【弁護士に依頼するメリット】外資系プラットフォームに対する発信者情報開示請求や損害賠償請求では、運営法人の所在地や規約に応じた正確な書類送達が求められます。国際訴訟やデジタル空間の誹謗中傷トラブルに精通した弁護士に相談・依頼することで、煩雑な海外送達手続きをスムーズに進め、迅速な権利回復と損害賠償請求の実現を最大化させることが可能です。
X(旧Twitter)やInstagram、TikTok、YouTubeなどの巨大SNSプラットフォーム上で深刻な誹謗中傷や風評被害を受けた場合、発信者情報開示請求や損害賠償請求を行う相手は、日本国内の支社ではなく海外の本社法人になるケースが多々あります。
日本の裁判所で手続きを進めるためには、裁判所の訴状や期呼出状などの書類を適式に相手方(海外法人)に届ける「送達」というプロセスが不可欠です。しかし、相手が海外にある場合、国内への送達とは異なり、数ヶ月単位の時間と厳格な国際法務の知識が求められます。
この記事では、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が、海外法人に対する裁判書類の送達方法と、そこにかかる日数、そしてスムーズに進めるためのポイントについて詳しく解説します。
海外法人への送達が必要になるケースとは
SNS上の誹謗中傷対策において、投稿者の特定や損害賠償請求を行う際、プラットフォームを運営する企業を相手取ることがあります。
多くの外資系SNSプラットフォームは、日本国内に「日本法人」を登記している場合もありますが、契約上の運営主体や訴訟の相手方として指定されているのは、アイルランド、シンガポール、あるいはアメリカ本国の法人であるケースが少なくありません。
日本の裁判所に訴訟を提起する場合、裁判所から被告となる海外法人に対して、訴訟書類を確実に届ける必要があります。これが「海外送達」です。この手続きが完了しなければ、裁判を先に進めることができないため、誹謗中傷被害の解決に向けた最初の大きなハードルとなります。
主な海外送達の方法と実際にかかる日数
海外法人への送達方法は、相手国の法制度や日本との間で締結されている条約によって異なります。一般的に用いられる主な方法と、それぞれにかかる日数の目安は以下の通りです。
- ハーグ条約に基づく「中央当局・領事送達」:約3ヶ月〜6ヶ月以上
- 国や要件によって認められる「国際郵便(書留・配達証明など)」:約1ヶ月〜3ヶ月
- 現地代理人や現地の執行官を利用した私的・特別送達:約2ヶ月〜4ヶ月
それぞれの詳細について見ていきましょう。
ハーグ条約に基づく中央当局を経由した送達
日本やアメリカ、欧州各国などが加盟している「民事又は商事に関する裁判上の文書及び裁判外の文書の外国における送達に関する条約(ハーグ条約)」を利用する方法です。
日本の裁判所から外務省を経由し、相手国の「中央当局」に書類が送られ、そこから現地の裁判所や行政機関を通じて相手法人に手交されます。
確実性が高い一方で、外交ルートや現地の行政機関を複数経由するため、書類の翻訳費用や認証の手続きも含め、4ヶ月から半年以上の長期戦を覚悟する必要があります。
国際郵便を利用した送達(郵送送達)
相手国の法律や、日本と相手国との間の条約・国際法上の解釈において、郵便による送達が禁止されていない場合には、日本の裁判所から国際郵便(追跡可能な書留や配達証明付き郵便など)で直接書類を発送することが認められるケースがあります。
アメリカなどの一部の国に対しては、この国際郵便による送達が認められることがあり、比較的スピーディー(およそ1ヶ月〜3ヶ月程度)に完了するメリットがあります。しかし、相手国が郵送送達を認め ていない場合や、宛先不明で戻ってきてしまった場合には利用できないというデメリットもあります。
海外送達の期間が長引く主な理由
国内での送達であれば数週間程度で完了することが多いのに対し、海外送達にはなぜ数ヶ月もの日数がかかるのでしょうか。その主な理由は以下の通りです。
- 厳密な翻訳作業が必要:訴状や証拠書類など、膨大な裁判資料のすべて、あるいは裁判所が指定する部分を、相手国の公用語(英語や現地語)に完璧に翻訳し、翻訳証明書を添付する必要があります。
- 外務省や大使館・領事館を跨ぐ手続き:外交上のルートや公的機関を経由するため、各段階での審査や郵送のタイムラグが発生します。
- 相手方法人の正確な所在地の特定:登記上の本店所在地と、実際に事業を行っている部署の所在地が異なっており、書類が適法に代表者に届くまで時間がかかるケースがあります。
このように、単に「書類を海外に送ればよい」というものではなく、厳格な法律上の要件を満たした上で手続きを踏む必要があるため、専門的なノウハウが不可欠となります。
海外法人への送達をスムーズに進めるためのポイント
SNSの誹謗中傷被害において、海外法人を相手にした裁判を少しでも早く、確実に行うためには、事前の準備と専門家によるサポートが重要です。
1. 訴訟前の任意の交渉や仮処分の検討
本訴訟を起こす前に、弁護士を通じた内容証明郵便や、法的根拠に基づいた任意の要請、あるいは日本国内の支社等に対するアプローチなど、海外送達を回避または効率化できる手段がないかを検討します。
2. 迅速かつ正確な翻訳体制の構築
海外送達において最も時間をロスしやすいのが翻訳の不備です。法律用語に精通した翻訳者による正確な書類作成を素早く行うことで、裁判所からの補正命令や手続きの遅延を防ぐことができます。
3. 海外法務に強い弁護士への依頼
海外法人に対する送達は、通常の国内訴訟とは異なる国際民事訴訟法の知識が求められます。どの送達方法を選択すべきかの判断を誤ると、数ヶ月の時間を無駄にしてしまうおそれもあります。
まとめ
SNSの誹謗中傷被害において、海外法人に対する「海外送達」にかかる日数は、おおむね2ヶ月から4ヶ月、場合によっては半年以上を見込んでおく必要があります。
被害に遭われた方にとっては、この待機期間は非常に長く感じられるものですが、適切な手順を踏まなければ裁判そのものが進まなくなってしまいます。
夕陽ヶ丘法律事務所では、国内外のSNSプラットフォームに対する法的措置や、複雑な海外送達を伴う発信者情報開示請求・損害賠償請求の実績を多数有しております。海外法人を相手にした誹謗中傷被害でお悩みの方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。