独身と偽って交際されていた事実が発覚したケースや、不貞関係の清算に伴う示談交渉においては、金銭的な慰謝料の支払いだけでなく、「今後一切の接触を断つこと」を約束させることが極めて重要です。
本記事では、接触禁止特約の法的効力や実効性を高めるためのポイントを分かりやすく解説します。
1. 示談書における「接触禁止特約」とは
不貞行為の慰謝料請求や、独身偽装による貞操権侵害の示談を行う際、加害側と被害側が合意する書面を「示談書(合意書)」と呼びます。この示談書の中に、今後の連絡や接近を禁止する条項を盛り込むことが可能です。
主な禁止事項としては、以下のようなものが挙げられます。
- 電話、メール、LINE、SNS等のメッセージアプリによる連絡の禁止
- 勤務先や自宅、よく利用する場所への接近・訪問の禁止
- 第三者を介した連絡や情報の要求の禁止
- SNS上での誹謗中傷や、交際事実の暴露等の行為の禁止
これらを網羅的に規定することで、相手のストーカー的な執着や、再び接触してくるリスクを防ぐ法的な防波堤を作ることができます。
2. 実効性を高める「違約金条項」の重要性
ただ口頭や書面で「二度と連絡しません」と約束させるだけでは、相手が約束を破って再びコンタクトを取ってきた場合に、十分な抑止力になりません。
そこで実務上、非常に有効となるのが「違約金条項」の設定です。
- 示談書に「接触禁止条項に違反した場合は、違反1回につき〇〇万円を直ちに支払う」という文言を盛り込む
- 金額の相場としては、事案の悪質性にもよりますが、100万円から300万円程度に設定されることが多い
違約金をあらかじめ定めておくことで、相手は「次に連絡をしたら高額な金銭を支払わなければならない」という強いプレッシャーを感じるため、実質的な接触の抑止につながります。
3. 独身偽装交際・貞操権侵害のトラブルにおける注意点
独身であることを隠して肉体関係を持つ「独身偽装(貞操権侵害)」のトラブルでは、相手が既婚者であることを隠していたという背信性から、被害を受けた方の精神的苦痛は計り知れません。
そのため、慰謝料の示談を行う際には、金銭の支払いと同時に、相手の配偶者との関係や今後の接触断絶を確実に法的文書として残す必要があります。
また、相手の配偶者から逆に不貞慰謝料を請求される「ダブルトラブル」に発展しているケースなどでは、個別の利害関係が複雑に絡み合うため、個人間で示談を進めると不利な条件で合意させられてしまう危険性があります。
まとめ:確実な接触断絶のために法的効力のある示談書を
示談書は、ただインターネット上のひな形をコピーして作成しただけでは、法的に不備があったり、いざという時に違約金請求の裁判で認められなかったりするリスクがあります。
相手からの連絡や接近を完全に断ち切り、安全な日常を取り戻すためには、実効性の高い「接触禁止特約」と「違約金条項」を盛り込んだ正確な合意書を締結することが不可欠です。トラブルの再発防止や条件交渉に不安がある場合は、専門家である弁護士への相談を検討すると安心です。