特定された加害者が「高校生」だった場合、学校に連絡してもいいですか?

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、ネット上の誹謗中傷削除・発信者情報開示命令(IPアドレス特定)・仮処分裁判実務に基づき、プロバイダ責任制限法および最新の判例に沿ってわかりやすく解説しています。

Q 特定した加害者が高校生だった場合、学校に通報や連絡をしても法律上問題ありませんか?親に請求すべきですか?
A 【学校への連絡は示談交渉の進捗を見極めて慎重に判断すべきです】感情的な通報は逆恨みを買うリスクや交渉決裂の原因となるため、まずは親権者(保護者)を特定し、損害賠償や今後の対応について交渉を進めるのが一般的です。
【未成年でも不法行為責任が成立し親権者へ損害賠償請求が可能です】高校生本人に資力がない場合でも、弁護士を通じて親権者に対して慰謝料や弁護士費用の損害賠償請求を行うことで、法的な責任を追及し早期の解決を目指すことができます。

ネット上の誹謗中傷や風評被害について発信者情報開示請求を行い、ようやく特定できた加害者が「高校生」だったというケースは、近年決して珍しくありません。

我が子がいわれのない誹謗中傷の被害に遭った側としては、「学校の責任としても、先生から厳重に注意してほしい」「どんな生徒がこんな酷い書き込みをしたのか、学校側にも知ってほしい」と考えるのは当然のことです。

しかし、法的手続きやその後の交渉において、加害者が未成年である高校生の場合、その対応には特有の注意点が存在します。

この記事では、特定された加害者が高校生だった場合の学校への連絡の是非や、親権者を巻き込んだ適切な解決の手順について、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が詳しく解説します。

加害者が高校生だった場合の基本的な法的責任

ネット上で誹謗中傷を行った加害者が高校生(未成年者)であっても、法的な責任が免除されるわけではありません。

民法上、満20歳未満(現在は民法改正により18歳未満は成人となりますが、高校生は多くが未成年、あるいは成年に達していても高校という立場にあります)の未成年者であっても、事理を弁識するに足りる知能を備えている年齢(概ね10歳以上)であれば、不法行為責任(損害賠償責任)を負うことになります。

ただし、高校生本人は十分な資力(お金)を持っていないことがほとんどです。そのため、実際の損害賠償請求は、その親権者(父親や母親などの保護者)に対して行うことになります。

民法では、未成年者が他人に損害を加えた場合、その監督義務を負う親権者が賠償責任を負うと定められているためです。

学校へ連絡する前に知っておくべきリスク

「加害者の学校に事実を伝え、厳罰に処してほしい」というお気持ちは十分に理解できますが、感情の赴くままに学校へ連絡することには、いくつかの大きなリスクが伴います。

1. 示談交渉がこじれるリスク

誹謗中傷問題の多くは、裁判を起こす前に加害者の親権者と話し合いを行い、示談(和解)による解決を目指します。示談の内容には、慰謝料の支払いのほかに、「今後一切接触しないこと」「今回の件を他言しないこと(守秘義務)」などが盛り込まれます。

学校へ先に連絡してしまうと、学校側から生徒や保護者に対して指導が行われます。これがきっかけで加害者側が防衛的になったり、「そこまでしなくてもいいのに」と反発心を抱いたりしてしまい、その後の慰謝料の示談交渉が円滑に進まなくなってしまう恐れがあります。

2. 名誉毀損やプライバシー侵害の問題

加害者が未成年とはいえ、学校に対して一方的にネット上の書き込み内容や個人情報を伝えた場合、その伝え方や範囲によっては、逆にプライバシーの侵害や名誉毀損と主張されるリスクもゼロではありません。

また、学校側としても、事実関係が法的に確定していない段階では、外部からの連絡に対してどのように対応すべきか苦慮することが多く、かえってトラブルが複雑化する原因になり得ます。

学校への連絡を検討してもよいケースとは

基本的には親権者との示談交渉を優先すべきですが、状況によっては学校への連絡や協力を仰ぐことが適切なケースも存在します。

  • 示談交渉の中で、謝罪や反省のプロセスとして学校の指導を盛り込む場合
  • 加害者側が話し合いに応じず、連絡先が学校経由でしか分からないなどのやむを得ない事情がある場合(※ただし弁護士名での通知書送付などが先決です)
  • 校内でのいじめや、学校生活の延長線上での悪質な嫌がらせであり、学校全体の安全配慮義務や指導が必要不可欠である場合

このように、学校への連絡を行うタイミングは、「どのような目的で、誰が、どの段階で行うか」が非常に重要になります。

高校生が加害者の場合の正しい解決ステップ

誹謗中傷の加害者が高校生と判明した場合、感情的な行動を控え、法的に正しい手順で解決を目指すことが大切です。

ステップ1: 開示された情報から親権者を特定する

発者情報開示請求によって得られた情報をもとに、加害者本人の住所・氏名だけでなく、親権者の状況を確認します。高校生の場合、アルバイトなどをしていなければ自身の資産で慰謝料を支払うことができないため、交渉の相手方は実質的にその保護者となります。

ステップ2: 弁護士を通じた示談交渉の開始

ご自身で直接加害者やその親権者に連絡を取ることは、逆恨みやさらなるトラブルに発展する危険性が高いため避けるべきです。夕陽ヶ丘法律事務所などの専門家に依頼し、弁護士名義で通知書を送付し、親権者に対して話し合いの場を持つよう求めます。

親権者も、我が子がネットで深刻な誹謗中傷を行っていたと知れば、多くの場合は驚き、謝罪と賠償に向けて真摯に対応する姿勢を見せます。この段階で、将来の再発防止や、必要に応じた教育的配慮について合意形成を図ります。

ステップ3: 示談条件の合意と書面化

慰謝料の金額、支払い方法、今後の接触禁止、そして必要であれば学校生活や家庭内での指導状況に関する取り決めを行い、最終的に示談書(和解契約書)を締結します。

この示談書の中に「学校への通知をどう扱うか」条項を盛り込むこともあります。例えば、「加害者は学校生活において二度と同様の行為を行わないこと」を誓約させ、違反した際のペナルティを明確にすることも有効です。

まとめ:高校生による誹謗中傷は夕陽ヶ丘法律事務所へご相談を

特定された加害者が高校生だった場合、「将来があるから許すべきか」「学校に知らせて反省させるべきか」と悩まれることでしょう。

未成年者によるネットの誹謗中傷問題は、法的な損害賠償請求と、教育的な観点からのアプローチのバランスが非常に難しい問題です。感情に任せて学校へ連絡してしまうと、かえって示談交渉が難航し、解決が遠のいてしまうリスクがあります。

夕陽ヶ丘法律事務所では、ネット誹謗中傷・風評被害の解決実績を多数持つ弁護士が、加害者の年齢や状況に応じた最適な解決プランをご提案いたします。加害者が高校生でお悩みの方、今後の対応にお困りの方は、ぜひ一度当事務所の初回相談をご利用ください。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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