【弁護士を通じた削除・発信者情報開示請求の有効性】悪質な風評被害や名誉毀損に対しては、弁護士が法的論拠(名誉権侵害や社会的評価の低下など)を示して運営側に「人的審査」を要求するか、裁判所を通じた削除仮処分や発信者情報開示請求(IP・氏名特定)、損害賠償請求を行うことで、確実かつ法的に適切な対処が可能になります。
X(旧Twitter)上で自社や個人に対する悪質な誹謗中傷やデマを発見した際、多くの方はまずプラットフォーム側の「報告(通報)」機能を利用されることでしょう。現在、XではAI(人工知能)や高度なアルゴリズムを活用して、規約に違反する投稿の自動検知・削除が日々行われています。
しかし、このAI自動判定には大きな限界が存在します。機械的な審査だけでは、巧妙に仕組まれた誹謗中傷を見逃してしまうケースが後を絶ちません。
本記事では、XのAIモデレーションが抱える構造的な限界と、それをすり抜ける悪質投稿の実態、そして確実に投稿を削除・対処するために弁護士がどのようなアプローチを取るのかを詳しく解説します。
XのAI自動判定が抱える3つの構造的限界
Xなどの巨大プラットフォームでは、世界中から膨大な数の投稿が毎秒単位で送信されています。これらすべてを人間の目で確認することは不可能であるため、初期段階の審査はAIアルゴリズムによって自動化されています。
しかし、この自動システムには以下のような明確な限界があります。
- 文脈やニュアンスの理解不足:AIはキーワードや画像のマッチングには長けていますが、「皮肉」「嫌味」「遠回しな表現」「スラング・隠語」を使った悪意ある文脈を正確に読み解くことができません。
- グレーゾーンの判断回避:明確な差別用語や暴力的な表現が含まれていない限り、名誉毀損やプライバシー侵害にあたるかどうかの法的判断をAI単体で行うことは困難であり、「規約違反なし」と誤判定されやすくなります。
- 判定基準の不透明性と一貫性のなさ:どのような基準で削除・非表示が決定されているのかが外部から見えにくく、同じような誹謗中傷であっても片方は削除され、もう片方は放置されるといった事態が頻発しています。
AI自動判定をすり抜ける巧妙な誹謗中傷の手口
ネット上の誹謗中傷を行う加害者は、プラットフォームの自動検知を逃れるためのノウハウを巧妙化させています。
例えば、実名や会社名を出さずに「イニシャル」や「特定の隠語」を用いる手法です。AIはこれらを単なる日常会話や一般的な固有名詞として処理してしまいがちですが、読者が見れば誰をターゲットにしているのかが痛いほど分かるというケースが数多く存在します。
また、文字ではなく画像に文字を埋め込んで投稿する(スクリーショット画像による拡散)手法や、改行や記号を挟んで特定のキーワード検索を逃れる手法も、AIの目を欺くために常套化している手口です。
こうした投稿は、一般的なユーザーの通報ボタンからAIに再審査を求めても、「違反なし」と機械的に突っぱねられてしまうことが少なくありません。
「違反なし」と判定された投稿に対する法的アプローチ
AIによる自動判定で「規約違反には該当しません」と通知された場合でも、法律上は明らかに名誉毀損や業務妨害に該当するケースは多々あります。
このような場合、泣き寝入りする必要はありません。プラットフォーム側に対して、人間による正確な法的審査(人的審査)を促すためのアプローチが必要となります。
- 弁護士名義による正式な削除要請の送付:個人のアカウントからの通報とは異なり、弁護士が法的根拠(名誉毀損、侮辱罪、プライバシー権侵害など)を記した正式な通知書・要請書をプラットフォームの法的窓口に送付します。これにより、運営側の人間(モデレーターや法務担当)による精査が行われる確率が飛躍的に高まります。
- 日本の法令に基づいた権利侵害の主張:Xはアメリカの企業ですが、日本国内でサービスを展開する以上、日本の法律に照らし合わせた権利侵害を論理的に主張することが有効です。どの部分がどのように日本の法律に違反しているのかを具体的に指摘します。
- 裁判所を通じた手続き(仮処分)の活用:プラットフォーム側の任意の削除要請に応じない場合は、日本の裁判所に対して「発信者情報開示請求」や「コンテンツ削除の仮処分命令」の申し立てを行います。法的拘束力を持った裁判所の判断を示すことで、迅速な削除を実現させます。
まとめ:AIの限界を突破するプロの対策
XのAI自動判定やアルゴリズムは、大量のスパムや明らかな規約違反を排除するためには不可欠なシステムですが、巧妙な誹謗中傷や名誉毀損を見つけ出す万能な盾ではありません。
「通報したのに削除されない」「AIに何度弾かれても、被害が拡大し続けている」とお悩みの方は、システムによる自動審査の限界に直面している可能性が高いといえます。
夕陽ヶ丘法律事務所では、SNS上の悪質な風評被害やネット中傷に関する豊富な解決実績がございます。AIをすり抜ける卑劣な投稿に対して、法的論拠に基づいた確実な削除要請、さらには発信者の特定から損害賠償請求まで、総合的なサポートを提供しております。お一人で悩まずに、どうぞお気軽にご相談ください。