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労使紛争

復職時の就労可能、就労不能の判断

2023/05/02 更新

就労不能の判断

 休職中の従業員が復職を希望してきた。会社は「就労可能かどうか」を以下にしたがって判断します。

医師の診断

(1)可能であれば、会社が用意した医師に診察してもらうようにお願いする。

(2)難しい場合には、従業員から主治医の意見書を出してもらう。

(3)トライアルの前提として、従業員の医師が復職可能であると判断していることが必要です。

トライアルの話し合い

(1)トライアルの「業務の内容」を話し合いましょう。
  どのような業務をしてもらうのか、従前と同じ業務をしてもらうのか、を話し合います。

(2)トライアルの「賃金」を話し合いましょう。
  賃金の支払いを前提として短時間勤務とすることもできます。賃金の支払い義務が発生しないことを前提として「成果や責任は求めない」こと、従業員のパフォーマンスを確認する程度のものにすることもできます。

トライアルの実施

(1)復帰後の従業員のパフォーマンスを評価して、従業員にフィードバックすることが必要です。
(2)仮に、従業員が「会社の評価が不当である。」と主張し、賃金満額の支払いを求めてくる場合等にそなえて、会社の評価の客観性を立証できるか方法を検討します。
(3)営業成績や、事務処理量など客観的に判断できる材料がそろっているかを検討します。

従業員が「会社の評価が不当である。」と主張する場合

(1)仮に、従業員が「会社の評価が不当である。」と主張し、フルタイム勤務と賃金満額の支払いを求めてくることがあります。
(2)会社の評価の客観性を立証できるか再検討します。後日、裁判になっても大丈夫か、トライアルのやりかたを再検討します。
(3)従業員との間で、賃金と業務について合意できていないのであれば、「就労不能である。」として休職命令を命じる文書を送った方がよいでしょう。

従業員の復職を全力でサポートする

(1)従業員のパフォーマンスが著しく低い場合、就労不能を理由として休職期間満了をもって退職させることになります。これは実質解雇です。会社は、従業員の復職について、あらゆる方法を検討してこれをサポートしたことが必要となります。
(2)同時に、復帰後の従業員のパフォーマンスを評価して、その評価の客観性を立証できるかを記録化することが必要です。

休職期間(の満了日)について説明する

(1)トラブルは、「期待」と現実のギャップから生まれます。例えば、満了日を2週間前に伝えたら従業員はびっくりするでしょう。
(2)休職期間の満了日を従業員に伝えて、「その日まで復職できなければ、休職期間満了を理由として雇用関係が終了する。」ことを伝えます。

就労不能・就労可能の判断

1 障害者に対する合理的配慮
(1)障害者差別解消法は、事業者は障害者に対し合理的配慮を提供に努めなければならない(努力義務)と定めています。
(2)従業員が私傷病により障害を負った場合には障害者差別解消法を根拠として、会社には合理的配慮が求められます。そして、その合理的配慮を踏まえても、従業員の就労が不可能かどうかが判断されます。

 例えば、従前は、クリーンルームに入室して作業をする業務を行っていた従業員が車椅子を使って移動しなければならない障害をおったケースで、従業員が従前と同じ職場での復職を希望したこともあって、車椅子でクリーンルームに入れない場所があることや運搬ロボットとの接触の危険があることから、会社に過重な負担とならない措置をもっては、従業員が従前の業務を行うことは不可能であるとして、就労不能(休職期間満了による雇用契約の終了)を認めた判例もあります。(大阪高判令和3年7月30日 ビジネスガイド2022年6月号31頁)

2 配置の実現可能性
(1)就労不能かどうかを判断する際に、従前と同じ業務をすることか可能かどうかで判断すれば足りるのか、それとも、配置転換等をしても就労することが不可能であることまで必要なのかという問題があります。
(2)従業員が従前の職種への復職にこだわる場合や、職種が業務内容を限定する労働契約の場合には、従前と同じ業務をすることか可能かどうかで判断すれば足ります。
(3)職種が業務内容を限定する特約がない場合には、従業員に対し配転して軽作業への業務転換も可能かを提案する必要があります。

参考  

 ビジネスガイド2022年11月号74頁以下

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