示談交渉中に加害者男性が「逆ギレ・脅迫」してきた場合の即時対応

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、貞操権侵害(独身偽装被害)における不法行為責任(民法709条)、裁判例の慰謝料算定基準、および相手の妻からの不貞請求防御実務に基づきわかりやすく解説しています。

Q 独身と偽って交際していた既婚者男性に慰謝料を請求したところ、「会社にバラす」などと逆ギレされ脅迫されています。刑事上の罪に問うことはできますか?また、自身の安全を守りながら適正な慰謝料(100万〜300万円)を回収するにはどう対処すべきですか?
A 【刑事上の責任追及と逆ギレへの即時対応】加害者の「会社にバラす」「ただでは置かない」といった発言は、刑法第222条の脅迫罪や同第223条の強要罪に該当する可能性が極めて高く、刑事事件化を警告することで法的プレッシャーを与えられます。独身偽装による貞操権侵害(民法第709条の不法行為)を隠蔽するための脅しに屈せず、すべてのやり取りの録音やメッセージ履歴などの証拠を必ず保全してください。
【弁護士介入による安全な示談交渉と法的手続】ご自身での直接交渉は逆ギレやエスカレートを招く危険があるため、直ちに弁護士に代理人を依頼することが最も安全かつ確実です。弁護士が受任通知を送達することで相手を沈黙させ、独身偽装に対する適正な慰謝料請求はもちろん、相手の配偶者からの不貞請求リスクや求償権の問題まで総合的に見据えた解決を図ることができます。

独身偽装交際や貞操権侵害の問題において、加害者である既婚男性に対して慰謝料請求や示談交渉を進めると、保身や怒りから逆ギレしたり、脅迫的な態度に出たりするケースが少なくありません。

この記事では、示談交渉中に加害者男性が逆ギレ・脅迫してきた際の、法的根拠に基づく即時対応と自衛策について詳しく解説します。

1. 示談交渉中の「逆ギレ・脅迫」に潜む法的リスク

既婚であることを隠して性交渉や交際を強要した男性が、法的責任を追及されて逆ギレするのは、自身の社会的地位や家庭への発覚を恐れる心理的防衛の表れにすぎません。しかし、その言動がエスカレートした場合、新たな刑事犯罪や不法行為を構成することになります。

加害者の言動が該当し得る刑事犯罪

加害者の発言内容によっては、刑法上の犯罪に該当する可能性があります。

  • 脅迫罪(刑法第222条):「会社にバラす」「ただでは置かない」「家族に言いふらす」など、生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加える旨を告知した場合に成立します。
  • 強要罪(刑法第223条):義務のないこと(「これ以上請求を取り下げろ」「連絡するな」等)を強いるために脅迫や暴行を用いた場合に成立します。
  • 名誉毀損罪・侮辱罪:周囲に事実無根の噂を流す、あるいはプライバシーを暴露すると脅した場合に問題となります。

これらは明白な違法行為であり、被害者が泣き寝入りする必要は一切ありません。

2. 逆ギレ・脅迫に対する即時対応のステップ

加害者から威圧的な連絡や脅迫を受けたときは、感情的に言い返したり、連絡を絶ったりするのではなく、冷静かつ毅然とした法的アプローチを取る必要があります。

以下に、具体的な対応ステップを解説します。

ステップ1:すべてのやり取りの証拠を保全する

逆ギレされた電話やメッセージは、今後の交渉や法的措置において極めて強力な証拠となります。

  • 電話の場合は可能な限り録音する(通話録音アプリやICレコーダーを活用)。
  • LINEやメール、DMなどの画面は、送信日時が分かるようにスクリーンショットを確実に保存する。
  • 暴言や脅しを受けた日時、状況をメモに記録しておく。

ステップ2:脅迫行為の違法性と警察介入の可能性を警告する

加害者に対し、これ以上の脅迫や不誠実な対応は許されないことを明確に伝えます。ご自身での対応が難しい場合は、弁護士名義で内容証明郵便等を送付するのが最も効果的です。

  • 「これ以上のような脅迫的言動を続けるのであれば、脅迫罪および強要罪として警察に被害届を提出します」
  • 「会社や関係先への連絡・名誉毀損行為等が行われた場合、刑事告訴および追加の損害賠償請求(民事訴訟)を直ちに実行します」

こうした具体的かつ現実的な法的措置の予告を突きつけることで、多くの加害者は自身の置かれた立場を理解し、一気にトーンダウン(沈黙)します。

ステップ3:一切の直接連絡を断ち、窓口を弁護士に一本化する

逆ギレする加害者と被害者が直接やり取りを続けることは、精神的な負担が大きいだけでなく、思わぬ暴言を引き出してしまう二次被害のリスクがあります。

  • 「今後、本件に関する連絡はすべて弁護士を代理人として行います。直接の連絡は一切禁止します」と告げます。
  • 以降は、弁護士が盾となり、加害者本人やその家族、勤務先との連絡を完全に遮断します。

まとめ

示談交渉中に加害者男性が逆ギレや脅迫をしてきた場合、それは相手が自身の保身のために追い詰められている動かぬ証拠であり、決して怯む必要はありません。

感情的に言い返すのではなく、客観的な証拠を確実に保全した上で、脅迫罪や強要罪への該当性を冷静に指摘し、警察への被害届提出や民事訴訟等の法的措置を具体的に予告することが、相手の暴走を封じ込めるための最も確実な手段となります。二次被害を防ぎ、ご自身の平穏と正当な権利を守るためにも、脅迫を受けた段階で弁護士へ速やかに相談し、法的盾を用いた毅然とした対応をとることを強く推奨します。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、交通事故の賠償問題をはじめ、事業者様を狙う求人広告詐欺の被害救済やオフィス・テナント等の原状回復トラブルなど、不測の事態に直面した皆様の精神的・経済的なご負担を少しでも和らげ、正当な権利の実現と円満な解決へと導くためのサポートを徹底して行っています。

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