【弁護士による法的措置とメリット】グローバル規模の風評被害や売上への打撃を防ぐため、国際法務やネット誹謗中傷に精通した弁護士を通じて多言語による証拠保全を行い、プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求や損害賠償請求の手続きを迅速に進めることが不可欠です。
近年、X(旧Twitter)やInstagram、TikTokなどの主要なSNSにおいて、標準搭載された「AI自動翻訳機能」が広く使われるようになりました。これにより、世界中のユーザーと手軽にコミュニケーションが取れるようになった一方で、予期せぬトラブルが発生しています。
その代表例が、AIの誤翻訳や文脈の誤解釈によって、国内の何気ない投稿や事実無根の批判が海外へ悪評として誤拡散されるケースです。日本語特有の皮肉やニュアンス、業界用語などが不正確に翻訳された結果、海外のユーザーから激しいバッシングを受けるといった風評被害が後を絶ちません。
本記事では、SNSのAI自動翻訳によって悪評が海外へ誤拡散された際、企業や個人がどのように対処すべきか、法律的観点から詳しく解説します。
AI自動翻訳による誤拡散がもたらす深刻なリスク
従来のネット誹謗中傷は、日本語圏内での炎上や風評被害が中心でした。しかし、AI自動翻訳の普及により、そのリスクは一瞬にしてグローバル規模に拡大しています。
特にインバウンド需要を取り込む飲食店、宿泊施設、観光業、あるいはグローバル展開を行うメーカーやIT企業にとって、海外からの不当な悪評は以下のような甚大な実害をもたらします。
- ブランドイメージの失墜:事実無根の内容が海外のコミュニティで拡散され、企業の信頼性が大きく損なわれます。
- 売上・業績への直接的な打撃:外国籍の顧客からの予約キャンセルや不買運動に発展する恐れがあります。
- 発信元の特定や責任追及の難易度:翻訳された投稿がさらに別の海外ユーザーによってリポスト・シェアされるため、情報の出所や二次被害の追跡が極めて困難になります。
「大したことは書いていない」「自社に関するものではない」と思っていた投稿であっても、AIの誤訳によって致命的な誹謗中傷に変貌してしまうケースがあるため、十分な警戒が必要です。
誤翻訳による投稿は「名誉毀損」に該当するのか
「AIが勝手に誤訳したのだから、投稿者やプラットフォームには責任がないのではないか」と考える方もいるかもしれません。しかし、日本の法解釈においては、必ずしもそうとは言い切れません。
民法上の不法行為(名誉毀損・信用毀損)や刑法上の名誉毀損罪の成立においては、以下のような要素が総合的に判断されます。
- 社会的評価の低下:翻訳された結果であっても、それを見た不特定多数の海外ユーザーが、対象となった企業や個人の社会的評価を低下させる内容であること。
- 違法性の阻却事由の有無:公共の利害に関するものであり、かつ公益目的で、真実である(または真実と信じる相当の理由がある)といえるかどうか。
多くの場合、AIの誤訳によって生み出された悪評は、事実無根であるか、あるいは著しい誇張が含まれています。そのため、名誉毀損や営業妨害として法的な削除要求の対象になり得ます。
また、投稿者自身に悪意がなかったとしても、自ら誤解を招く表現を意図せず使っていた場合や、翻訳された状態を確認しながら放置していた場合などには、法的責任が問われる余地が生じるケースもあります。
海外拡散された悪評に対する具体的な4つの対処法
SNSのAI自動翻訳機能を通じて海外へ悪評が誤拡散してしまった場合、被害の拡大を防ぐために以下のステップで迅速に対処することが求められます。
1. 証拠の徹底的な保全(多言語対応)
誹謗中傷対策の基本は「証拠の確保」です。しかし、AI自動翻訳が絡む案件では、以下の点に注意して証拠を残す必要があります。
- 原文の投稿内容およびURL
- 問題となっているAI自動翻訳の表示画面(英語やその他の言語)
- それらがどのように拡散されているかを示すリポストやコメントの数、スクリーンショット
スクリーンショットを撮影する際は、投稿日時、アカウント名、表示されている言語、そしてURLが明確に写るように記録してください。後日の発信者情報開示請求や削除請求において、この多言語の証拠が極めて重要な役割を果たします。
2. プラットフォームへの削除・修正申請
国内外のSNS事業者は、利用規約において名誉毀損や嫌がらせ行為を禁止しています。各プラットフォームの通報窓口から、規約違反として削除申請を行います。
この際、単に「不快である」と主張するのではなく、「AI自動翻訳機能により不正確な訳が生成され、事実無根の内容として拡散されており、名誉毀損および信用毀損に該当する」という点を論理的に説明することが効果的です。英語をはじめとする外国語で的確に理由を記述する必要があるため、専門知識が求められます。
3. 投稿者本人へのアプローチと警告
原文を投稿したユーザーが特定できる場合、そのユーザーに対して直接、または代理人弁護士を通じて「誤訳によって重大な風評被害が発生している旨」を伝え、原文の削除や訂正、謝罪を求めることが有効な場合があります。
投稿者に悪意がなかった場合、事情を説明することで自主的に投稿を削除してくれるケースも少なくありません。ただし、感情的なやり取りはさらなる炎上を招く恐れがあるため、弁護士を代理人として立てた上での書面送付が安全かつ確実です。
4. 発信者情報開示請求と法的措置
悪質なデマや組織的な誹謗中傷、あるいは多大な実害が生じているケースでは、投稿者を特定するための「発信者情報開示請求」を検討します。
海外プラットフォームを相手にする場合、日本の裁判所を通じた手続きに加え、海外の法規制やプロバイダの管轄を考慮した複雑な法的手続きが必要となります。国際的なネットトラブルに精通した弁護士に早期に相談し、法的手段に踏み切るのが最善の選択肢です。
まとめ:AI時代の風評被害は夕陽ヶ丘法律事務所へご相談ください
SNSのAI自動翻訳の普及は、ボーダレスなコミュニケーションを可能にした一方で、私たちが予期しない形で「言葉の壁」を越えた風評被害のリスクを生み出しています。
「海外で何が書かれているのか分からないうちに、悪評が広まってしまった」「外国語での削除申請の方法が分からない」といったお悩みを抱えている方は、一人で悩まずに法律の専門家へご相談ください。
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所では、国内外のSNSプラットフォームの特性や、AI関連のネット誹謗中傷・風評被害対策に豊富な実績を持つ弁護士が、被害の拡大防止から削除要請、法的責任の追及までをトータルでサポートいたします。貴社のブランドと信頼を守るため、どうぞお気軽にお問い合わせください。