不貞行為や貞操権侵害の慰謝料請求において、加害者側から「現在休職中であり、手取り収入がないから支払えない」といった主張がなされるケースがあります。しかし、収入がないという言葉をそのまま鵜呑みにする必要はありません。
1. 休職中であっても差し押さえは可能か
加害者が「収入がない」と主張していても、法的には強制執行が可能です。強制執行の目的は、単に現在の給与を差し押さえることだけではありません。加害者が保有している隠れた資産や、将来発生する収入をターゲットにすることが重要です。
差し押さえの主な対象は以下の通りです。
- 預貯金口座
- 休職手当(傷病手当金など)
- 不動産(持ち家など)
- 将来の給与債権(復職後)
2. 強制執行の対象となる具体的な財産
加害者が手取り収入がないと主張する場合、以下の財産に焦点を当てて調査・検討を行います。
- 預貯金口座:過去の蓄えや、休職手当が振り込まれている口座を特定します。銀行口座の差し押さえは、債務名義(判決や公正証書など)があれば可能です。
- 休職手当(傷病手当金等):給与の代わりとして受け取っている手当も、差し押さえの対象となり得ます。ただし、法律上の制限に関する正確な理解と精査が必要です。
- 持ち家・不動産:加害者が所有する不動産がある場合、それを差し押さえ、競売にかけることで慰謝料を回収する手段があります。
- 復職後の給与債権:現在は休職中であっても、将来的に復職が見込まれる場合、復職後に支払われる給与を差し押さえるための手続きを事前に行うことができます。
3. 休職中の相手から慰謝料を回収するためのまとめ
「現在休職中で手取りがない」という主張は、支払い義務から逃れるための口実や時間稼ぎに使われることが少なくありません。しかし、給与以外の資産(預貯金や不動産)や、将来の復職後の給与を視野に入れた法的手続きを行うことで、慰謝料を回収できる可能性は十分に遺されます。相手の資力に関する言い分に惑わされず、保有財産の調査と適切な強制執行の申し立てを戦略的に進めることが重要です。