X(旧Twitter)で「画像・動画」を無断転載された場合の著作権・肖像権

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、ネット上の誹謗中傷削除・発信者情報開示命令(IPアドレス特定)・仮処分裁判実務に基づき、プロバイダ責任制限法および最新の判例に沿ってわかりやすく解説しています。

Q X(旧Twitter)で自社の製品画像や社員の動画が無断転載された場合、著作権侵害や肖像権侵害としてどのように削除や損害賠償請求を行えばよいですか?
A 【法的判断基準と権利侵害】X上で写真や動画を無断転載された場合、著作権法違反や肖像権侵害、プライバシー権侵害が成立します。無断転載を放置すると自社のブランドイメージ低下や権利軽視につながるため、感情的な抗議ではなく法的な根拠に基づいた冷静な対処が必要です。
【弁護士による削除・発信者開示・損害賠償請求のメリット】プラットフォームへの削除申し立てのほか、国際的な効力を持つアメリカのDMCA(デジタルミレニアム著作権法)を活用することで迅速な対応を迫ることが可能です。さらに、悪質なケースでは発信者情報開示請求を行い、損害賠償請求を求める法的手段を弁護士とともに検討すべきです。

X(旧Twitter)における画像・動画の無断転載トラブルとは

ビジネスにおいて、X(旧Twitter)などのSNSは自社ブランドの認知拡大や情報発信に欠かせないツールとなっています。しかし、その一方で、自社が苦労して制作した製品画像、カタログ、あるいは社内風景や従業員の動画などが、他アカウントによって許可なく無断転載される被害が後を絶ちません。

このような無断転載を放置すると、自社のブランドイメージが損なわれるだけでなく、情報の正確性が歪められたり、著作権者としての権利が軽視されたりする重大な悪影響が生じます。無断転載を見つけた場合は、感情的に抗議するのではなく、法律上の権利に基づいた冷静かつ迅速な対処が必要です。

夕陽ヶ丘法律事務所には、企業や個人事業主の方々から「SNSでの無断転載にどう対応すべきか」というご相談が数多く寄せられています。本記事では、著作権侵害および肖像権侵害としての法的根拠や、実務上極めて有効なDMCA申請の手順について詳しく解説します。

画像・動画の無断転載で成立する法的権利

X上で無断転載が行われた場合、主に「著作権侵害」と「肖像権侵害(プライバシー権侵害を含む)」の2つの権利侵害が問題となります。それぞれの法律上の位置づけを正しく理解することが、適切な削除請求の第一歩となります。

1. 著作権侵害(著作権法違反)

あなたが撮影した写真、自社でデザインした画像、制作したプロモーション動画などは、創作的な表現物として著作物に該当します(著作権法第2条第1項第1号)。

法律上、著作物の利用者には原則として複製権(第21条)や公衆送信権(第23条)といった権利が専有されています。したがって、権利者の許諾なく勝手に画像を保存し、自分のアカウントで再アップロード(転載)する行為は、明白な著作権侵害に該当します。たとえ「出典元を明記している(アイコンやIDを記載している)」場合であっても、権利者の許諾を得ていなければ適法な引用の要件を満たさない限り、著作権侵害となります。

2. 肖像権侵害およびパブリシティ権侵害

動画や写真の中に自社の従業員や代表者、あるいはモデルが映り込んでいる場合、無断転載は肖像権侵害を構成する可能性があります。

人間は、自己の容姿みだりに撮影され、これを公表されない法的な権利(肖像権)を有しています。SNS上で勝手に顔写真や動画を拡散されることは、精神的な苦痛を伴うプライバシーの侵害です。また、著名人やインフルエンサー、あるいは企業の看板を背負う人物の画像である場合には、顧客吸引力を保護する「パブリシティ権」の侵害としても問題視されることがあります。

X(旧Twitter)における削除請求の2つのアプローチ

無断転載を発見した場合、Xの運営会社に対して削除を求めることになりますが、主に国内法に基づく申請と、アメリカの法律に基づく申請の2つの方法が存在します。状況に応じて最適な手段を選択することが重要です。

  • Xの標準的な違反報告フォームを利用した、利用規約や日本法に基づく削除要請
  • アメリカのデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく法的な削除申請

