独身を偽った交際(貞操権侵害)や不貞行為のトラブルにおいて、相手と話し合いの末に示談書を交わしたにもかかわらず、「お金がない」「後で払う」などと言って示談金を支払わないケースは後を絶ちません。
約束の期限を過ぎてもびた一文払おうとしない不誠実な加害者に対し、法的な強制力をフル活用して満額回収を成し遂げるためには、正しい法的ステップを踏むことが不可欠です。
1. 示談金が不払いになる典型的なケースと問題点
不貞行為や独身偽装交際の慰謝料請求において、当事者間だけで示談書を交わしたり、口約束だけで済ませてしまったりするケースは非常に危険です。
加害者が支払いを怠る背景には、以下のような理由やリスクが潜んでいます。
- 支払う意思の欠如:はじめから踏み倒すつもりで、その場しのぎの約束をしていた場合。
- 分割払いの途中で連絡途絶:数回は支払われたものの、途中から経済的理由やルーズさを理由に支払わなくなる場合。
- 法的強制力の欠如:作成した示談書に「債務名義(強制執行認諾文言付き公正証書など)」の効力がない場合。
これらを放置していると、時効(民法上の不法行為による損害賠償請求権は原則として被害および加害者を知った時から3年、または独身偽装などの場合は貞操権侵害として別途判断されることもありますが、いずれにしても迅速な対応が必要です)によって請求自体ができなくなる恐れがあります。
2. 示談金不払いから差押えによる満額回収までの法的ステップ
不払い加害者からの回収スキームは、論理的かつ迅速な法的手続きに基づいています。
ステップ1:保有する書面の法的性質の確認
まずは、お手元の示談書や合意書にどのような効力があるかを確認します。
もし、その書面が単なる私文書(当事者間でサインしただけのもの)であり、強制執行認諾文言が記載されていない場合、そのままではいきなり財産を差し押さえることはできません。
ステップ2:裁判手続きによる「債務名義」の取得
示談書に強制力がない場合、または相手が支払いに応じない場合は、速やかに法的手続きに移行します。
- 訴訟の提起:慰謝料請求訴訟を起こし、裁判所の判決や和解調書を得る。
- 支払督促や少額訴訟:事案の性質に応じて適切な法的手続きを選択する。
これにより、強制執行を行うための法的根拠である「債務名義」を獲得します。
ステップ3:財産調査と給与・預貯金の差押え(強制執行)
債務名義を取得した後は、加害者の財産に対する強制執行を行います。特に会社員の加害者に対して効果的なのが給与の差押えです。
勤務先が判明している場合、裁判所を通じて給与の差し押さえを行うことで、加害者の給与から直接、未払い分(法律の制限内で一定の割合)を回収することができます。
給与差押えは、加害者にとって会社にトラブルが知られるという強いプレッシャーになるため、それまで居直っていた加害者が急に連絡を寄こし、残額を一括で支払ってくるケースが少なくありません。
まとめ:示談金の不払いは迅速な法的アプローチで満額回収を
示談書を交わしたにもかかわらず相手が支払いを拒む場合、待っていれば自主的に支払われる可能性は極めて低いです。そのまま放置すると時効による消滅のリスクもあり、被害者が泣き寝入りさせられる結果になりかねません。
「相手が連絡を無視する」「分納の約束を守らない」といったお悩みをお持ちの方は、債務名義の取得から給与・預貯金の差押えに至る一連の法的手続きを確実に行い、正当な慰謝料を満額回収するための適切な一歩を踏み出しましょう。