不倫問題や独身偽装交際のトラブルに巻き込まれた際、最も恐怖を感じる瞬間の一つが、相手の配偶者(妻)が自宅に突然押しかけてくるケースです。プライベートな空間に踏み込まれ、大声を上げられたりドアを叩かれたりすると、パニックに陥ってしまう方も少なくありません。
相手の妻が自宅に押しかけてきた場合に成立しうる犯罪
配偶者の不貞行為を知った妻が感情的になり、相手の自宅へ突撃するケースが見受けられますが、どれほど怒りの理由があったとしても、法的なルールを超えた私的な実力行使は許されません。自宅への押しかけ行為は、状況によって以下の刑事犯罪に該当する可能性があります。
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住居侵入罪(刑法130条前段) 正当な理由がないのに、人の住居に侵入した場合に成立します。インターホンを執拗[しつよう]に鳴らす、共用部分に居座るだけでなく、オートロックを突破して玄関前まで侵入してきた場合はこれに該当する可能性が高まります。
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不退去罪(刑法130条後段) 「帰ってほしい」「敷地から出ていってほしい」と告げたにもかかわらず、その場にとどまり続けた場合に成立します。
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脅迫罪(刑法222条)または強要罪(刑法223条) 「会社にバラしてやる」「ネットに晒す」などと大声で脅したり、義務のない謝罪文の書面を書かせようとしたりした場合には、脅迫や強要に問われる余地が生じます。
警察に通報した際の対応と「被害届」の提出
実際に自宅に押しかけられた際は、ご自身の身の安全を確保することが最優先です。ためらわずに110番通報を行い、警察官に現場に駆けつけてもらいましょう。
警察官が到着した際、その場は口頭注意やパトロールで終わることが多いですが、もし悪質な行為が繰り返される場合や、恐怖心が強い場合は、後日警察署に赴いて被害届を提出することが可能です。被害届を出すためには、以下のような客観的な証拠が重要となります。
- 警察官が駆けつけた際の記録(110番の履歴)
- インターホンの録画映像や音声データ
- 妻による罵声や脅し文句のボイスメモ
- ドアの破損や敷地内への侵入を示す状況証拠
独身偽装交際(貞操権侵害)の被害者である場合の注意点
ここで見逃してはならないのが、あなた自身が「相手が既婚者であることを知らなかった(独身だと騙されていた)」というケースです。いわゆる独身偽装交際や貞操権侵害の被害者である場合、あなたもまた不倫の被害者という側面を持っています。
既婚者である男が独身と偽ってあなたと性交渉に及んだ行為は、民法709条に基づく不法行為に該当し、精神的苦痛に対する慰謝料請求の対象となります。
そのため、相手の妻から「夫を奪った不貞相手だ」として高額な慰謝料請求や執拗な嫌がらせ(自宅への押しかけなど)を受けている場合、それは法的に見て不当な二重の被害(ダブルトラブル)と言えます。
妻からの不当な要求に対する法的人権防衛
独身と騙されていた事実がある場合、妻側から直接連絡が来たり自宅に押しかけられたりしても、ご自身だけで対応するのは非常に危険です。相手は感情的になっており、冷静な話し合いが期待できないためです。
このような状況では、弁護士を代理人に立てて以下のような法的措置を講じるのが最も安全かつ確実な解決策となります。
- 妻に対する接触禁止の申し入れ(弁護士名義の警告書送付)
- 住居侵入やつきまとい行為に対する法的責任の追求の示唆
- 本来の加害者である「既婚男性(元交際相手)」に対する貞操権侵害の慰謝料請求
弁護士による警告と代理交渉のメリット
自宅に押しかけられるという恐怖を一度経験すると、「また来るのではないか」という不安から精神的に追い詰められてしまいます。専門的な法的手続きを通じて平穏な日常生活を取り戻すためには、弁護士による全面的サポートが有効です。
- 相手の妻との窓口を一本化 弁護士が代理人となれば、相手の妻はあなたへ直接連絡をしたり、自宅へ押しかけたりすることができなくなります。これによって精神的な負担を劇的に軽減することが可能です。
- 法的措置を視野に入れた毅然とした対応 警察沙汰になった記録や証拠を整理し、悪質な住居侵入や脅迫行為に対しては、弁護士名義で警告書を発送し、さらなる私的制裁やストーカー的行為を牽制します。
- 元交際相手への適切な責任追及 独身偽装を行った男性に対しては、不貞の責任だけでなく、詐欺的な交際によって受けた精神的損害(貞操権侵害)に対する慰謝料請求を並行して進めていきます。
自宅への押しかけや警察沙汰といったトラブルは、一人で抱え込んで解決できるものではありません。身の危険や精神的な限界を感じたときは、法的な枠組みを活用して早めに適切な対策を講じることが、ご自身の平穏を守るための確実な一歩となります。