「Google LLC(米国本社)」を相手とする裁判手続きとカリフォルニア州法

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、ネット上の誹謗中傷削除・発信者情報開示命令(IPアドレス特定)・仮処分裁判実務に基づき、プロバイダ責任制限法および最新の判例に沿ってわかりやすく解説しています。

Q Googleマップの悪質な口コミを削除するため、米国本社のGoogle LLCを相手に日本の裁判所で訴訟を起こすことはできますか?
A 【国際管轄と法的責任】Googleマップのサービス運営主体は米国カリフォルニア州のGoogle LLCであるため、削除や損害賠償を求める訴訟では同社を相手方とすることが原則となります。日本の裁判所でも一定の条件を満たせば国際管轄が認められ、名誉毀損や社会的評価の低下を理由とした法的措置を進めることが可能です。
【弁護士による専門的サポートの重要性】米国本社への正式な訴状の送達(ハーグ条約等に基づく手続き)や、膨大な英文書類および訳書の作成が必要となるため、通常の国内訴訟よりも高度な専門知識が求められます。泣き寝入りせず、ネット誹謗中傷や国際的なIT企業との訴訟に強い弁護士へ早期に相談し、仮処分や損害賠償請求を含めた最適な解決策を講じることを強く推奨します。

GoogleマップやGoogleビジネスプロフィールに投稿された悪質な口コミ、事実無根の誹謗中傷に悩まされる個人や企業が後を絶ちません。日本の窓口や削除請求フォームから対応してもらえない場合、最終的な解決手段として「Google LLC(米国本社)」を相手方とした裁判手続きを検討する必要があります。

しかし、相手はアメリカの巨大IT企業です。「海外の会社を相手に日本の裁判所で訴えられるのか」「英語でのやり取りや特別な法律が必要になるのではないか」と不安を感じる方も多いでしょう。

この記事では、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が、Google LLCを相手取る裁判の仕組み、国際管轄、そして米国カリフォルニア州法との関係性について、実務的な視点から分かりやすく解説します。

なぜGoogle LLCを相手にする必要があるのか

Googleマップ上の口コミ管理やサービス提供の主体は、米国カリフォルニア州に本拠地を置くGoogle LLCです。

日本のユーザーや企業が被害を受けた場合であっても、サービスの実質的な運営主体は米国本社であるため、法的請求(削除や発信者情報開示、損害賠償など)の宛先は原則としてGoogle LLCとなります。

日本の窓口(日本法人など)に対して任意の削除要請を行っても対応されない場合、裁判所を通じた法的手続きによって強制力を働かせる必要が生じます。ここで問題となるのが、日本の裁判所がアメリカの法人を裁くことができるのかという「国際裁判管轄」と、海外への書類送達というハードルです。

日本の裁判所における国際管轄とGoogle LLC

外国法人を日本の裁判所に訴える場合、まず日本の裁判所に国際管轄権があるかが争点となります。

近年の裁判例や法改正により、日本国内に住所や営業所を持たない外国企業であっても、日本国内の消費者や企業に対してインターネットを通じてサービスを提供し、そのサービスによって日本国内で権利侵害(名誉毀損や業務妨害など)が発生した場合には、日本の裁判所に管轄権が認められるのが一般的です。

東京地裁や大阪地裁などの主要な裁判所では、Google LLCを相手方とする発信者情報開示請求訴訟や削除請求訴訟が数多く提起され、日本法を準拠法として审理が行われています。

米国法人に対する「訴達」の壁と実務上の工夫

日本の裁判所で訴訟を起こした場合の最大の難関が、被告であるGoogle LLCに対する「訴達(そたつ=裁判書類の正式な交付)」です。

裁判を起こした事実を相手方に正式に知らせなければ、裁判を進めることはできません。相手が外国企業である場合、外交ルートや国際条約(ハーグ条約など)を利用して米国本社に書類を届けることになります。

ハーグ条約に基づく外国送達には、以下のような特徴と手間がかかります。

  • 書類一式をすべて正確な英語に翻訳(英文訳書の作成)する必要がある
  • 外務省や裁判所を経由するため、書類が相手に届くまで数ヶ月単位の時間がかかる
  • 翻訳の精度や形式に不備があると、現地の裁判所や機関で受け取りを拒否される恐れがある

そのため、実務上は、弁護士が代理人となり、裁判所の書記官室と密に連携しながら、確実かつ迅速にカリフォルニア州のGoogle LLC本社へ書類が届くよう厳格な手続きを進める必要があります。

カリフォルニア州法と日本法、どちらが適用されるのか?

「Googleの本社があるカリフォルニア州の法律に従わなければならないのか?」という疑問を持つ方も少なくありません。

結論から言うと、日本国内の被害者が日本の裁判所に訴えを提起した場合、どの法律を適用するか(準拠法)は、国際私法(法の適用に関する通則法)の原則に従って決定されます。不法行為による損害賠損や差止請求においては、結果が発生した地(日本国内)の法律(日本法)が適用されるのが原則です。

したがって、裁判の審理自体は日本の民事訴訟法および日本法に基づいて行われます。

ただし、Google LLCの利用規約には、準拠法や管轄裁判所に関する条項(カリフォルニア州法を準拠法とする旨など)が定められている場合があり、これが訴訟の中でどのように解釈されるかについては、専門的な法的主張が必要です。実務においては、契約上の規約と、日本における不法行為法理の双方を熟知した上で、適切な主張を組み立てることが求められます。

Google LLCを相手取る裁判で弁護士に依頼するメリット

Google LLCを相手とする法的手続きは、通常の日本人同士の裁判とは異なり、高度な専門知識と国際的な実務経験が不可欠です。

  • 複雑な国際管轄の主張・立証: 日本の裁判所が管轄権を持つことを論理的に主張する書面を作成できます。
  • 正確な英文訳書・書類の準備: カリフォルニア州への正式な訴達に必要な膨大な書類と翻訳作業をミスなく完遂します。
  • 迅速な解決へのアプローチ: 裁判手続きだけでなく、仮処分命令などを活用して早期の口コミ削除や情報開示を目指します。

夕陽ヶ丘法律事務所では、ネット誹謗中傷やGoogleマップの風評被害対策において、海外IT企業を相手とした裁判手続きの豊富な実績を有しています。「海外の会社だから無理だろう」と諦める前に、まずは当事務所の弁護士にご相談ください。あなたのビジネスと名誉を守るため、最適な法的アプローチをご提案いたします。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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