マッチングアプリを利用して真剣な交際を求めていたにもかかわらず、相手が既婚者であったと判明するトラブルが後を絶ちません。このような「独身偽装交際」や「貞操権侵害」の問題において、被害を回復するための法的手段(民法709条に基づく損害賠償請求など)を検討する際、最も重要になるのが客観的な証拠の確保です。
1. 独身偽装トラブルで「アプリのプロフィール」が重要な理由
相手が既婚者であるにもかかわらず「独身」と偽って交際や肉体関係を持った場合、それは性的な自己決定権や人格的利益を侵害する「貞操権侵害」に該当する可能性があります。
しかし、裁判や示談交渉の場において、口頭で「独身だと言われた」と主張しても、相手が「そんなことは言っていない」「独身だとは思い込ませていない」と嘘をついた場合に水掛け論になってしまいます。そのため、相手がマッチングアプリ上でどのように自己紹介し、どのようなステータスで登録していたかをデジタル証拠として確実に残しておくことが極めて重要なのです。
2. プロフィール画面スクショで絶対に撮影すべき5つの要素
マッチングアプリのプロフィール画面を保存する際は、以下の要素が明確に写り込んでいるか必ず確認してください。一部しか撮影していない場合、「本当にそのアカウントのものか」「加工されたものではないか」と反論されるリスクが生じます。
・ユーザー名(ニックネームおよびID) ・年齢や居住地などの基本情報 ・「独身」または「未婚」と明記されているステータス(婚姻歴の項目) ・本人の顔写真またはメイン写真 ・独身を強調するような自己紹介文(「真剣に結婚相手を探しています」「独身です」などの記載)
上記の要素が欠けていると、後日アカウントを削除・ブロックされた際に「証拠隠滅」を許してしまうことになります。関係性に少しでも違和感を覚えた段階で、速やかに保存作業を行いましょう。
3. 証拠価値を高めるための正しいスクショ撮影手順
単にスクリーンショットを1枚撮るだけでは、証拠としての万全さに欠ける場合があります。以下の手順を意識して撮影・保管を行ってください。
複数枚に分けて全体を網羅する
情報量が多く1画面に収まらない場合は、上部(顔写真・名前)から下部(自己紹介文・詳細プロフィール)にかけて、スクロールしながら複数枚のスクリーンショットを撮影してください。この際、前後の画像が一部重なるように撮影すると、連続性や同一性を証明しやすくなります。
アプリの名称やログイン状態を含める
どのマッチングアプリ(Pairs、Tinder、Omiai、タップルなど)でやり取りしていたかが分かるよう、アプリのUI(画面のデザインやロゴなど)が確認できる状態で撮影することが大切です。
撮影日時を明確にする
スマートフォンのアルバム機能などで、スクリーンショットの撮影日時(メタデータ)が記録されていることを確認しておきましょう。可能であれば、プロフィール画面だけでなく、相手とのメッセージやり取り画面(「独身ですか?」という質問に対して「独身です」と答えているテキストなど)も併せてスクショに残すことが効果的です。
4. ダブルトラブル(不貞慰謝料請求との板挟み)への備え
独身偽装交際の被害に遭われた方の中には、後になって「相手の配偶者」から逆に不貞慰謝料を請求されるという「ダブルトラブル」に巻き込まれるケースも少なくありません。
相手が既婚者であることを全く知らず、過失なく「独身であると信じ込んでいた」場合(善意無過失)、配偶者からの慰謝料請求に対しても法的に反論できる余地が生じます。このとき、マッチングアプリのプロフィールで「独身」と偽っていた事実や、メッセージ内で独身を装う発言をしていたスクショは、ご自身に責任(故意・過失)がないことを証明するための最強の盾となります。
5. 証拠の改ざんを疑われないための注意点
ご自身でスクリーンショットを撮影する際、絶対に画像加工アプリなどで文字を書き加えたり、一部を消したりしないでください。裁判実務においては、加工の痕跡があるデータは証拠能力が否定されるリスクがあります。
また、相手がアプリ内でアカウントを削除・退会してしまうと、二度とプロフィールにアクセスできなくなるため、「おかしい」と感じた瞬間に速やかに証拠を保全することが鉄則です。
まとめ
マッチングアプリにおける独身偽装や貞操権侵害の被害において、正確なプロフィールスクショの確保は、泣き寝入りを防ぐための極めて有効な防衛策です。万が一のトラブルや配偶者からの予期せぬ慰謝料請求に備え、改ざんのない状態で証拠を保存するとともに、法的な責任追及や交渉を有利に進めるためには、早い段階で男女トラブル・不貞問題を取り扱う専門家である弁護士へ相談することをご検討ください。