特定された加害者と「弁護士事務所の個室」で示談面談することはできますか?

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、ネット上の誹謗中傷削除・発信者情報開示命令(IPアドレス特定)・仮処分裁判実務に基づき、プロバイダ責任制限法および最新の判例に沿ってわかりやすく解説しています。

Q ネット中傷の加害者が特定された後、直接会って示談交渉や示談書の調印をすることはあるのでしょうか?
A 【結論と面談の安全性】加害者の特定後に弁護士事務所の個室で対面による示談面談を行うことは十分に可能です。カフェやオープンスペースではなく、セキュリティとプライバシーが完全に確保された法律事務所の相談ブースを使用し、弁護士が常に立ち会うため、加害者と直接トラブルになる心配なく安全に示談条件のすり合わせや調印手続きを進められます。
【法的対応と示談のメリット】発信者情報開示請求によって加害者を特定した後の損害賠償請求や示談交渉では、二度と誹謗中傷を行わない旨の誓約事項や賠償金の支払い方法を確実に合意することが重要です。代理人弁護士が間に入ることで、被害者が加害者と直接連絡を取る精神的負担をゼロにしつつ、法的に有効な示談書を安全かつ確実に締結することができます。

ネット上の誹謗中傷や風評被害において、発信者情報開示請求が成功し、いよいよ加害者が特定されると、次は損害賠償請求や示談交渉のステージへと移行します。

多くの被害者の方から、「加害者と直接会う必要があるのか」「会うとしたらどこで、どのような形で行うのか」というご相談をいただきます。結論として、弁護士事務所の個室で安全に示談面談を行うことは十分に可能です。

この記事では、特定された加害者と弁護士事務所の個室で示談面談を行う理由やメリット、当日の具体的な流れについて、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が詳しく解説します。

加害者との示談面談はなぜ「弁護士事務所の個室」で行うのか

ネット誹謗中傷の示談交渉は、多くの場合、書面やメール、電話などの非対面形式で行われます。しかし、事案の性質や損害賠償の金額、今後の誓約事項(二度とネット上に書き込みをしない等)の内容によっては、対面での面談や示談書の直接調印が選ばれることがあります。

その際、カフェやホテルのラウンジなどのオープンスペースを使用することは、プライバシーの観点や安全性の観点から絶対に避けるべきです。そのため、セキュリティが確保された弁護士事務所のプライバシー配慮の相談スペースが選ばれます。

直接対面することへの不安と安全性の確保

被害者の方にとって、自分を誹謗中傷した加害者と対面することは、精神的に大きな負担を伴います。「また攻撃されるのではないか」「逆上されて危害を加えられるのではないか」という恐怖心や不安を抱くのは当然のことです。

弁護士事務所の個室であれば、外部から完全に遮断されており、弁護士が常に同席・同席のうえでコントロールするため、加害者が感情的になったり不穏な行動に出たりすることを完全に防ぐことができます。

プライバシー情報の厳重な保護

誹謗中傷の示談交渉では、被害者の本名、住所、勤務先などのプライバシー情報が加害者に知られてしまうリスクを最小限に抑えなければなりません。

弁護士事務所であれば、来訪時の動線管理や受付対応など、プライバシーを保護するための万全な体制が整っています。被害者と加害者が鉢合わせしないような配慮や、時間差での入退室といった実務的なサポートも受けることができます。

弁護士事務所の個室で示談面談を行う4つのメリット

示談交渉を弁護士事務所の個室で行うことには、被害者にとって非常に大きなメリットがあります。主なメリットとして以下の4点が挙げられます。

  • 感情的な衝突を防ぎ、冷静な話し合いができる:弁護士がクッション役(緩衝材)となり、法的根拠に基づいた冷静な交渉を進行します。
  • その場で示談書の調印・即日解決が目指せる:あらかじめ作成・合意した示談書を個室で確認し、その場で署名・捺印を行えば、スピーディーに紛争を解決できます。
  • 言った・言わないのトラブルを防止できる:密室とはいえ弁護士が立ち会っているため、合意内容や約束した条件について後々の食い違いや「言った・言わない」の水掛け論を防げます。
  • 精神的ストレスを大幅に軽減できる:加害者と直接連絡を取り合う必要がなくなり、交渉の全プロセスを弁護士に一任できるため、日常生活の平穏を早く取り戻せます。

