Instagram(インスタ)のDM・投稿で独身を装っていた男性の既婚発覚

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、貞操権侵害(独身偽装被害)における不法行為責任(民法709条)、裁判例の慰謝料算定基準、および相手の妻からの不貞請求防御実務に基づきわかりやすく解説しています。

Q インスタのDMや「一人暮らし風」の投稿を信じて交際していましたが、後から既婚者であることが発覚しました。相手を許せないのですが、慰謝料請求は可能でしょうか?
A はい、独身と偽って肉体関係を伴う交際を強要された場合、それは貞操権侵害(民法709条に基づく不法行為)として慰謝料請求が認められる可能性が十分にあります。Instagram上の偽装を示す投稿やDMのやり取りは、強力な法的証拠になり得ます。

Instagram(インスタグラム)のDM(ダイレクトメッセージ)や日常の投稿を通じて親密になり、交際を始めたものの、後になって相手が既婚者であったことが発覚するトラブルが急増しています。

「休日の料理写真をアップしていた」「一人暮らしのインテリアを紹介していた」「プロフィールに妻や家族の気配が全くなかった」など、巧みに独身を装う既婚者に対し、法的責任をどのように追及すべきか。インスタ特有の証拠保全と法的アプローチについて詳しく解説します。

1. Instagramにおける「独身偽装」の手口と法的責任

Instagramは、写真や動画をメインにライフスタイルを発信するSNSであるため、既婚者が自分の家庭環境を隠しやすい温床となっています。

インスタでよく見られる偽装工作

  • 一人暮らしの演出: カフェ風のインテリアや自炊の料理写真を投稿し、あたかも独身の単身生活を送っているように見せかける。
  • 休日の過ごし方: 土日や祝日に一人で出かけた先や趣味の写真を投稿し、配偶者や子供の存在を徹底的に隠蔽する。
  • DMでの巧妙なアプローチ: 「仕事帰りで疲れた」「一人だから寂しい」といったメッセージを送り、独身であることを前提としたコミュニケーションをとる。

このような手法で相手を誤認させ、性交渉を伴う関係を持った場合、民法709条の不法行為(貞操権および自己決定権の侵害)に該当します。法律上、人は「誰と交際し、肉体関係を持つか」を自らの意思で決定する権利(自己決定権)を有しており、既婚者であることを隠してその選択を誤らせた行為は、重大な権利侵害とみなされます。

2. インスタのDM・投稿を「決定的な証拠」にする方法

法的措置(示談交渉や慰謝料請求訴訟)を進めるにあたり、最も重要なのが客観的な証拠の確保です。相手がアカウントを削除したり、DMの履歴を消去したりする前に、迅速に証拠を保全しなければなりません。

具体的な証拠保全のステップは以下の通りです。

  • DMのやり取りのスクリーンショット保存 交際の経緯、相手が独身であると発覚したやり取り、肉体関係を推認させる内容が含まれるチャット画面を、日時やアカウント名が分かるように撮影します。画面に収まらない場合は、画面収録(動画保存)を活用するのも有効です。
  • プロフィール画面や投稿の保存 相手のアカウント情報、独身を装っていた投稿(画像とキャプション)をスクリーンショットで保存します。
  • 既婚の事実を示す証拠の確保 相手が既婚者であることを証明する証拠(戸籍謄本、相手の配偶者からの連絡、共通の知人からの証言、本人自らが既婚を認めた音声やメッセージなど)を集めます。

※注意点として、ご自身で相手のアカウントに執拗に連絡を続けたり、フォロワーに対して誹謗中傷を行ったりすると、逆に名誉毀損やプライバシー侵害として訴えられるリスクがあります。証拠が揃った段階で、専門家に相談することをお勧めします。

3. 既婚者本人への慰謝料請求と「ダブルトラブル」への備え

独身偽装交際において被害者が直面するのが、いわゆる「ダブルトラブル」の懸念です。

起こり得る二重のトラブル

  1. 独身を装った男性(既婚者)に対する慰謝料請求 被害者が、騙されたことに対する精神的苦痛や貞操権侵害を理由に、男性に対して慰謝料を請求するケース。
  2. 男性の配偶者(妻)からの逆請求リスク 男性が妻に対して「浮気をしていた」と発覚した際、妻側から「夫と関係を持ったことに対する不貞慰謝料」を請求されるケース。

特に後者の「妻からの請求」については、「相手が独身だと信じ込んでおり、騙された被害者である(過失がない、または過失が軽微である)」という事実を証明できれば、妻からの慰謝料請求を拒絶できる、あるいは支払う必要がなくなるケースが多くあります。

法律実務において、詐称の度合いや交際期間、被害の深刻さを総合的に判断し、男性側に対して適切な慰謝料を請求するとともに、妻からの理不尽な請求に対しても適切に防御・反論を行う必要があります。

4. Instagramでの独身偽装トラブルを解決するために

Instagramを通じた独身偽装や貞操権侵害は、個人間でやり取りが完結していることが多く、泣き寝入りしてしまう方が少なくありません。しかし、適切な証拠を揃えて法的アプローチをとることで、精神的苦痛に対する賠償を求めることは十分に可能です。

  • 証拠の評価と法的分析: お手元のインスタのDMや投稿が、裁判実務においてどの程度の証明力を持つか的確に判断します。
  • 内容証明郵便の作成・送付: 代理人名義で相手の自宅や勤務先に通知書を送り、誠実な話し合いを求めます。
  • 示談交渉の代理: 精神的負担の大きい相手方との直接交渉を代理人が代行し、適正な慰謝料の獲得を目指します。

インスタの独身隠しや貞操権侵害でお悩みの方は、一人で抱え込まず、法的観点から適切なステップを踏んで解決へと進みましょう。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

TOP