【弁護士による示談交渉と違約金設定の重要性】確実に再発を防ぎ精神的平穏を取り戻すためには、専門弁護士のサポートのもとで示談を締結し、違反した際の多額の違約金をあわせて設定することが不可欠です。損害賠償請求と並行して確実な合意書を取り交わすことで、法的実効性を最大限に高めることができます。
SNS上で誹謗中傷や根拠のない悪評を書き込まれた際、発信者情報開示請求などの法的手続を経て投稿者を特定することに成功したとします。この段階で被害者が直面する大きな課題の一つが、「どのようにして相手からの謝罪、賠償、そして何より『再発防止』を勝ち取るか」という点です。
金銭的な賠償金(慰謝料や弁護士費用)の支払いを受け取ることはもちろん重要ですが、被害者心理として最も望むのは「二度と同じような被害に遭わないこと」ではないでしょうか。
そこで強力な選択肢となるのが、示談の条件として「現在使用しているアカウントの永久削除」や「将来にわたるSNSアカウントの新規開設・利用の禁止」を盛り込む手法です。
本記事では、特定した投稿者とSNSアカウントの削除・利用禁止を条件に示談を結ぶ際のメリット、実効性を高めるための法的なポイント、そして交渉時の注意点について、夕陽ヶ丘法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
1. なぜSNSアカウントの削除・利用禁止が示談条件として有効なのか
裁判や示談交渉において、投稿者に対して金銭賠償を求めるだけでは、相手が再び別のアカウントを作成し、同様の誹謗中傷を繰り返すリスク(いわゆる「リベンジ」や「別名義での再犯」)が残ってしまいます。特に粘着質なアンチや競合他社による悪質な風評被害の場合、金銭的制裁だけでは根本的な解決にならないケースが少なくありません。
アカウントの永久削除や利用禁止を条件に加えることには、以下のような大きなメリットがあります。
- 即時的な加害手段の剥奪: 投稿者がそれまで築き上げていたフォロワーや影響力を失わせることで、再び同じ規模で情報を拡散する能力を奪うことができます。
- 心理的な抑止力: 「自分を特定した被害者と示談し、SNSの利用自体を厳しく制限されている」という事実が、投稿者に対して強い心理的プレッシャーを与えます。
- 再犯時のペルティエ(制裁)の明確化: 万が一約束を破って新アカウントを開設し、再び誹謗中傷を行った場合に、より重い法的責任を追及する根拠となります。
2. 示談書に盛り込むべき具体的な条件と条文のポイント
SNSアカウントの削除や利用禁止を実効性のあるものにするためには、単に「アカウントを消してくださいね」と口頭で約束させるだけでは全く不十分です。必ず書面(示談書・合意書)の形に残し、以下の要素を明確に盛り込む必要があります。
現在のアカウントの削除方法と期限の特定
示談書には、対象となるアカウントのID(ハンドルネーム)、URL、および削除を実行する期限を具体的に記載します。 「被通知人は、本合意締結後〇日以内に、X(旧Twitter)アカウント(@xxxxxxx)を自らの手で永久削除し、以後これを復元しないものとする」といった明確な条文を作成します。また、削除が完了した証拠として、削除画面のスクリーンショットを提出させるなどの運用ルールを定めることも有効です。
今後の新規開設および利用の禁止
「今後一切、いかなるSNS媒体(X、Instagram、TikTok、YouTube、匿名掲示板等を含む)においても、新規アカウントを開設し、または第三者のアカウントを利用して発信を行ってはならない」といった制限を設けます。ただし、仕事やプライベートでどうしてもSNSの閲覧や利用が必要な例外がある場合は、範囲を明確に切り分ける必要があります。
違反時の「違約金条項」の設定
法律上、最も重要なのが「違約金(ペナルティ)の定め」です。 「もし被通知人が本合意に違反してアカウントを開設し、または本件に関する発信を行った場合、違約金として金〇〇万円を直ちに支払わなければならない」という条文を入れます。この違約金を設定しておくことで、万が一約束が破られた際に、損害賠償額を立証する手間を省いて迅速に金銭請求を行うことが可能になります。
3. 交渉および合意締結における注意点とハードル
アカウントの永久削除を条件とする示談交渉には、法的な専門知識と慎重なアプローチが求められます。
投稿者の「表現の自由」や「過度な制限」とのバランス
憲法上、表現の自由は保障されています。そのため、「一生涯、あらゆるインターネット上のコミュニケーション手段の利用を禁止する」といった過度で不合理な条件は、公序良俗に反する(民法第90条)として、法的に無効と判断されるリスクがあります。 対象とする期間、範囲、目的が「誹謗中傷の再発防止」という正当な範囲内に収まるよう、法的に適切な表現で条文を構築しなければなりません。
本人確認と示談書の真正成立
特定作業の過程で得た相手の身元情報(氏名、住所、電話番号など)を基に、確実に本人と合意を交わす必要があります。また、将来のトラブルを防ぐため、示談書には実印を押印してもらい、印鑑登録証明書を添付させる、あるいは公正証書(執行受諾文言付き公正証書)の形で残すといった強力な保全策を講じることも視野に入れます。
4. 弁護士に依頼するメリット
個人間で「アカウントを消してほしい」と直接交渉を持ちかけても、投稿者が逆上して話し合いに応じなかったり、言った言わないの水掛け論に発展したりするケースが多々あります。最悪の場合、逆恨みされて二次被害につながる危険性さえあります。
弁護士を代理人として立てることで、以下のようなメリットがあります。
- 冷静かつ対等な交渉の実現: 弁護士が法的な根拠に基づき、冷静かつ厳格に交渉を進めるため、投稿者も逃げられなくなります。
- 法的に有効な示談書の作成: アカウント削除の義務化、将来の利用禁止、違約金条項など、将来の紛争を防ぐための隙のない示談書を作成できます。
- プライバシーの保護: 被害者本人が直接相手と連絡を取る必要がないため、精神的な負担を大幅に軽減できます。
まとめ
SNSで特定した投稿者に対して「アカウントの永久削除」や「今後の利用禁止」を条件に示談を迫ることは、金銭賠償と並んで誹謗中傷の再発を防ぐための非常に強力な手段です。
しかし、その効果を確実なものにするためには、感情的な要求ではなく、法的な拘束力と実効性を備えた示談書の作成が不可欠となります。
夕陽ヶ丘法律事務所では、ネット上の誹謗中傷対策や発信者情報開示請求、その後の示談交渉において数多くの実績を有しています。「二度とあのような投稿をされたくない」「確実な再発防止策を講じたい」とお考えの方は、ぜひ当事務所の弁護士までお気軽にご相談ください。あなたの平穏な日常を取り戻すため、全力でサポートいたします。