X(旧Twitter)で特定された加害者が「未成年(学生)」だった場合の親の責任

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、ネット上の誹謗中傷削除・発信者情報開示命令(IPアドレス特定)・仮処分裁判実務に基づき、プロバイダ責任制限法および最新の判例に沿ってわかりやすく解説しています。

Q X(旧Twitter)で誹謗中傷をしてきた加害者が中高生などの未成年だった場合、親権者(保護者)に損害賠償を請求することはできますか?
A 【親権者の法的責任と損害賠償請求】加害者が中学生以上の未成年で自己の行為の責任を弁識する能力(責任能力)がある場合でも、民法上の監督義務違反が認められれば、原則として親権者(保護者)に対して子どもの起こした不法行為に基づく損害賠償請求を行うことが可能です。未成年者本人には十分な資力や預貯金がないケースが大半であるため、実務上は資力のある親権者を相手方とした法的手続きや示談交渉が中心となります。
【弁護士による法的アプローチと解決のポイント】発信者情報開示請求を通じて加害者を特定した後は、名誉毀損やプライバシー侵害に基づく損害賠償請求や示談交渉を親権者に対して行います。「子どもが勝手にやったことだから関係ない」という親側の主張が通らないケースも多く、証拠を揃えて弁護士を通じて法的に請求を行うことで、慰謝料の支払いや再発防止に向けた実効性のある解決が期待できます。

X(旧Twitter)などのSNS上で誹謗中傷やデマの拡散、個人情報の暴露といった悪質な投稿被害に遭い、発信者情報開示請求などを経て加害者を特定したところ、相手が中高生などの未成年や学生だったというケースが近年急増しています。

「子どもがやったことだから親には関係ないのではないか」「未成年相手に裁判をしてもお金を回収できないのでは」と不安を感じられる方も少なくありません。

結論から申し上げますと、未成年がネット上で違法な投稿を行い他人に損害を与えた場合、条件を満たせば親権者(保護者)に対して損害賠償を請求することができます

本記事では、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が、未成年によるSNS誹謗中傷における親の法的責任、示談交渉を進める際の注意点、そして実効性のある解決策について詳しく解説します。

1. X(旧Twitter)で未成年が誹謗中傷を行った場合の法的責任

SNSでの誹謗中傷は、名誉毀損罪や侮辱罪といった刑事責任だけでなく、民事上の不法行為(民法709条)に該当します。加害者が未成年であっても、原則として法的な責任免除が自動的に認められるわけではありません。

責任能力の有無(責任年齢)

日本の法律では、未成年であっても「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能(責任能力)」を備えていると認められる年齢(一般的には12歳〜14歳程度、中学生以上が目安)に達していれば、未成年者本人に不法行為責任が発生します。

小学生低学年のように責任能力が備わっていないと判断される年齢を除き、中高生であれば原則として本人自身に損害賠償責任が発生します。

なぜ「親の責任」が問題になるのか

未成年者本人に責任能力が認められ、損害賠償義務が発生したとしても、多くの中高生や学生には十分な経済力(資力)がありません。そのため、被害者が被った精神的苦痛に対する慰謝料や、弁護士費用・調査費用などの損害を未成年者本人から直接回収することが困難なケースがほとんどです。

そこで重要となるのが、親権者(保護者)に対する監督義務違反の追求です。

2. 親権者に損害賠償を請求できる法的根拠

未成年の子どもが起こした不法行為について、親権者が責任を負う法的根拠は主に2つあります。

① 民法714条に基づく「責任無能力者の監督義務者等の責任」

子どもが幼少期などで「責任能力」がないと判断される場合、その子どもを監督する法定の義務を負う者(親権者など)が、監督義務を怠っていなかったことを証明できない限り、損害賠償責任を負うこととされています(民法714条1項)。

② 民法709条・715条等(類推適用含む)に基づく親の「監督義務違反」

中高生などのように責任能力がある未成年が加害者である場合、原則として親権者が直接の加害者になるわけではありません。しかし、日頃からインターネットの利用マナーやモラルを指導する義務(日常の監督義務)や、危険なSNS利用を放置していなかったかという観点から、親権者の「監督義務違反」と結果(誹謗中傷による被害)との間に因果関係が認められる場合、親権者自身の不法行為責任(民法709条)が成立します。

実務上、裁判所や示談交渉の場においては、親権者が未成年者のスマホ利用やSNS投稿を十分に把握・管理していなかったことなどを理由として、親権者側の責任が広く認められる傾向にあります。

3. 未成年・親権者を相手にする場合の示談交渉のポイント

発信者情報開示請求によって加害者が未成年であると判明した場合、どのように交渉を進めるべきでしょうか。実務上の重要なポイントを解説します。

  • 交渉の相手方は原則として「親権者(保護者)」になる
  • 未成年者本人単独での示談は無効になるリスクがある
  • 学校や部活動への影響を考慮した早期解決の可能性
  • 示談書(合意書)における「親権者の連帯保証・監督誓約」の必須化

親権者を代理人・当事者として交渉を進める

未成年者は法律上「制限行為能力者」に該当するため、親権者(法定代理人)の同意を得ずに単独で行った法律行為(示談など)は、後から取り消されるリスクがあります。そのため、交渉の初期段階から親権者を窓口とし、最終的な示談合意書にも親権者に署名・捺印してもらう必要があります。

学校への影響と加害者の心理的動揺

未成年が加害者である場合、裁判手続や高額な賠償請求に発展することを恐れ、親権者が早い段階で現実を受け入れ、謝罪や示談に応じるケースが多く見られます。一方で、「子ども将来や学校生活(停学や退学など)に影響が出ては困る」として、過度に防御的な態度に出る保護者も存在します。

感情的な対立を避け、客観的な証拠にもとづいて冷静に法的責任を説明し、適正な慰謝料や再発防止策を盛り込んだ示談書を締結することが、弁護士介入による大きなメリットとなります。

4. 夕陽ヶ丘法律事務所が提供する未成年加害者対策のサポート

X(旧Twitter)での誹謗中傷被害において、相手が未成年である場合、通常の大人同士の事案とは異なる法的なアプローチや交渉術が求められます。

  • プロバイダ責任制限法に基づく迅速な発信者情報開示請求
  • 加害者が未成年と判明した時点での最適な損害賠償・示談プランの策定
  • 親権者に対する法的責任の告知と、適正金額による早期示談交渉の代理
  • 将来の再発防止・誓約事項を盛り込んだ強固な示談書の作成

「うちの子はネットの遊びのつもりで投稿した」「まさかこんな大事になるとは思わなかった」といった言い訳を許さず、被害を受けた方の名誉回復と正当な賠償金の回収を実現するためには、専門的な法律知識と経験が不可欠です。

XなどのSNSで未成年による誹謗中傷にお悩みの方、あるいは開示請求の末に相手が学生だったことが分かり対応にお困りの方は、ぜひ一度、夕陽ヶ丘法律事務所へご相談ください。豊富な実績を持つ弁護士が、お客様の権利を守るために全力でサポートいたします。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

TOP