【正確な費用算出と迅速な権利侵害の解決には、弁護士への相談が不可欠です】ネット上の誹謗中傷や風評被害において、発信者情報開示請求やそれに続く損害賠償請求をスムーズに進めるためには、裁判所への適切な予納や書類提出が求められます。個人で手続きを行うと書類の不備などで余計な時間や費用がかかる恐れがあるため、プロバイダ責任制限法に精通した弁護士に依頼することで、適正な費用の見積もりと迅速な加害者の特定、そして損害賠償請求までを確実に行うことができます。
インターネット上の誹謗中傷や悪質な風評被害に直面した際、投稿者を特定するための有効な手段となるのが「発信者情報開示請求」です。
近年、法改正を経て導入された「発信者情報開示命令手続き」により、従来よりも迅速な解決が期待できるようになりました。しかし、裁判所を利用してこの手続きを進めるにあたっては、申立手数料としての「収入印紙代」や、書類の郵送費用にあてる「予納切手」などの実費を用意する必要があります。
この記事では、開示命令手続きにかかる費用とその具体的な計算方法について、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が分かりやすく解説します。
発信者情報開示命令手続きとは何か
インターネット上で名誉毀損やプライバシー侵害などの権利侵害を受けた場合、投稿者を特定するためには、まずコンテンツプロバイダ(SNS運営会社や掲示板管理会社など)に対してIPアドレス等の開示を求め、次いでアクセスプロバイダ(携帯キャリアやインターネット回線業者など)に対して氏名や住所の開示を求める必要があります。
従来はそれぞれ個別の訴訟手続きを経る必要がありましたが、新しい「発信者情報開示命令手続き」では、非訟手続き(ひしょうてつづき)という裁判所の手続きを利用して、より柔軟かつスピーディーに開示を求めることが可能になりました。
この手続きを裁判所に申し立てる際には、法律で定められた手数料や予納金を納める義務が生じます。
収入印紙代の計算方法と基本額
裁判所に申し立てを行う際、手数料として収入印紙を納付します。
従来の訴訟手続きであれば、請求する損害賠償額や目的の価額に応じて収入印紙代が高額になることがありますが、発信者情報開示命令手続きは非訟事件として扱われます。
そのため、収入印紙代の計算は非常にシンプルです。
- 基本の印紙代: 開示命令の申し立て1件につき、原則として1,000円の収入印紙が必要です。
- 複数の業者に対する請求: 例えば、IPアドレス開示請求と氏名等開示請求を同時に行う場合や、複数のプロバイダに対して手続きを行う場合、事件の数や相手方の数に応じて必要な印紙代が変わるケースがありますので注意が必要です。
実務上は、ご自身の事案において「何件の申し立てが必要になるか」を事前に精査し、必要な金額分の収入印紙を裁判所の窓口で購入するか、あらかじめ指定された方法で納付することになります。
予納切手の計算方法と内訳
裁判所が相手方(プロバイダやSNS事業者)に対して書類を発送したり、決定書を郵送したりするための費用として、あらかじめ郵便切手(予納切手)を裁判所に納める必要があります。
この予納切手の金額や内訳は、申し立てる裁判所(東京地方裁判所などの管轄裁判所)や、相手方となる事業者の数によって異なります。
- 相手方の人数に応じた計算: 相手方となるプロバイダが1社の場合は比較的少額で済みますが、複数のプロバイダや、さらに意見照会に対する反論を行う第三者(発信者本人)が関与してくると、郵送の頻度が増えるため予納切手の追加が必要になることがあります。
- 一般的な金額の目安: 予納切手は、数千円から1万円程度(例:5,000円〜10,000円前後)の組み合わせで指定されることが多く、郵便切手の額面(84円切手や10円切手など)の指定も裁判所の指定リストに従って購入します。
- 残余の還付: 手続きが終了した際、使用されずに余った切手代は原則として申立人に返還されます。
予納切手の具体的な組み合わせや枚数指定は、管轄する裁判所の民事部の係によって微妙に異なる場合があるため、申立て直前に最新の案内を確認することが確実です。
開示請求にかかるその他の費用
裁判所に納める収入印紙代や予納切手は、あくまで手続き上の「実費」の一部にすぎません。
インターネット上の誹謗中傷対策や発信者情報開示請求を弁護士に依頼する場合、以下のような費用が全体として発生します。
- 法律相談料: 弁護士に被害状況を相談し、法的な見解や方針を確認するための費用です。
- 着手金: 示談交渉や仮処分、開示命令申し立てなどの業務を依頼する段階で発生する費用です。
- 報酬金(成功報酬): 実際にIPアドレスや発信者の氏名・住所が特定され、目的を達成できた場合に発生する費用です。
- その他の実費: 証拠保全のための費用や、弁護士会照会(23条照会)を利用する場合の手数料など。
これらのトータルコストや費用の透明性については、ご依頼前の段階で弁護士から詳細な見積もりや説明を受けることが重要です。
費用を抑えて確実に特定を進めるためのポイント
開示命令手続きはご自身で申し立てることも不可能ではありませんが、法的な要件(権利侵害の明白性など)を的確に主張・立証しなければ、裁判所に申し立てを却下されてしまうリスクがあります。
また、プロバイダが保有するログ(アクセス記録)には保存期間(通常は約3〜6ヶ月程度)という極めて短いタイムリミットが存在します。
時間が経過しすぎてログが消去されてしまうと、どれだけ高額な印紙代を払って手続きを進めても、二度と投稿者を特定できなくなってしまいます。
- 迅速な証拠保全と専門家への相談: 誹謗中傷を発見した直後にスクリーンショットなどの証拠を確保し、一刻も早くネット風評被害に強い弁護士へ相談することが、特定成功への最大の近道となります。
- 無駄な費用の発生を防ぐ: どのプロバイダに対してどのような順番で請求すべきか、見通しの立った状態で手続きを進めることで、無駄な申し立てや費用の重複を防ぐことができます。
夕陽ヶ丘法律事務所では、ネット上の誹謗中傷や風評被害に関するご相談を多数承っております。開示命令手続きにかかる費用や具体的なスケジュールについても、分かりやすく丁寧にご説明いたしますので、一人で悩まずにお気軽にご相談ください。