【弁護士に依頼するメリット】複雑なプロバイダ責任制限法に基づく仮処分申請や、事業者の任意協力を引き出すための法的アプローチをスムーズに行うことができ、迅速な損害賠償請求や刑事告訴が可能となります。
インターネット上の掲示板やSNSへの誹謗中傷、悪質な風評被害に悩まされたとき、投稿者を特定して損害賠償請求や刑事告訴を行うためには、「発信者情報開示請求」を行う必要があります。
しかし、従来の法律制度のもとでは、裁判の手続きに膨大な時間がかかり、その間に投稿者のログが消去されてしまうという重大なリスクがありました。
こうした深刻な問題点を解決するため、改正プロバイダ責任制限法により導入されたのが、「発信者情報開示命令(非訟手続き)」という画期的な新手続きです。
この記事では、従来の通常訴訟との具体的な仕組みの違いや、期間短縮のスピード比較について、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
インターネット誹謗中傷における従来の開示請求が抱えていた深刻な課題
ネット上の誹謗中傷犯人を特定する作業は、時間との戦いです。従来、投稿者を特定するためには、以下のステップを踏む必要がありました。
- コンテンツプロバイダ(Xや5ちゃんねる、Googleなど)に対する発信者情報開示請求(裁判または任意交渉)
- 上記プロバイダからIPアドレス等の開示を受けた後、経由プロバイダ(ドコモ、ソフトバンク、光回線事業者など)に対するログ保存の仮処分
- 経由プロバイダを特定した上での発信者情報開示請求訴訟(通常裁判)
この一連の手続きの中で、最大の障壁となっていたのが「通常の民事訴訟にかかる期間の長さ」です。
従来の訴訟手続きでは、訴状の提出から口頭弁論、判決に至るまで平均して約1年もの期間を要していました。
その結果、裁判の途中で経由プロバイダが保持している発信者情報(アクセスログ)の保存期間(通常は3〜6ヶ月程度)が経過してしまい、「勝訴した時にはすでにログが消去されており、犯人が特定できなかった」という理不尽なケースが後を絶たませんでした。
新手続き「発信者情報開示命令」の仕組みとは
このような状況を打破するために作られたのが、発信者情報開示命令事件という「非訟(ひしょう)手続き」です。
非訟手続きとは、従来のガチガチの法廷闘争(裁判)とは異なり、裁判所が簡易・迅速に権利の実現を図るための手続きです。発信者情報開示命令における主な仕組みと特徴は、以下の通りです。
- 書面審理中心のスピード進行: 法廷での口頭弁論ではなく、主として書面のやり取りや非公開の審尋(当事者双方から事情を聴くこと)で手続きが進みます。
- 提供命令制度の新設: 裁判所が、プロバイダに対して発信者の保有する情報の提供を命じることができるようになりました。これにより、相手の任意の協力を得やすくなります。
- 一体的・連続的な審理: 従来の「コンテンツ事業者に対する請求」と「経由事業者に対する請求」を、一定の要件の下で一つの手続き内で連続して処理できる仕組みが整えられました。
この新手続きの導入により、被害者は複雑な裁判を何段階も経ることなく、より効率的に投稿者の情報を得られるようになったのです。
通常訴訟と非訟手続きのスピード比較
それでは、実際にどれほど期間が短縮されたのでしょうか。従来の通常訴訟と、新手続きである発信者情報開示命令のスピードを比較してみましょう。
- 従来の通常訴訟による特定: 平均して約1年〜1年半。場合によってはそれ以上の期間がかかり、ログ消失のリスクと常に隣り合わせでした。
- 発信者情報開示命令(新手続き): 平均して約3ヶ月〜6ヶ月。手続きが大幅に効率化されたことで、ログの保存期間内に間に合う可能性が飛躍的に高まりました。
このように、期間が従来の半分以下に短縮されたことは、誹謗中傷被害に苦しむ方々にとって極めて大きなメリットです。
時間が短縮されるということは、弁護士費用などの経済的な負担や、精神的なストレスの軽減にも直結します。
新手続きを活用するための重要なポイントと注意点
発信者情報開示命令という強力な武器が登場したとはいえ、自動的にすべての犯人が特定できるわけではありません。この新手続きを成功させるためには、以下のポイントに注意する必要があります。
1. 証拠の保全と迅速なアクション
非訟手続きによってスピードが上がったとはいえ、アクセスログの保存期間は有限です。誹謗中傷や風評被害に気づいたら、一刻も早くスクリーンショットなどの証拠を確保し、弁護士に相談することが不可欠です。
2. 専門的な法的主張の必要性
新手続きは書面審理が中心となるため、「その投稿がなぜ違法なのか」「権利侵害が明白であるか」を論理的かつ的確に主張する書面作成能力が求められます。法的な構成に不備があると、裁判所から開示命令を出してもらえない可能性があります。
3. 意見照会に対する迅速な対応
プロバイダは発信者情報を開示する前に、発信者本人に対して「開示してもよいか」という意見を照会します。このプロセスにおいても、法律の規定に沿った適切な対応が求められます。
まとめ:ネット誹謗中傷の解決は夕陽ヶ丘法律事務所にご相談ください
新手続きである「発信者情報開示命令(非訟手続き)」は、従来の通常訴訟における「時間がかかりすぎる」「ログが消えてしまう」という致命的な弱点を克服した、画期的な制度です。
約3〜6ヶ月というスピード感で犯人を特定できるようになった今、泣き寝入りする必要性は低くなっています。
しかし、法的手続きの申し立てやプロバイダとの交渉には、高度な専門知識と迅速なフットワークが必要です。
夕陽ヶ丘法律事務所では、ネット誹謗中傷・風評被害対策に精通した弁護士が、最新の法制度(発信者情報開示命令)を駆使して、お客様の権利と名誉を迅速にお守りします。
誹謗中傷の被害でお困りの方は、証拠が消えてしまう前に、ぜひ当事務所の初回相談をご利用ください。