【具体的な対策と弁護士相談のメリット】被害に遭った場合は、プラットフォームに対する迅速な削除申請や、発信者情報開示請求を用いた投稿者の特定、さらには損害賠償請求を行うことが有効です。証拠保全を適切に行い、法的手続きを円滑に進めるためにも、ネット誹謗中傷に精通した弁護士へ早期に相談することをおすすめします。
近年、生成AIの急速な普及に伴い、誰でも簡単に高精度な画像や動画を作成できるようになりました。その一方で、特定の個人の顔写真を悪用し、不適切な画像と合成した「ディープフェイク(コラ画像)」をSNS上で晒すという悪質な嫌がらせやネットいじめが深刻な社会問題となっています。
X(旧Twitter)やInstagram、TikTokなどのプラットフォーム上で自身の顔写真を使ったコラ画像を無断で公開された場合、プライバシーや精神的平穏が著しく脅かされます。本記事では、AI生成画像による晒し被害に対する具体的な法的対策や、削除請求の手順について詳しく解説します。
AI生成コラ画像がもたらす法的侵害と問題点
他人が勝手に作成したAIコラ画像をSNSに投稿する行為は、単なる悪ふざけではなく、明確な権利侵害にあたります。具体的には、以下のような法的責任が問われる可能性があります。
- 肖像権およびパブリシティ権の侵害:承諾なく自分の顔や姿態を写真や画像として利用されない権利を侵害します。
- 名誉権・名誉感情の侵害:卑わいな画像や不名誉なシチュエーションに顔を合成されることで、社会的評価の低下や著しい精神的苦痛(侮辱)を受けます。
- プライバシー権の侵害:個人を特定できる情報と結びつけて、みだりに私生活のイメージをさらされることに対する法的侵害です。
- 著作権侵害(元画像が本人の場合):自身が撮影・保有している写真を無断でAIに取り込ませて加工・再配布された場合、著作権の侵害が成立することもあります。
特に、AIによって作られた画像であるため「本人の実物ではない」と加害者が言い逃れを図るケースが見られますが、裁判例においては、合成画像であっても見る者に当該人物が実際にそのような姿態にあると誤認させたり、精神的な苦痛を与えたりするものであれば、違法性が認められやすい傾向にあります。
被害発覚時にすぐ行うべき初期対応
悪質なコラ画像や晒し行為を発見した場合、感情的に反発したり、相手のアカウントに直接リプライを送ったりすることは控え、冷静かつ迅速に証拠の保全と対策を行う必要があります。
- 証拠の徹底的な保存(スクリーニング):投稿された画像、アカウントのID、URL、投稿日時、拡散されているリポストやいいねの数などを確実にスクリーンショットで残します。動画の場合は画面録画も有効です。
- プラットフォームへの削除申請:各SNSの違反報告機能を利用し、「プライバシー侵害」「なりすまし」「不適切なコンテンツ」などの項目を選択して削除を要請します。
- 個人情報の拡散防止:自身の本名や勤務先、学校名などが紐づいている場合は、さらなる二次被害を防ぐために周囲への注意喚起やアカウントのプライバシー設定の見直しを行います。
プラットフォームに対する削除請求の実務
SNSの運営会社に対する削除請求は、被害者が自ら行う「削除申請フォームからの要請」と、弁護士を通じて行う「法的な削除要請(送信防止措置依頼など)」の2つのアプローチがあります。
個人からの申請で削除されない場合や、運営会社が対応に慎重な場合、弁護士名義で法的な根拠を示した通知書を送付することで、削除の優先順位が上がりやすくなります。また、日本の法律やプロバイダ責任制限法を踏まえた適切な主張を行うことで、迅速な対応を引き出すことが可能です。
投稿者を特定するための発信者情報開示請求
悪質なコラ画像を作成・投稿した人物を特定し、法的責任(損害賠償請求や刑事告訴)を追及するためには、発信者情報開示請求を行う必要があります。
- ステップ1:SNS事業者に対するIPアドレス等の開示請求:投稿者が使用した通信記録(IPアドレスやタイムスタンプ)の保存と開示を求めます。
- ステップ2:プロバイダ(携帯キャリアや固定回線業者)に対する氏名・住所の開示請求:特定されたIPアドレスをもとに、インターネット回線事業者に対して契約者の情報開示を求めます。
近年の法改正により、裁判手続きの効率化が図られたものの、専門的な知識と迅速な証拠保全が必要不可欠です。時間が経つと通信ログが消去されてしまい、特定が不可能になるリスクがあるため、被害に気づいたら一刻も早く弁護士に相談することが推奨されます。
刑事告訴という選択肢について
悪質なディープフェイク画像やコラ画像の作成・拡散は、民事上の損害賠償請求だけでなく、刑事事件に発展するケースもあります。
名誉毀損罪や侮辱罪、あるいは都道府県の迷惑防止条例違反などに該当する可能性があり、警察に被害届や刑事告訴を提出することで、捜査機関による摘発を求めることができます。加害者に反省を促し、再発を防止するための強力な手段となります。
夕陽ヶ丘法律事務所のネット誹謗中傷・風評被害対策
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