【中絶慰謝料・貞操権侵害の取扱いと弁護士の対応】一方で、精神的苦痛に対する慰謝料については、原則として破産免責の対象(破産債権)となる実務上の原則があります。ただし、身体的被害を伴う中絶(生命身体害の不法行為)や極めて悪質な欺罔行為が立証できる特殊事案では非免責債権として争う余地があります。速やかに破産管財人へ債権届出を行い、養育費の確保や相手配偶者からの不貞請求(ダブルトラブル)に対する防衛を進めるため、男女トラブルと破産実務に詳しい弁護士へ直ちに相談することを強く推奨します。
独身と偽って交際を重ね、妊娠や中絶という重大な心身の苦痛を負わせた加害男性が、責任追及から逃れるために「自己破産するから慰謝料も養育費も1円も払わない」と開き直るケースがあります。
このような事態に直面した際、破産法上「何が残り、何が免責されるのか」という正確な法的知識と、現実的な回収アプローチについて解説します。
1. 養育費は自己破産しても絶対に消えない「非免責債権」
まず、最も明確に保護されているのがです。
破産法第253条第1項第4号において、「子の監護に関する義務・扶養義務に係る請求権」は明確にと規定されています。
- 過去に未払いとなった養育費
- 将来にわたって成人まで支払うべき養育費
これらは、加害男性が自己破産の手続きを取り、裁判所から免責許可決定が下りたとしても、。破産手続きの終了後も、給与の差し押さえ(給与の最大2分の1まで差し押さえ可能)などを含めた強制執行によって回収を継続することが可能です。
2. 中絶慰謝料・貞操権侵害の慰謝料の法的取扱い
一方で、精神的苦痛に対する「慰謝料」については、法的に区別して理解する必要があります。
原則として免責対象となる理由
通常の不貞行為や貞操権侵害の慰謝料は、破産法上「悪意(積極的な害意)で加えた不法行為(破産法253条1項2号)」には原則該当しないと解釈されており、一般の破産債権として免責の対象となるのが裁判実務の通説です。
例外的に非免責が認められ得る特殊なケース
しかし、中絶や妊娠を伴う事案においては、以下のような特殊な事情がある場合、例外的に非免責債権として認められる余地があります。
- 身体に対する侵害(破産法253条1項3号): 避妊の合意を反故にされたり、暴行・脅迫を伴って中絶を強要されたりして重篤な身体的後遺症を負わされた場合。
- 極めて悪質な欺罔・詐欺(同条項2号): 最初から身分証を偽造して騙し、相手の人生を破壊する積極的な害意が立証できる場合。
3. 男性側が使う「破産カード」への現実的対処法
加害男性が「自己破産するから払わない」と口にする場合、本気で破産を申し立てるケースだけでなく、支払いを免れるための「ハッタリ」であることも少なくありません。
相手が実際に破産手続きを開始した場合は、以下の手順で権利を守ります。
① 破産管財人への速やかな債権届出と配当受領
破産手続開始決定が出た場合、裁判所が定めた期間内に「破産債権届出書」を提出します。破産管財人が相手の資産を換価し、配当が行われる場合、届出を行っていれば正規の配当金を受け取ることができます。
② 破産管財人への情報提供と財産隠しの追及
加害者が支払いを免れるため、破産直前に親族へ現金を移動したり、資産を隠蔽したりしている場合、破産法上の「免責不許可事由(破産法第252条第1項)」に該当します。加害者の浪費や隠し財産に関する客観的な情報を破産管財人へ提供することで、管財人の詳細な調査を促し、不当な免責を阻止するよう働きかけます。
③ 相手配偶者からの不貞逆請求(ダブルトラブル)への備え
相手男性が破産によって支払いを免れてしまうと、相手の妻からの不貞慰謝料請求の矛先がすべてあなただけに集中してしまう危険性があります。自分が「過失なく独身だと信じていた(無過失)」証拠を整え、相手配偶者からの請求を法的に遮断する防御策を同時に講じる必要があります。
まとめ:自己破産を告げられた際は早めに弁護士へ
子どもの養育費は自己破産をしても絶対に消滅せず、慰謝料についても配当受領や例外的な非免責の主張、相手配偶者からの請求に対する防衛など、取るべき法的手続きは多数存在します。
一人で抱え込まず、男女問題と破産実務に精通した弁護士へお早めにご相談ください。