ネット上の「名誉毀損」で裁判を起こす際にかかる弁護士費用の相場

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、ネット上の誹謗中傷削除・発信者情報開示命令(IPアドレス特定)・仮処分裁判実務に基づき、プロバイダ責任制限法および最新の判例に沿ってわかりやすく解説しています。

Q ネット上の誹謗中傷や名誉毀損で裁判を起こす場合、弁護士費用はトータルでいくらかかりますか?着手金や報酬金の相場を知りたいです。
A 【弁護士費用の相場】発信者情報開示請求から損害賠償請求の裁判までトータルで行う場合、着手金の総額は20〜40万円程度、成功報酬は獲得金額の15〜30%程度が一般的な相場となります。また、裁判所の印紙代や郵便切手代、プロバイダ照会にかかる実費が別途数十万円ほど発生する場合があります。
【弁護士に依頼するメリット】ネット上の名誉毀損トラブルでは、プロバイダ責任制限法に基づく「発信者情報開示請求」や「仮処分申請」など高度な法的手続きが必要不可欠です。専門の弁護士に一任することで、加害者の特定率が飛躍的に高まり、法的に妥当な損害賠償金の獲得や迅速な投稿削除、再発防止へと確実につなげることができます。

インターネット上の掲示板やSNSへの誹謗中傷、心ない風評被害に悩まされたとき、「加害者を特定して裁判を起こしたい」「損害賠償を請求したい」と考える方は少なくありません。しかし、実際に弁護士へ依頼するとなると、一番気になるのは「どれくらいの費用がかかるのか」という点でしょう。

ネット上の名誉毀損トラブルは、通常の民事裁判とは異なり、「発信者情報開示請求」という独自のステップを経る必要があるため、費用体系が少し複雑になります。

この記事では、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が、ネット誹謗中傷における弁護士費用の具体的な相場や内訳、費用を無駄にしないためのポイントについて詳しく解説します。


ネット誹謗中傷トラブルにおける弁護士費用の基本構造

弁護士費用とひと口に言っても、いくつかの項目に分かれています。まずは、法律事務所で一般的に採用されている費用の種類とその仕組みを把握しておきましょう。

  • 相談料:弁護士に法律相談を行う際にかかる費用(初回無料の事務所も多数あります)
  • 着手金:事件を依頼した時点で、結果に関わらず支払う初期費用
  • 報酬金(成功報酬):裁判の勝訴や示談成立など、得られた成果に応じて支払う費用
  • 実費:裁判所に納める収入印紙代、郵便切手代、プロバイダ照会のための通信費や予納金など
  • 日当:弁護士が裁判所への出頭や遠方への出張を行う際にかかる移動・拘束費用のこと

多くの法律事務所では、依頼者の負担を考慮して「着手金+報酬金」の組み合わせを基本としています。事務所ごとに料金設定の基準が異なるため、依頼前の見積もり(費用説明)を必ず確認することが大切です。


【段階別】名誉毀損・誹謗中傷でかかる費用の相場

ネット上の名誉毀損に対して法的措置をとる場合、多くは「犯人を特定する作業(開示請求)」と「損害賠償を求める裁判(損害賠償請求)」の2つのフェーズに分かれます。それぞれの相場を見ていきましょう。

1. 発信者情報開示請求にかかる費用の相場

匿名で書き込まれた相手の住所や氏名を特定するためには、サイト管理者やプロバイダに対して裁判手続き(または任意交渉)を行う必要があります。

  • IPアドレス開示請求(任意または仮処分):着手金 10万〜20万円程度 / 報酬金 10万円程度
  • 発信者情報開示請求(本訴訟):着手金 10万〜20万円程度 / 報酬金 10万〜15万円程度

開示請求は、まずサイト管理者に対してIPアドレスの開示を求め、次にその情報をもとにプロバイダを特定して契約者情報の開示を求めるという「2段階の法的手続き」が必要になるケースが多いため、トータルでの着手金が20〜40万円前後にのぼることがあります。

2. 損害賠償請求・削除請求の裁判にかかる費用の相場

加害者が特定できた後、あるいは誹謗中傷の投稿を迅速に削除させたい場合の費用相場です。

  • 記事削除請求(仮処分・訴訟):着手金 10万〜20万円程度 / 報酬金 5万〜10万円程度
  • 損害賠償請求訴訟:着手金 10万〜20万円程度 + 獲得できた賠償金の15〜20%程度の報酬金

削除請求については、仮処分というスピーディーな裁判手続きを利用することが多く、通常の裁判よりも早く結果が出やすい反面、保釈金的な保証金(担保金数万円〜数十万円)を一時的に裁判所に納める必要があります(担保金は事件終了後に返還されます)。


弁護士費用を検討する際の重要な注意点

「裁判を起こして相手から賠償金を勝ち取れば、弁護士費用はすべて回収できるのだろうか」と考える方もいらっしゃいますが、実務上はいくつかの注意点があります。

相手から全額回収できるとは限らない

裁判で勝訴し、裁判所が「被告は原告に50万円の支払いを命じる」という判決を出した場合でも、その中に弁護士費用全額が上乗せされるわけではありません。日本の法律では、裁判で認められる弁護士費用は「請求額(または認容額)の10%程度」が相場とされています。

そのため、着手金や実費の総額が相手から回収できる賠償金を上回る「費用倒れ」のリスクについても、事前に弁護士とシミュレーションしておくことが重要です。

費用の「総額」と「内訳」を必ず確認する

着手金が安く設定されていても、成功報酬が高額であったり、手続きが進むごとに追加の事務手数料が発生する事務所もあります。「見積書」を正式に発行してもらい、最終的にいくら用意しなければならないのかを明確にしておきましょう。


誹謗中傷の被害を最小限に抑えるために

ネット上の誹謗中傷や名誉毀損は、時間が経てば経つほど情報の拡散が進み、精神的なダメージや社会的信用への悪影響が大きくなります。また、掲示板のログ保存期間(通常3〜6か月程度)を過ぎてしまうと、物理的に犯人の特定が不可能になるというタイムリミットが存在します。

「費用がどれくらいかかるか不安」という段階であっても、多くの法律事務所では無料相談を受け付けています。まずは現状のスクリーンショットなどを保存した上で、専門の弁護士に費用の見通しと最適な解決プランをご相談ください。

夕陽ヶ丘法律事務所では、ご依頼者様の被害状況に合わせた明瞭な料金体系をご用意しております。ネットの風評被害や誹謗中傷でお困りの際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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