次の項目では、実務上特に効果を発揮する「DMCA申請」の仕組みと手順について詳しく見ていきましょう。

実務で極めて有効な「DMCA(デジタルミレニアム著作権法)」申請とは

DMCAとは、アメリカ合衆国の著作権法改正によって導入された法律です。一見すると日本企業には関係がないように思えますが、Xの本社がアメリカにあるため、Xのプラットフォーム全体に対してこのDMCAに基づく削除要請を行うことが可能です。

DMCA申請の最大のメリットは、プラットフォーム運営者に対して法的な免責要件に関連するプレッシャーを与えられる点にあります。権利者から正規の要件を満たしたDMCA通知を受領した場合、Xの運営側は原則として迅速に該当コンテンツを削除(またはアクセス遮断)する対応を取らざるを得ません。

DMCA申請を行う際の必須記載事項

DMCAに基づく申し立てを行うには、以下の要件を満たした通知文(英語、または指定フォーマット)を運営側に送信する必要があります。

  • 侵害されている著作権を有する権利者の特定(代理人の場合はその権限の証明)
  • 無断転載されている該当ポスト(ツイート)のURL
  • 本来の著作物が掲載されている公式のURLや証拠情報
  • 「誠実な信念に基づき、当該使用は法律または権利者によって許可されていないと確信している」旨の宣誓供述
  • 「偽証罪に問われる覚悟の下、通知内容が正確である」旨の宣言および電子署名

実務上、英語での複雑な法的文面の作成や、プラットフォームとのやり取りに不安を感じる経営者やご担当者様も少なくありません。不備がある形式的な申請では対応が後回しになることもあるため、確実性を求める場合は弁護士等の専門家に代理を依頼することが推奨されます。

無断転載を放置するリスクと二次被害

「たかが画像の無断転載だから」と軽く考え、そのまま放置してしまうと、予想外の大きなビジネスリスクに発展するおそれがあります。

  • ブランド価値の毀損: 改変された画像や文脈を無視した動画の拡散により、企業の信頼性やイメージが低下する。
  • 偽アカウント・詐欺への悪用: 自社の製品画像が悪用され、消費者向けの詐欺アカウント(なりすまし)に利用される。
  • さらなる模倣の横行: 一度無断転載を許してしまうと、「この企業の画像は勝手に使ってもペナルティがない」と誤認され、類似の被害が連鎖的に発生する。

早期に適切な法的処置を講じることは、単に一つの投稿を消すだけでなく、将来的な風評被害や二次被害を未然に防ぐための強力な防衛策となります。

悪質な無断転載に対する発信者情報開示請求と損害賠償

単に画像を削除するだけでは収まらない悪質なケース、例えば競合他社が嫌がらせ目的で自社の高価格帯の製品画像やオリジナル動画を無断転載し続けているような場合や、企業の名誉を著しく傷つけている場合には、法的責任を追及するための発信者情報開示請求を検討します。

X社に対して発信者情報開示の仮処分および本訴訟を行うことで、無断転載を行ったアカウントのIPアドレスや登録メールアドレス、さらには電話番号などの情報を特定することが可能です。相手の身元が判明した後は、弁護士を通じて以下のような法的請求を行います。

  • 将来の無断転載を禁止する差し止め請求
  • 著作権侵害や肖像権侵害に基づく損害賠償請求(慰謝料を含む)
  • 弁護士費用の負担請求

これらの一連の手続きは、専門的な法知識と裁判所を通じた煩雑な手続きを要するため、ネット上の誹謗中傷や風評被害対策に精通した弁護士への相談が不可欠です。

まとめ:無断転載に悩んだら夕陽ヶ丘法律事務所にご相談ください

X(旧Twitter)における画像や動画の無断転載は、放置すれば企業のブランド価値や売上に深刻なダメージを与える問題です。著作権侵害や肖像権侵害としての法的根拠に基づき、標準的な削除要請や効果的なDMCA申請を適切に行うことが重要となります。

夕陽ヶ丘法律事務所では、企業のSNS風評被害対策や著作権侵害トラブルに関するご相談を多数承っております。「自社の画像が無断転載されて困っている」「DMCA申請のやり方が分からない」「悪質なアカウントに対して損害賠償を請求したい」といったお悩みを抱えている経営者様、ご担当者様は、ぜひ当事務所の法律相談をご活用ください。貴社の権利と利益を守るため、最適な法的解決策をご提案いたします。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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