男女トラブルの解決において、相手方から「近々会社で役員に昇進する予定があるため、社会的信用を守るために示談金を弾む」という申し出を受けるケースがあります。一見すると交渉に有利な状況に見えますが、油断は禁物です。
相手方の「昇進」を交渉材料にする際の注意点
相手が役員昇進を控えている場合、その人物にとって「不貞の事実が会社に露呈すること」は何としても避けたいリスクです。この状況を交渉に活かすことは有効ですが、法的に認められる慰謝料の相場や、交渉の進め方には慎重さが求められます。
相手が提示する「弾む」という言葉を鵜呑みにするのではなく、以下の点を確認することが重要です。
- 示談金の法的根拠を明確にする
単に「昇進するから」という理由だけで高額な支払いを約束させても、後から「強迫された」と主張されるリスクがあります。あくまで不貞行為による精神的苦痛(貞操権侵害など)に対する正当な賠償であることを示談書に明記する必要があります。 - 相手の支払い能力の調査
役員就任直後は報酬が上がるとしても、現時点での資産状況を把握しておくことが重要です。分割払いではなく、確実に回収できる「一括和解」を条件とすることが、トラブル回避の鍵となります。 - 守秘義務条項の徹底
相手が社会的立場を気にするのであれば、今回の件を口外しないという「守秘義務」をより厳格に設定することが可能です。
最高額水準(300万〜400万円)での和解を目指すには
不貞行為や独身偽装による慰謝料は、通常100万〜300万円程度が相場とされています。しかし、相手に社会的地位を失うリスクがあり、かつ高い支払い能力がある場合には、300万〜400万円といった高水準での和解が成立するケースも存在します。
この水準を引き出すためには、以下のプロセスが有効です。
- 詳細な事実関係の精査
独身偽装の期間や、それによって被った精神的損害の大きさを詳細に記録し、相手に突きつける必要があります。 - 会社への影響力を示唆する
直接会社に連絡することは控えるべきですが、法的な手続きを通じて解決に至らなければ、公に争う可能性があることを冷静に伝える交渉力が求められます。 - 法的な書面(示談書・公正証書)の作成
口約束は厳禁です。将来的な未払いを防ぐためにも、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成しておくことが最も安全な手段です。
まとめ:役員昇進を控えた相手との交渉を成功させるために
相手が「役員昇進」を盾に早期解決を急ぐ場合、それはあなたにとって交渉の主導権を握る絶好のチャンスです。しかし、感情的になって過度な要求を突きつけると、相手が開き直ったり、逆にこちらが恐喝の疑いをかけられたりする危険性があります。
役員昇進を控えた相手との示談交渉では、法的根拠に基づいた適正な高額慰謝料の算定と、将来の未払いを防ぐための公正証書化が不可欠です。相手の立場を利用しつつも法的な隙を作らないよう、慎重かつ戦略的に交渉を進めていきましょう。