奈良地方裁判所で「偽名男の携帯番号から本名を完全特定」した一般モデル

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、貞操権侵害(独身偽装被害)における不法行為責任(民法709条)、裁判例の慰謝料算定基準、および相手の妻からの不貞請求防御実務に基づきわかりやすく解説しています。

Q 交際相手から独身と聞いていたのに実は既婚者で、しかも偽名を使われていました。携帯電話の番号しか分からない状態から、相手の本名や勤務先を法的に特定することは本当に可能ですか?
A はい、弁護士を通じた裁判所への照会手続き(民事訴訟法第197条等に基づく調査嘱託や弁護士会照会など)を活用することで、携帯電話番号を手がかりに契約者情報(本名・住所)を特定できるケースがあります。奈良地方裁判所管内での実績を含め、法的なアプローチによって身元を解明した上で、貞操権侵害や不貞慰謝料の請求へ繋げることが可能です。

独身と偽って交際を重ね、性交渉まで及んだものの、実は既婚者であり、さらに偽名まで使われていたという悪質なケースが後を絶ちません。被害に遭われた方の中には、相手の連絡先が携帯電話の番号しか分からず、「名前も会社も嘘だったため、泣き寝入りするしかないのか」と絶望される方も少なくありません。

1. 独身偽装と「偽名」を用いた悪質な貞操権侵害の実態

結婚している事実を隠し、独身であると偽って男女関係を結ぶ行為は、民法上の貞操権侵害(不法行為:民法第709条)に該当します。人間関係における信頼を踏みにじる卑劣な行為であり、精神的な苦痛に対して慰謝料を請求する法的権利が被害者にはあります。

しかし、加害者が最初から既婚者であることが発覚するのを防ぐため、仕事や苗字、さらには名前そのものまで「偽名」を使って近づいてくるケースが存在します。

  • 連絡先は携帯電話の番号や特定のメッセージアプリのみ
  • 名刺を渡されたが、勤務先が存在しないか架空のものだった
  • 自宅の場所を絶対に教えず、いつも特定の駅周辺でしか会わなかった

このような状況でトラブルが発覚した場合、加害者は責任逃れのために連絡を絶ち、行方をくらまそうとします。しかし、諦める必要はありません。法的な手続きを踏むことで、相手の足取りを掴むことが可能です。

2. 携帯電話番号から本名を特定する法的プロセス

「相手の名前が偽名で、連絡先がスマホの番号だけ」という状態から、どのようにして本名や勤務先を特定するのでしょうか。個人が独自に調べることは極めて困難ですが、弁護士が代理人となることで、法的な調査手段が利用できるようになります。

弁護士会照会(第23条照会)の活用

弁護士法第23条の2に基づく照会制度を利用し、携帯電話のキャリア(ドコモ、au、ソフトバンク、各格安SIM事業者など)に対して、契約者情報の開示を求めることが考えられます。ただし、通信の秘密の保護の観点から、キャリアが直接一般の個人や弁護士の照会に対して容易に契約者氏名を教えるわけではありません。

裁判を起こす前提や、正当な法的手続きを行う必要性がある場合において、裁判所の関与や適切な手続きを経ることで、契約者の特定へと道が開かれます。

奈良地方裁判所への申立てと調査嘱託

実際の法的紛争において、訴訟や調停などの法的手続きが奈良地方裁判所などの管轄で係属している場合、裁判所を通じて関係機関や企業に照会を行う「調査嘱託」という制度を利用できます。

奈良地裁を用いた事案においても、携帯電話の契約情報や決済情報、あるいは相手が利用していたクレジットカード会社や銀行口座の履歴などを手がかりにし、裁判所を介した照会手続きを適切に組み合わせることで、偽名男の戸籍上の本名、現住所、さらには勤務先を完全解明した実績があります。

3. 身元特定後に待ち受ける「ダブルトラブル」への備え

偽名男の本名や勤務先が判明した後は、本格的な法的責任の追及に入ります。ここで注意しなければならないのが、いわゆる「ダブルトラブル」です。

独身偽装交際であった場合、被害女性自身は「相手が既婚者であることを知らなかった(善意・無過失)」ケースがほとんどです。しかし、相手の配偶者(妻)から「夫と不倫関係にあった」として、逆に不貞慰謝料を請求されるという理不尽なトラブルに巻き込まれることがあります。

  • 加害男性が妻に対して「相手(被害女性)から誘ってきた」などと嘘の言い訳をし、妻が被害女性を攻撃してくる
  • 独身と信じ込まされていたにもかかわらず、配偶者から内容証明郵便が届く

このような二重の苦しみに対しては、冷静かつ毅然とした法的対応が不可欠です。被害女性には不貞の故意・過失がないため、配偶者からの慰謝料請求は法的に根拠がないことを主張・立証します。同時に、自分を騙して心身を傷つけた偽名男に対して、貞操権侵害に基づく高額な損害賠償請求を突きつけていきます。

4. 奈良・関西エリアでの独身偽装・身元特定トラブルのまとめ

携帯電話の番号しか分からない状態から偽名を使った既婚者の本名や勤務先を特定するためには、奈良地方裁判所を活用した調査嘱託や弁護士会照会といった高度な法的アプローチが不可欠です。独身偽装による貞操権侵害に直面した際は、泣き寝入りすることなく、法的根拠に基づいた証拠収集と損害賠償請求を進めることが、被害回復への確実な第一歩となります。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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