納付手順、そして納めた担保金を手元に戻す(回収する)ための流れについて詳しく解説します。


1. YouTube削除の仮処分で「担保金」が必要な理由

仮処分とは、正式な裁判(本訴)の判決を待つ余裕がない場合に、裁判所が一時的な命令を下して迅速に権利を守るための制度です。

YouTubeの運営会社(Google LLCなど)に対して動画の削除を命じる仮処分もこの制度を利用しますが、まだ裁判で白黒がはっきり決まっていない段階で相手の動画を強制的に消してしまうことになります。

もし、後から「実は削除する必要がなかった(権利侵害はなかった)」ということになれば、動画を消された投稿者側には経済的・精神的な不利益が生じることになります。

そのため、万が一不当な仮処分によって相手方に損害を与えてしまった場合の補償として、裁判所が「担保金」の納付を命じます。これは、相手方の権利を守るための「保証金」のような性質を持つお金です。

担保金の相場について

YouTube動画の削除仮処分における担保金の額は、事案の内容やチャンネルの影響力、予想される損害額によって裁判所が個別に決定します。

一般的な個人間のトラブルや誹謗中傷、プライバシー侵害の事案であれば、約10万円から30万円程度に設定されるケースが大部分です。ただし、企業のブランドイメージを著しく傷つけるような大規模な事案などでは、金額が高くなることもあります。


2. 担保金の具体的な納付手順(5ステップ)

裁判所から「担保を立てなさい」という命令(担保立て決定)が出たら、定められた期限内(通常は決定書が届いてから1週間以内など、非常に短期間です)に速やかに納付手続きを行う必要があります。

具体的な納付の流れは以下の通りです。

  • ステップ1:裁判所から「担保物件提供命令」を受け取る
    裁判官が担保金額と納付期限を決定し、代理人弁護士を通じて(または本人に直接)書類が交付されます。
  • ステップ2:法務局で「供託書」を作成・入手する
    指定された管轄の法務局(または地方法務局)の窓口、またはオンラインシステムを利用して、現金を納めるための「供託書」の用紙を入手し、必要事項を記入します。
  • ステップ3:指定された金額を現金で納付する
    法務局内の窓口、または指定の金融機関にて、現金で担保金(供託金)を支払います。クレジットカードや口座振替は原則として利用できないため、現金の準備が必要です。
  • ステップ4:裁判所に「供託書正本」を提出する
    法務局から受け取った「供託書正本(領収書のようなもの)」を、速やかに担当の裁判所へ提出します。
  • ステップ5:仮処分命令の発令とYouTubeへの執行
    裁判所が供託書の提出を確認すると、正式に仮処分命令書が発令されます。これを弁護士を通じてYouTube側に送付することで、動画の削除が実行されます。

このように、担保金の納付には法務局と裁判所の双方での手続きが必要となるため、タイムロスがないよう弁護士の指示に従って迅速に行動することが重要です。


3. 削除完了後に担保金を取り戻す「担保取消・還付請求」の流れ

「担保金」という名前を聞くと、「お金を没収されてしまうのではないか」と心配される方がいらっしゃいますが、安心してください。正当な理由に基づく仮処分であり、相手方から損害賠償請求などがなされていない限り、納めた担保金は全額手元に戻ってきます。

担保金を取り戻すためには、以下のステップを踏む必要があります。

  • ステップ1:YouTube動画の削除が完了する
    仮処分命令によって問題の動画が削除され、法的な目的が達成されます。
  • ステップ2:一定期間の経過と状況確認
    動画削除後、相手方(投稿者)から仮処分に対する不服申し立て(保全異議など)や損害賠償請求がなされないか、一定期間様子を見ます。
  • ステップ3:裁判所へ「担保取消決定」を申し立てる
    相手方からの異議が無く、権利侵害が明白であった期間が経過したタイミングで、裁判所に対して「担保を取り消してください」という申し立てを行います。
  • ステップ4:担保取消決定の確定
    裁判所が内容を確認し、問題ないと判断されると「担保取消決定」が出され、それが相手方に通知された上で決定が確定します。
  • ステップ5:法務局で担保金(供託金)を回収する
    「担保取消決定書」と確定証明書を持って再度法務局に行き、還付請求の手続きを行うことで、最初に預けた現金が全額戻ってきます。

担保金の回収までには数ヶ月程度の時間がかかることが一般的ですが、弁護士に依頼している場合は、これらの複雑な裁判所や法務局での還付手続きもすべて代理で行うことができます。


4. ネット誹謗中傷の削除仮処分は弁護士にご相談ください

YouTube上の誹謗中傷動画や悪質な切り抜き動画を放置すると、風評被害が拡大し、個人の尊厳や企業の社会的信用が取り返しのつかないダメージを受けてしまいます。

削除の仮処分やそれに伴う担保金の納付手続きは、法律的な専門知識と迅速なフットワークが求められます。「どのような手順で進めればいいのか分からない」「自分で法務局に行く時間がない」という方は、ネット上の風評被害対策や削除請求に精通した弁護士へご相談ください。

弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所では、YouTubeをはじめとする各種SNSや動画プラットフォーム上の誹謗中傷・風評被害に対する法的措置(仮処分・発信者情報開示請求など)を数多く手がけております。担保金の納付から回収までの複雑な手続きもトータルでサポートいたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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