「独身だと思っていた年下の彼氏から、将来の結婚を匂わされて資金を貢いでしまった。しかし、後になって妻帯者であると発覚した……」 このようなご相談は、弁護士などの専門家のもとにも数多く寄せられています。
既婚者が身分を隠して交際を持ちかけ、さらに結婚資金などの名目で金銭を詐取する行為は、精神的な裏切りであるだけでなく、明確な違法行為です。
本記事では、年下既婚男性による独身偽装および結婚資金詐取に対する法的アプローチ、金銭の返還請求と貞操権侵害慰謝料の同時獲得について解説します。
1. 独身偽装と結婚資金詐取における法的問題点
独身と偽って交際し、さらに結婚をほのめかして金銭を支出させる行為には、主に2つの大きな法律上の問題が存在します。
貞操権(および自己決定権)の侵害
成人が誰と交際し、誰と性交渉を持つかは、個人の人格的利益として法的保護の対象となります。相手が「独身である」と信じ込ませなければ交際も性交渉も応じなかったと言える場合、相手の性的な自由や結婚に向けた自己決定権を侵害したものとみなされ、不法行為(民法709条)が成立します。
詐欺または錯誤による金銭の支出
「結婚のための新居資金」「指輪の購入費用」「事業の立ち上げ資金」など、将来の結婚生活のためと信じ込ませて金銭を交付させた場合、その動機に重大な錯誤(勘違い)があったことになります。悪質なケースでは詐欺罪(刑法246条)に該当する可能性もあり、民事上は不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償請求の対象となります。
2. 請求できる金銭と損害賠償の項目
このようなトラブルにおいて、被害者が相手の男性に対して法的に請求できる項目は以下の通りです。
- 結婚準備金・貯蓄の名目で渡した金銭の全額返還
- 新居の初期費用、家具家電の購入費、結婚式場の予約金、生活費の肩代わりなど。
- 貞操権侵害および精神的苦痛に対する慰謝料
- 既婚者であることを隠されて騙され続けたこと、婚約期間・交際期間中に受けた精神的苦痛に対する賠償。
- 弁護士費用の一部
- 事案の悪質性や裁判手続きの進行状況に応じ、損害賠償の一部として請求を検討します。
3. 金銭返還と慰謝料を同時に獲得するための重要ポイント
泣き寝入りせず、相手の男性から正当な金銭を取り戻し、慰謝料を支払わせるためには、客観的な証拠の収集と迅速な法的アプローチが不可欠です。
証拠の保全が成否を分ける
相手が「もらったお金ではなく、贈与されたものだ」「既婚者であることは最初から伝えていた」などと嘘の主張をして逃れようとするケースが後を絶ちません。以下の証拠を可能な限り集めておきましょう。
- 金銭のやり取りを示す証拠
- 銀行の振込明細、手渡しであれば領収書やメモ、クレジットカードの決済履歴。
- 結婚を約束していた、または資金を要求されたやり取り
- LINEやメールの履歴、手紙、ボイスレコーダーの音声データなど。
- 独身だと偽っていた証拠
- マッチングアプリのプロフィール画面、独身を装う発言の記録、SNSの投稿など。
内容証明郵便による通知から法的交渉へ
証拠が揃ったら、弁護士などの専門家名義を用いて「事実関係の確認」「結婚詐欺および貞操権侵害に基づく損害賠償金・金銭返還の請求」を記載した内容証明郵便を送付します。これにより、相手に対して法的なプレッシャーを与え、話し合いのテーブルにつかせることができます。
まとめ:年下既婚男の金銭詐取・独身偽装は法的措置で解決を
年下既婚男性による独身偽装と結婚資金の搾取は、被害者の金銭的損失だけでなく、人生設計そのものを狂わせる悪質な不法行為です。相手の言葉を信じて費やした時間と大切なお金を取り戻すためには、感情的な言い争いを避け、客観的な証拠に基づいた冷静かつ法的な請求を行うことが何よりも重要となります。
「相手と連絡が取れなくなった」「手元にある証拠だけで請求できるか分からない」とお悩みの方は、一人で抱え込まず、早めに弁護士などの専門家へ相談することをご検討ください。