【全額回収を実現するためのポイント】自ら持ち出した費用の全額を確実に回収するには、裁判だけでなく、示談交渉の段階で弁護士費用を含めた合意形成を図る高度な法的アプローチが不可欠です。泣き寝入りを防ぎ、経済的な負担を最小限に抑えながら加害者の責任を厳しく追及するためにも、早い段階でネット中傷や開示請求に精通した弁護士へ相談し、適切な証拠収集と損害賠償請求の戦略を立てることが極めて有効です。
X(旧Twitter)上でいわれのない誹謗中傷や名誉毀損、デマの拡散被害に遭ったとき、多くの被害者が「相手を特定して法的責任を追及したい」と願います。しかし、そこで大きな壁となるのが「経済的な負担」です。
発信者情報開示請求を行い、さらに損害賠償請求の裁判を起こすためには、弁護士への依頼費用や裁判所の手数料など、少なくないコストがかかります。被害者側が泣き寝入りせざるを得ない状況を生まないためにも、「かかった費用を加害者に請求できるのか」という点は非常に重要な問題です。
今回は、Xの開示請求やその後の損害賠償請求において、調査費用や弁護士費用を相手に請求できるのか、法律上の仕組みと実務における回収のポイントを詳しく解説します。
1. 開示請求の費用は加害者に請求できる?基本の考え方
XなどのSNSで権利侵害を受けた被害者は、プロバイダ責任制限法等に基づき、投稿者を特定するための開示請求を行います。この一連の手続きには、弁護士を通じた任意交渉や、裁判所での仮処分・訴訟手続きが含まれます。
法律上、これらは加害者の不法行為(名誉毀損や侮辱など)によって引き起こされたものであり、被害者が受けた「損害」の一部として構成されます。したがって、原則として加害者に対して法的責任を追及する中で、これらの費用を損害賠償の一部として請求することが可能です。
しかし、「かかった実費の全額がそのまま全額戻ってくる」わけではないのが実務の現実です。どのような費用が対象になり、どのように認められるのかを正しく理解しておく必要があります。
2. 加害者に請求できる費用の具体的な内訳
開示請求から損害賠償請求に至るまでには、さまざまな名目で費用が発生します。加害者に請求できる主な費用の内訳は以下の通りです。
- 弁護士への着手金・報酬金: 弁護士に支払った委任費用。
- 裁判所の手数料・予納郵券: 訴訟や仮処分申し立ての際に裁判所に納める収入印紙代や切手代。
- 調査費用: 投稿の証拠保全やIPアドレスに関連する調査にかかった実費。
- 戸籍謄手続費用等: 相手の住所を特定するための住民票や戸籍謄本の取得費用。
これらのうち、裁判実務において特に問題となり、かつ厳しく審査されるのが「弁護士費用」の扱いです。
3. 「弁護士費用」は全額請求できるのか?
被害者にとって最も大きな負担となるのは弁護士費用ですが、裁判所が加害者に支払いを命じる金額には一定の基準があります。
日本の民事裁判においては、勝訴した場合でも、原告が支払った弁護士費用の全額がそのまま被告の負担(上乗せ)とされるわけではありません。一般的には、「認められた損害賠償額(慰謝料など)の1割から2割程度の金額」が、相当因果関係のある弁護士費用(損害の一部)として認められるのが通例です。
例えば、慰謝料として30万円が認められた場合、それに上乗せされる弁護士費用は3万円から6万円程度と判断されるケースが多く見られます。実際の開示請求や訴訟にかかった弁護士費用全体と比較すると、これだけでは不足することが多いため、全額回収へのハードルとなっています。
4. 弁護士費用や調査費用を「全額」に近づけて回収するためのポイント
裁判所の標準的な基準では費用の一部しか認められないケースが多いものの、工夫次第で実質的な回収額を増やしたり、全額に近い形で相手に負担させたりすることは可能です。ここでは実務上の主なアプローチを紹介します。
示談交渉による合意形成を目指す
裁判を起こす前に、弁護士を通じて相手と示談交渉を行う方法があります。裁判上の判決であれば上記のように一部しか認められない費用であっても、示談交渉の場において「解決金」や「弁護士費用を含めた全額の支払い」を加害者が合意すれば、全額を回収することが可能になります。相手も裁判による社会的信用の失墜や刑事事件化を恐れている場合、こちらの提示した条件(費用全額の負担を含む)を受け入れるケースは少なくありません。
事案の悪質性を徹底的に主張・立証する
組織的な誹謗中傷や、執拗かつ悪質なデマの拡散、被害者のプライベートを暴くような極めて悪質な事案では、被害の深刻さが考慮されます。裁判所が「この事案では弁護士を代理人として選任することが不可欠であり、その費用も全額が加害者の不法行為と相当因果関係にある」と判断すれば、通常よりも高額な弁護士費用が認められる余地が生まれます。
複数の手続きを効率化し、無駄なコストを抑える
弁護士費用そのものを膨らませないことも重要です。Xの開示請求(発信者情報開示請求訴訟・非訟)からその後の損害賠償請求までをワンストップでスムーズに行える、SNS誹謗中傷に強い弁護士に依頼することで、二重の手数料や無駄な調査コストを削減し、費用対効果を高めることができます。
5. 泣き寝入りせず、まずは弁護士へご相談を
X(旧Twitter)での誹謗中傷や風評被害において、「弁護士費用が高そうだから、開示請求をしても赤字になってしまうのではないか」と不安に思われる方は非常に多いです。
確かに、相手の経済力や資力(支払い能力)がない場合は回収が難しい側面もありますが、適切な手順を踏んで相手を特定し、裁判や示談交渉を行うことで、費用の大部分を相手に負担させることは十分に可能です。
夕陽ヶ丘法律事務所では、XなどのSNS上の誹謗中傷トラブルおよび発信者情報開示請求について多数の解決実績を有しております。費用面の見通しや、加害者への請求可能性についても、具体的な状況に合わせて丁寧にご説明いたします。泣き寝入りしてしまう前に、まずは一度当事務所の初回相談をご活用ください。