爆サイで「精神的苦痛」を受け通院した場合の医療費・慰謝料請求

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、ネット上の誹謗中傷削除・発信者情報開示命令(IPアドレス特定)・仮処分裁判実務に基づき、プロバイダ責任制限法および最新の判例に沿ってわかりやすく解説しています。

Q 爆サイの誹謗中傷で精神的に追い詰められ心療内科に通院した場合、医療費や慰謝料は加害者に請求できますか?
A 【請求できる費用の範囲】爆サイの悪質な書き込みによって精神的苦痛を受け、心療内科や精神科への通院を余儀なくされた場合、加害者に対して医療費、通院交通費、仕事への影響による休業損害、および精神的損害に対する慰謝料の請求が法律上可能です。ただし、請求を認めさせるためには、爆サイ上の誹謗中傷行為と、自身の心身の不調・通院との間に明確な「因果関係」が存在することを証明しなければなりません。
【法的手続きと証拠の重要性】因果関係を証明する最大の証拠となるのが医師による診断書です。泣き寝入りを防ぎ、正当な賠償金を受け取るためには、早めに弁護士へ相談して発信者情報開示請求や損害賠償請求の手続きを進め、書き込みの証拠保全と加害者の特定を行うことが極めて重要です。

日本最大級のローカル掲示板である「爆サイ」には、日々膨大な数のスレッドや書き込みが投稿されています。その中には、個人のプライバシーを侵害する内容や、社会的な信用を失墜させるような悪質な誹謗中傷が含まれていることも少なくありません。

このような心ない書き込みを目撃し、あるいは当事者となってしまったことで、夜も眠れなくなったり、強い不安感から仕事や日常生活に支障をきたしたりして、心療内科や精神科に通院せざるを得なくなるケースが後を絶ちません。

「ネット上の言葉の暴力で受けた心の傷に対して、医療費や慰謝料を請求できるのだろうか」と悩まれている方も多いでしょう。

結論から申し上げますと、爆サイの誹謗中傷によって精神的苦痛を受け、実際に通院治療を行った場合、法律上の要件を満たしていれば加害者に対して医療費や慰謝料を請求することが可能です

本記事では、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が、爆サイでの誹謗中傷に起因する精神的苦痛に対する法的請求の仕組み、請求できる費用の範囲、そして実務上最も重要となる証拠集めのポイントについて詳しく解説します。


爆サイの誹謗中傷で心身に不調をきたしたときに請求できる費用

ネット上の書き込みによって精神的苦痛を受けた場合、単に「嫌な思いをした」という主観的な被害だけでなく、それに付随して発生した経済的な損害や精神的損害について、法的な賠償を求めることができます。

具体的には、以下のような項目を相手方(発信者)に請求することが可能です。

  • 慰謝料(精神的損害に対する賠償金):誹謗中傷そのものや、それが原因で精神疾患を発症したことに対する精神的苦痛を金銭に換算したものです。
  • 医療費・治療費:心療内科や精神科での初診料、再診料、カウンセリング費用、処方された薬剤の代金など、治療のために実際に支払った費用です。
  • 通院交通費:病院に通うために利用した電車賃、バス代、タクシー代(※医師の指示や症状の重さからタクシー利用が合理的な場合に限られます)などの実費です。
  • 休業損害・逸失利益:精神的不調や通院のために仕事を休み、その分の給与や収入が減少した場合、その減収分を請求できます。
  • 弁護士費用等の損害賠償:加害者を特定するための発信者情報開示請求や、その後の示談交渉・訴訟を弁護士に依頼するために要した費用のうち、裁判所が相当と認めた一部(通常は認容額の1割程度)を請求できる場合があります。

これらの費用は、不法行為(民法第709条)に基づく損害賠償請求として、加害者に支払いを求めることになります。


慰謝料が「上乗せ」されるケースとその理由

一般的な誹謗中傷の損害賠償請求と比較して、通院を余儀なくされたようなケースでは、慰謝料の金額が引き上げられる(上乗せされる)傾向にあります

裁判実務において、名誉毀損やプライバシー侵害、侮辱行為に対する慰謝料の金額は、以下のような要素を総合的に考慮して算定されます。

  • 被害者が受けた精神的苦痛の程度
  • 書き込みの内容の悪質性・虚偽性
  • 掲示板への拡散範囲や閲覧数の多さ
  • 被害者の社会的地位や職業に与えた影響
  • 心身への実害(通院、診断、療養の必要性)の有無