示談面談当日の具体的な流れ

実際に、特定された加害者と弁護士事務所の個室で面談を行う場合、当日はどのようなスケジュールで進行するのでしょうか。一般的な流れを解説します。

1. 被害者と弁護士の事前打ち合わせ(必要に応じて)

面談の開始時間より少し前に、被害者の方に事務所にお越しいただき、個室で担当弁護士と直前の打ち合わせを行います。当日の確認事項や、絶対に譲れない条件、加害者に対する要望などを改めて整理・共有します。

2. 加害者の入室と着席

加害者は時間厳守で事務所に到着し、スタッフの誘導によって別ルートまたは時間差で個室へと案内されます。被害者と加害者が事前の待合室等で顔を合わせることはありません。

3. 弁護士立ち会いのもとでの示談交渉・条件確認

弁護士の司会進行のもと、示談条項の読み合わせと確認が行われます。

  • 謝罪の意思表示(場合によっては加害者本人からの直接の謝罪)
  • 損害賠償金(慰謝料や弁護士費用など)の支払い金額と期限の確認
  • 今後の接触禁止および再発防止誓約の確認

この際、加害者が言い訳や不満を述べ始めた場合でも、弁護士が即座に遮り、法的な観点から適切に制止・対応するため、被害者の方が直接言い返す必要はありません。

4. 示談書の署名・捺印

内容に双方が合意した段階で、用意された示談書(合意書)に署名および捺印を行います。当日その場で現金手渡しによる示談金受領、または後日指定口座への振込手続きの確認が行われます。

5. 加害者の退室と、被害者の安全な帰宅

示談手続きが完了すると、先に加害者が事務所から退出します。加害者が完全に帰宅したことを確認した後、被害者の方も安全に帰路につくことができます。これにより、接触リスクを完全に排除します。

示談面談に関するよくある疑問

ここでは、弁護士事務所での示談面談に関して、よく寄せられる疑問についてお答えします。

Q: 被害者が面談に一切出席しない形でも示談は可能ですか?

はい、可能です。被害者の方が加害者と顔を合わせることを精神的に強く拒絶される場合や、遠方にお住まいで事務所への来所が難しい場合は、被害者自身は一切出席せず、すべての交渉を弁護士に一任する(代理交渉)形をとることができます。示談書のやり取りもすべて郵送や電子契約で行うことが可能です。

Q: 加害者が面談の場に現れなかったり、不誠実な態度をとったりした場合はどうなりますか?

約束された日時に無断で現れなかった場合や、反省の色が見せずに不誠実な態度をとった場合、示談交渉を即座に打ち切ることが可能です。その場合は、示談による解決を断念し、損害賠償請求訴訟(民事裁判)の提起や、刑事告訴の手続きへと移行します。弁護士が速やかに法的な次のステップへ舵を切ります。

まとめ:安全で確実な解決のために弁護士にご相談ください

ネット上の誹謗中傷被害において、加害者を特定した後の示談交渉は、法的な専門知識と厳重な安全管理が求められる重要なフェーズです。

「加害者と顔を合わせたくない」「直接交渉してトラブルになるのが怖い」という不安をお持ちの方でも、弁護士事務所のプライバシー配慮の相談スペースを利用し、弁護士が全面サポートすることで、安全かつ冷静に示談を成立させることができます。

夕陽ヶ丘法律事務所では、依頼者の方の精神的なご負担を最小限に抑えつつ、適正な慰謝料の獲得と再発防止を実現するための示談交渉を数多く手がけております。ネット誹謗中傷・風評被害でお悩みの方は、どうぞ安心して当事務所までご相談ください。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

TOP