単に「不快な書き込みをされた」という段階よりも、「その書き込みが原因でうつ病や適応障害と診断され、長期の通院や服薬を余儀なくされた」という客観的な事実がある方が、被害の重大性が明確になるため、裁判所や示談交渉において慰謝料の増額が認められやすくなります。

ただし、どれほど強い精神的苦痛を本人が訴えていたとしても、それを客観的に裏付ける証拠がなければ、裁判所や加害者側は「そこまでの重度な被害とは言えない」と判断してしまうリスクがあります。そのため、次項で解説する「証拠」の存在が極めて重要となります。


請求を実現するために絶対に欠かせない「3つの重要証拠」

爆サイの書き込みに関して医療費や慰謝料を請求し、それを認めさせるためには、厳密な証拠の裏付けが必要です。以下の3つの証拠を確実に揃えることが成功の鍵となります。

1. 爆サイの該当書き込みの証拠(URLと画面保存)

どの書き込みによって精神的苦痛を受けたのかを特定できなければ、法的な請求は成り立ちません。問題となっているスレッドのURL、スレッドタイトル、レス番号、そして具体的な書き込み内容が鮮明に写ったスクリーンショットやPDFデータを保存しておきましょう。 ※時間が経つとスレッドが削除されたり、サイト自体から消去されたりすることがあるため、発覚後速やかに保全することが重要です。

2. 医師による「診断書」

心療内科や精神科を受診した際、単に領収書をもらうだけでは不十分です。「〇〇というネット上の誹謗中傷を見たことが原因で、現在『適応障害』または『うつ病』を発症しており、〇ヶ月の治療および通院が必要である」という旨が明記された医師の診断書が絶対に必要となります。 この診断書こそが、爆サイの書き込みと精神的不調との間の「因果関係」を証明する最強の武器となります。

3. 通院の履歴や費用を証明する書類

医療機関の領収書、診療明細書、調剤薬局の領収書、そして通院交通費のメモや領収書などをすべて保管しておいてください。また、休業損害を請求する場合は、会社が発行する欠勤証明書や源泉徴収票、給与明細なども必要になります。


爆サイの精神的苦痛に関する請求を進めるステップ

実際に医療費や慰謝料の請求を目指す場合、一般的には以下のステップで手続きを進めていきます。

  1. 専門の弁護士への法律相談:まずは爆サイ対策や損害賠償請求に強い弁護士に相談し、書き込みの内容と診断書を見せて勝訴の可能性や費用対効果を確認します。
  2. 発信者情報開示請求(投稿者の特定):爆サイの運営会社やプロバイダに対し、書き込みをした人物のIPアドレスや氏名、住所を開示するよう請求します(裁判手続きや任意交渉)。
  3. 加害者に対する損害賠償請求(示談・訴訟):投稿者が特定できたら、弁護士を通じて慰謝料、医療費、弁護士費用などを請求する示談交渉を行います。話合いで解決しない場合は、損害賠償請求訴訟を提起します。

投稿者を特定するためには法的な手続きが必要であり、プロバイダのログ保存期間(通常は3〜6ヶ月程度)の制限もあるため、迅速に行動することが求められます。


精神的苦痛と通院でお悩みなら夕陽ヶ丘法律事務所へ

爆サイに書き込まれた悪質な誹謗中傷によって心身のバランスを崩し、病院に通うほどの苦痛を味わうことは、決して泣き寝入りしてよい問題ではありません。あなたを傷つけた加害者に対して、法的な責任を追及し、医療費や慰謝料を請求することは正当な権利です。

しかし、ご自身一人で爆サイの運営会社やプロバイダ、そして加害者と交渉することは、精神的にも大きな負担となります。また、医学的な因果関係を証明するための診断書の準備や、法的に有効な証拠の収集には専門的な知識が不可欠です。

夕陽ヶ丘法律事務所では、ネット誹謗中傷や風評被害の対策、そして精神的損害に対する損害賠償請求において豊富な実績とノウハウを有しています。

「このような書き込みでも慰謝料請求できるのだろうか」「何から手をつければいいか分からない」とお悩みの方は、ぜひ一度、当事務所の初回法律相談をご利用ください。あなたの尊厳を守り、平穏な日常を取り戻すために、弁護士が全力でサポートいたします。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

TOP